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第九話

「どうしてだと? ふん。君の父親が悪いんだよ」


 先生は玉座から立ち上がった。


「君の力があれば、今後起きるであろう能力者を中心とした世界戦争に日本は勝てる! 力のある能力者を揃えることで、他国の牽制にもなり、外交でより優位に立てる!それを無くそうとするなんて……君と君の父親は愚かだ……」


 先生は腕を大きく広げ。演説をするかのように声を荒げる


「更に私は運がいい。まさかスオミ君を追っていたら本物の神の使いに、神器を操れる男に会えるとは」

 え? 神器……やっぱり永山さんは……ただの能力者じゃなかったんだ。


「で? 神器を使えるからなんだってんだ? まさか、俺に国のための兵隊になれと? ヤダネ。興味ねーよ」


「あいつの研究は素晴らしいぞ、能力の元となっている部分を具現化し、能力者を殺さずに抽出できる。抽出できると言う事はすなわち」


「あー。あれだろ? 抜き出したものを分裂させて無機物の動力にして兵器にするとか、人間に与えて能力強化とかそー言うよくあるパターンね」


 永山さんはサラッと恐ろしいことを言う。先生の顔を見ると。真剣な顔で永山さんを睨んでいる、本当に他人の能力を吸い出して一つに集めようとしていたって言うの?


「ふん、それがわかっているのなら。大人しく、協力したほうがいいぞ?」


「誰がそんなのに協力するかよ」


 永山さんはそういうと銃口を先生に向けようと右腕を動かした、その時。


「っ!」


 突然肩に、衝撃が、痛みが走る。私を捕まえている女性は私の右腕を後ろにひねりながら右肩に手を押し当て引っ張った。

 うぐっ、一瞬右肩に痛みが走る、でもそれは一過性の物ですぐに痛みが消えていた。この人本気で拘束していない……?どうして。


「動くなよ? 動けばこの小娘の肩が簡単に折れるぞ?」


 先生は立ち上がり、永山さんは銃を降ろす永山さんに近寄った……私を拘束している人は危害を与えるつもりはない、戦ってと。叫ぼうとした。

 

 でも後ろの女性に口を押えられ、声を上げることができなかった。


「それを渡してもらおうか」


 先生は永山さんに向かって言う、永山さんは私を横目で見るとため息をついた。


「分かったよ」


 永山さんは銃を渡す、すると先生はそれを見ながら高笑いした。


「素晴らしい、これが神器か……ただのコルトパイソンにしか見えん。それなのに素晴らしいオーラを秘めている」


 先生は椅子に座った。


「やれ」


 先生は鋭く、そして冷たく言う。すると特殊部隊の人たちは永山さんに襲い掛かった。


 永山さんを中心に円状に包囲して襲い掛かる。私からは永山さんの姿は見えないが何かを殴りつける鈍い音が聞こえる。


「永山さん!」


 私は大声で叫ぶ、永山さんが死んじゃうっ!そう思っていると銃声が鳴った。


「っ!」


 男たちの塊から銃弾が飛び出す、その弾は先生の頭上にある蛍光灯に、正確に言うと蛍光灯を吊り上げている数センチの鎖を撃ちぬき、先生に向かって蛍光灯を落とした。先生は前に転がるようにかわす。


 そして、続けさまにもう一つ弾が放たれた、その弾は私…と言うより女性に向かっていた。それを見た女性は私の頭を掴むと私を屈ませた。その時だ、銃弾が目の前で破裂、光を放った。その瞬間女性は後ろに倒れた。


「こんな奴らが俺の相手になるとでも?」


 私は声の方を見た、その時、特殊部隊の様な人たちがバタバタと倒れ、拳銃を構えた永山さんがいた。永山さんはゆっくりと近寄ると転がっている自分の銃を手に取り、銃口を先生に向けながら私に近寄った。


「永山さん、無事でよかったです」


「そっちも無事みたいやな」


「はい」


 永山さんに笑顔で返すと倒れている人を見る。ナイフを持っている人、明らかに永山さんよりも体格がいい人が永山さんに襲い掛かった円形のまま団子状になって倒れていた。


「実に素晴らしい、私の腕利きの部下を一瞬で気絶させ、銃を奪い、蛍光灯と鎖のわずか隙間をぬって撃つ射撃センス。その後、自分の能力で生成した弾丸を込めて放つ速度。予想していたより君はいい能力者だ……だが……」


 先生はため息交じりに言うとゆっくり立ち上がり、椅子の傍による、永山さんは私を庇うように前に立ちながら先生と距離を置きながら先生の前に立つ。


「しかし……なぜ、殺さない?」


 先生は鋭い口調で永山さんに言う。


「報告を受けているが貴様は人に対しては銃を撃っていない。なぜだ?何かのポリシーか?だとしたら下らん」


 先生は声を上げるとポケットから何かを取り出す。あれって注射器?


「スオミ君。これが何かわかるかね?これは君の父上の研究の答えの一つだ」


 先生は注射器を見せながら私に言う、赤紫の液体がたっぷり詰まっていた。


「これは能力を抽出したものを集めたものだ、本来はスオミ。君の肉体で試すつもりだった。だが、私はこれを自分に試す。私は死ぬだろう。しかし、神器を扱うものの力をもっと見てみたい、君はその下らんポリシーを捨てたまえ、そうでないと私には勝てんぞ?」


 先生は首元に注射器を刺すと、液体が先生の肉体の中に入っていく。そして、先生の体が変化していった。


 筋肉で体が肥大化し二メートルを超える。そのせいか服やズボンは破けるけど、皮膚も青白い物へと変わっていった。


面白ければ、評価。感想お待ちしております。

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