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第四話

アース・スターノベル大賞の方に応募しております。

ぜひ、ご覧下さい。

 家を後にした私たちは、駐車場に出る。永山さんは真っ黒に塗られた車の運転席に乗り込むと、私も助手席に乗る。


「ハーフ? 日本人離れした顔立ちにそのきれいな金髪」


「クォーターです。父がフィンランド人で母が日本人とドイツ人のハーフです」


「ほーう。フィンランド……スオミ?」


 永山さんは私がシートベルトを締めたことを確認すると車を発進させた。


「その制服って……聖光学園だよな?」


 永山さんは前を見ながら私に向かって尋ねる。


 私はゆっくりと頷き、自分の姿を見て気がつく……どうしよう……埃まみれになったり、こけたりして着いた血の跡がついている。


 淡い水色のブレザーに黄色いリボン。スカートもブレザーと同じか若干暗いくらいの水色。


 可愛いデザインで好きだったのに、ぐちゃぐちゃだ……。


「あ……スオミってもしかして聖光学園で働いていたエルナール・スオミ氏の娘さんか」


「あ、はいそうです。私は聖光学園で未成年の能力者について調べていたエルナールの娘です」


 聖光学園…私が通っている、能力者に対して偏見が強い日本では珍しい能力者を中心に受け入れている学園だ。


 そして、私の父はもともと能力者を専門にしている研究者の中でも子供の影響について研究者の一人で、思春期の能力者の力の発達について調べるために学園で働いていた。


 が、数か月前、事故死した。


「あれ? こっちに警察署ってありました?」


 私は道路を見ながら永山さんに尋ねた。


「……え? 再捜査の依頼したんだろ? 白音署で」


「あ、えっと、私は北署の方に行ったんですが……父の事件の管轄がそこだったので……。それで北署で再捜査の依頼をしていると、とある人に永山さんの住所を教えられて………」


 わたしの言葉を聞いた永山さんの顔が歪む。そして、赤信号で車は停止すると、彼は頭を抱えた。なにかまずいのかな……?


「なるほど……住所を教えたのはどんなやつだった?てか、女だろ?」


「はい、スタイルが良くて、長い髪で先端を三編みみたいにしてる」


 永山さんはものすごい、ため息を吐く。そして、嫌そうな顔をした。


「くそ、あいつの差金かよ‥…しゃーない! 乗りかかった船だ!」


 永山さんが顔を上げる、そして信号が変わるとアクセルを踏み込み車を走らせた。


 永山さんの様子を見るに、あの女性とは何かしらの関係があるんだろう。


 口や表情では嫌そうにしている。でも、なんだろう、どこか嬉しそうにしているようにも思う。


 まるで、彼女のデートに振り回されながら、文句を言いつつ嬉しそうに付き合ってる彼氏のようなそんな感じ……。


「さぁ、ついたぞ」


 永山さんは車を停めながら、言う。


 思ったより早くついた、私は永山さんが出るのとほぼ同じタイミングで車から降りる。


 4階建ての小規模な警察署だ、永山さんは車に鍵をかけると、我が物顔で警察署に入っていく、そして私も後ろからついていく。


 警察署に入ると、正面の受付を通り過ぎ、永山さんは素知らぬ顔で、階段を登り、2階へ行った。そして、廊下をしばらく進むと


 特殊犯罪捜査課とかかれた看板があった、そしてそのそばにあるドアを勢いよく開いた。


「おい、ごるぁ! 依頼人、寄越すときは電話しろって言ってるだろうが!」


 声を荒げる永山さん、でもどこか嬉しそう。永山さんはそのままズカズカと室内に入った。


 私もつられて入る、一般的な2LDKのマンションの一室くらいの広さがある部屋で一人の婦警さんがいた。


「あ、やっときた。遅いんじゃない?」


 黒髪のロングヘアで、小柄の女性は笑いながら永山さんに近寄る。


「うどんにはようはねーよ。理沙はいねーのかよ」


「ちょっと、その言い方やめてもらっていい? 私にはちゃんと遠藤っていう名前があるんだけど?」


「あれ? そんな名前だっけか? うどんさんじゃなかったか?」


「殴るわよ!」


 永山さんと婦警さんは子供みたいな言い合いを始める。


 小学生みたい……そんなことを思っていると、右斜め前にある部屋のドアが空き。頭をかきながら茶髪の男性が現れた。


「うっせーよ。仮眠とれねー!」


 男性は文句を言う。そして、私達の方を見るとゆっくりと歩いてきた。


「あれ、武彦じゃん。なんだよ、痴話喧嘩するなら他所でやれよ。素人には不愉快極まりない光景だ」


「痴話喧嘩なんかしてないわよ!」


 婦警さんは警察官の肩を叩きながら突っ込む。


 婦警さんもそうだが、この警察官。永山さんのことを名前で呼ぶってことは相当親しいのね。ますます彼が何者かわからない。

「ほら、この子よ、課長が言ってた、北署に再捜査のお願いしていたっていう子」


「あぁ。そんなこと言ってたな。最近仕事がエグくて忘れてた。で? 武彦。何しに来た?」


「何しに来たじゃねぇよ。この子を俺のところに寄越した理由を聞きにきたんだよ、この馬鹿チン」


「よこした理由? 知らんぞ。俺たちは『北署の受付で揉めてる子がいたから、ター君の所に行くように伝えました、しばらくしたらター君と一緒に来るかもね』って言う事しか聞いてない」


 警察官の答えに永山さんは額を抑える。


「それに追加して伝言、『ター君が来たら貴晴も詳しい話聞いておいてね、仮眠の時間省けば次の仕事まで時間あるでしょ』だって」


 婦警の言葉に、警察官も永山さん同様、額を抑える。


「あんにゃろー、面倒事押し付けやがったな……しゃーない、話を聞こうか。こちらへどうぞ」


 警察官はそう言って私達を部屋の左端にある、応接室のようになった机の橋にソファーが置かれた場所に案内した。


「あれ? 応接室使わねーの?」


「少女をこんなおっさんが仮眠に使ってた部屋に入れれるわけねーだろ」


 警察官は苦笑いをするとソファーに座る。私達も一緒に座った。


「では、話の前に自己紹介しようかな。俺は日浦貴晴。対能力者の事件を主に扱っている刑事だ」


「そして私が、遠藤シュナ。私も彼と同じこの特殊犯罪捜査課の刑事よ」


「で、君に探偵事務所の場所を勧めたのが俺たちの上司でそこにいる、永山武彦の元カノの小野谷理沙だ」


「元カノちゃうわ!」


 永山さんが声を荒げる。日浦さんはニヤニヤしている。


「まぁ、冗談はこのくらいにして、本題に入ろうか」


 日浦さんの声が低くなり、表情が変わる。それを見た永山さんも表情を変えた。

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