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第二話

「ふぅ。ま、こんなもんか」


 永山さんは呟くように言う。良かった彼は無事だった。


 私は恐る恐る目を開けながら後ろから永山さんの体を覗いた、彼の右腕には重厚な黒く輝く、拳銃が握られていた。


 え、撃った…え、拳銃!? じゃあもしかしてさっきの何かが落ちる音って……一階層がのぞけるところに向かってゆっくり近寄る。


 大男は下の階層の床にあおむけに倒れており、顔には撃たれたと思われる穴が開き、火花を散らしながら。え? 火花?


「に、人間じゃない……」


 私は呟きながら後ずさりをする。


「自分を追いかけて来てたのが人間かどうかも知らなかったのか……」


「わ、分かるわけないじゃないですか!? 今の何なんですか! てゆーかここ日本ですよ!  なんで銃なんか持ってるんですか銃刀法違反ですよね!?」


 なんか失礼なことを言われた気がするが、私は自分の疑問を、彼の手に持っている拳銃を指しながら彼にぶつける。


「銃じゃねぇ! こいつはコルトパイソン357マグナム。お前本当に何も知らねぇな! 後でまとめて説明するから黙ってろ」


 永山さんは銃の真ん中を、弾を込める場所を押すようにして開くと、腰に手を伸ばしベルトの横に入れられた小型の箱からいくつかの口紅の様な物を取り出しそれを入れ、元に戻すとゆっくりと歩き、ちょうど真ん中の位置に立った。


「一度しか言わねぇ。怪我したくなかったら後ろに隠れな」


 永山さんは正面を見ながら無愛想なでもどこか力強い声色で、後ろを左手の親指で指しながら言う。彼の指を追うと、作りかけなのか別の用途があるかは分からないがカウンターキッチンのようなところがあった。

 え? どういうことだろう。隠れたほうが良いのかな?


 私は戸惑い、動くことをためらう。その時だ。銃弾が撃ち込まれた窓や、私がこの部屋に入る時に通ってきた左側のドアが勢いよく破壊され、先ほど撃たれた大男と同じような格好をした男が侵入してきたのだ。


 それだけじゃない、正面の爆弾を投げ込まれ破壊された窓からも、黒い特殊部隊の人たちが切るような服を着た人影が3つ、飛び込んできた。


「っ! 予想より早かったか……死にたくなかったら伏せるかさっさとキッチンの下に隠れていろ!」


 永山さんはそういうと、拳銃を左に向けて一発撃つと、振り返らずに窓から入ってきた男に向かって発砲した。

 

その瞬間、撃たれた男たちの体からジーっという甲高い音が鳴り、爆発した! え? 爆発! と言う事は人じゃないの!? キッチンの下に急いで隠れ様子を見ながらそんなことを思っていると


「ひぃぃぃ」


 爆発した人型の何かの残骸が…おそらく手と思われる部分が私の傍に落ちてきた。


「あ~うっせ。DEVILの残骸で喚くな。絶対そこから動くなよ!」


 永山さんは私に向かって叫ぶと、前に向かって走り出す、そして柵をよじ登り永山さんを殴ろうと迫っていた、男に向かって発砲。

 

 銃弾は左肩のプロテクターのような物をつけていない数ミリにもとれる隙間に見事に命中、苦痛に顔をゆがませ後ろにのけぞった。次の瞬間。


 永山さんはすかさず、拳銃を持ち替え、右手で男の顔を殴りつけると服の襟をつかんでそのまま一階に向かって放り投げた。


 物凄い音が一階から響くと永山さんはそのまま柵を持ち一階に飛び降りた。そして銃声がなる。


 私は屈んだままほふく前進をするようにして、様子が見える場所まで進む。


 一階を覗くと左端、ちょうど二階部へと昇ってくる階段付近で左肩を抑えている男がおり、永山さんはその男に向かって走っていた。


 状況を見るに、永山さんはまさかの一階へと降りるという少しの距離の間に階段に上がろうとしていた男の左肩を狙い撃ったと思われる。


 そして今、永山さんの肘打ちが男の顔に命中、男はそのまま壁に頭を打ち付け、その場に座り込むようにして気を失った。


 これであと一人なんだけど……一人残った初老の男は動かずその光景を眺めているだけであった。そして永山さんが男の前に立った瞬間、


「なっ!」


 思わず永山さんの声が響く、それもそのはず男は勢いよく垂直に飛び上がったのだ、あれ?もしかしてこれって


「! 隠れていろって言っただろっ!」


 永山さんが叫ぶと同時に私は立ち上がってその場から離れる。男は垂直に飛び上がると空中で体を回転させ、ニンジャのように天井に張り付くと、天井を蹴りそのまま私に向かって突っ込んできたのだ。


 私は走り出すが時すでに遅く、男につかまってしまった。


「動くとこいつを殺す」


 いたい……男は階段を上って来ていた永山さんに向かって叫ぶ。男は私を羽交い絞めにした状態で無理やり永山さんの方に体を向ける。と、とんでもない力……お、おれる……。


「動くなよ…」


 永山さんは呟くと銃口を私に向けた。


「ほぅ、よほど自分の腕に自信があるんだな?ならこれでどうだ?」


 男はそう言って私を引っ張ると、2階部のさらに奥へと私を連れて行く。永山さんの死角に入る気だ。


「動くなよ! 動けばこのお嬢ちゃんの命はない」


 え? い、命はない……って痛い痛い痛い!男は私の左肩を強くつかんだ。こ、これ折れる! い、痛いって!!


「殺す気はないはずだ。あのDEVILの能力を見るにかなりのいい性能だ。おそらくロケラン数発はぶっ放せる。だが、それを一切していない。殺すよりも捕獲が目的なんじゃないか?」


 永山さんはそう言いながら動こうとした。


「あぐうぅっ」


 い、いたい……男は反対の手でナイフを抜き私の右肩を刺したのだ。い、いたい……


「我々が必要なのはこいつの頭だ。考えてしゃべることができれば、腕を切り落としても、足を折っても、かまわないと言われている。さぁそこをどいてもらおうか? 探偵さん」


「……絶対に動くなよ……」


 永山さんは静かに、でも重く言う。銃を降ろさずに、構えたまま。


 男が奥に行っている為私も永山さんも柵の間からしか状況を見ることができない、永山さんの顔をはっきりとは見えないけど『俺に任せろ』と言っているように聞こえた。


 私は抵抗をやめなぜかは分からないけど彼を信用しようと思った。


「撃つ気か? この状況でこれだけ遮蔽物がある中でどう撃つ?」


「永山さん撃って! 私は貴方を信用する!」


 思わず私は叫んだ、その声にイラついたのか男は私の左肩を強くつかむ、左肩に痛みが走る。


 っ……痛い。


 そして男は『やかましい』と言いながらナイフを私の右肩に刺したまま手を放して私の首に手を伸ばそうとした!

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