最終話
「やっべ! またやっちまった!!」
永山さんは振り返りながら叫ぶ、また!? あ、そう言えは遠藤さんが天守閣が云々言ってた気がする……。
「あ。スオミ? 大丈夫か?」
永山さんは笑いながら座る私に近寄る。でもその笑顔はどこか引きつっていた。
「わ、私はだ、大丈夫です。」
私は立ち上がる。それにしても騒がしいな。
私はそう思い、周囲を見渡す。すると、部活棟の近くにある西側にある門の向こうに人集りが出来ていた。
「え? な、なんなんですかあれ?」
私は思わず声が漏れる。でもなっとく、あれだけ爆発音を立てれば……人は集まる。学園は地元で一番、フェリーが発着する港の真横。
今日は土曜日だ、観光客や人が集まるのは必然か。そう思っていると。永山さんが銃に手を伸ばしていた。
「スオミ! 俺の後ろに!」
永山さんはそう言って銃を構えながら振り返った。銃口の先には私達が出てきた礼拝堂の地下の部屋に通じる穴だった。
そして、その穴から、人影が見えこちらに歩いてきていた。豊満なスタイルを強調するようにピッチリとしたスーツを身につけた女性が……私を拘束していた女性が出てきたのだ。
あ。そういえば永山さんに撃たれて気を失っていたっけ?
その女性は自分の顔につけているマスクをゆっくり外す。
綺麗な人……なんとなくは分かってたけど、凛とした表情で泣きぼくろがあった。言葉では言い表せない人だ。
てゆーか、あれ?この人どこかで会った気がする。そして、永山さんのため息が聞こえ、彼は銃を納める。
「ヤッホー。お疲れ様ター君」
女性は笑いながら。こちらに近寄りながら永山さんに手をふる。
「なんで! お前がここにいるんだ!? 理沙!」
永山さんは、叫ぶ。理沙……あ、この人が日浦さん達の上司か!
「私に永山さんの事務所を紹介してくれた人?」
「あ、覚えていてくれた?そう、私は小野谷理沙、無事で良かったわ、スオミ・明希さん。こいつ仕事は真面目にやるから大丈夫だとは思ったけど……変なことされてない??」
理沙さんは私の体をさすりながら言う。へ、変なこと?
「じゃかぁーし、誰がするか。俺はロリコンちゃう!!」
「あら? ロリコンって何?」
理沙さんは永山さんの方を見ながら、髪をかき分ける。永山さんは歯を食いしばりとても嫌そうな顔をした。
「つーか! また。俺を利用しやがったなぁ!」
「利用なんて人聞きの悪い事を言わないで頂戴? 一度、解決した事件を蒸し返したら、面倒でしょ? だからあなたに依頼したのよ。」
「嘘をつけ! DEVILが出てきたり。例の薬が出てきたり、それの強化版が出てきたり。お前には聞きたいことがたぁぁっぷりあるんだよ!」
永山さんは声を荒らげながら理沙さんに詰め寄った。てゆーか近っ!キ、キスできそうなくらいまで近づいた永山さん。
控えめに言っても永山さんはイケメンだ、それが目の前にあるのに眉一つ動かさない理沙さん……すごい……。
「はいはい、それより……も、後ろから接近してきているあの子を何とかしよ?」
理沙さんは、西門の方向を指す。えっ!さっきよりも増えてない!?
そう思っているとパトカーが入り込んできた!そしてそのパトカーは永山さんの傍で止まると、ドアが壊れるのでは?と思うくらいの勢いで開くと日浦さんが現れた。めちゃくちゃ怒ってる?
「ぐおるあっ! 武彦っ!! てんめぇっ、またやりやがったなぁぁっ!!」
日浦さんは永山さんに向かって走ってくると胸倉をつかんだ。
「この前は天守閣。その前は総合公園の展望台。さらに前はお釈迦様の像。お前はなんかぶっ壊さんと事件解決できんのかぁっ!」
「い、いや。そ、そんな事ねぇよ? てゆーかめっちゃ怒ってない?」
「まぁ、今回は野外でドカドカしたわけじゃないし。野次馬も逃げ出した学園関係者と一部の観光客と近隣住民だから、お説教はその変にして、さっさと後片付けしてきて?」
理沙さんは、日浦さんの方をさすりながら言う。日浦さんはすっごく嫌そうな顔をしていた。
「お前がそうやって甘やかすから、コイツが騒ぎ起こすんだろ? てか、また、俺が片付けするの!?」
「あなた以外にいるの? 早く片付けないと面倒事増えるわよ?」
「あぁぁぁ! また雑用に使う気かよ!」
「タカ君にやってほしいなぁ。 ダメ?」
理沙さんは甘ったるい声を出しながら日浦さんの腕に抱きつくと胸を押し当てた。その時永山さんの顔がムッとなる。
「ボインなお姉さんが俺のストライクゾーンとはいえお前の色仕掛けなんか通用するか」
日浦さんはそう言って理沙さんを払いのけた。
「えぇ、じゃあ。今回の片づけをしてくれたらボーナス上げるわ」
「っ……ひ、卑怯な……あぁぁぁぁ分かりました! やりますよっ!!」
日浦さんは歯を食いしばって何かに耐える表情をすると激しく頭をかき、私たちが出てきた旧礼拝堂の方に向かって行った。
「んで? お前がここにいる理由は?」
永山さんは腕を胸の前で組みながら理沙さんに尋ねた。
「上から依頼があったのよ。天野教授について調べろってね」
「あぁ~」
何のことだろう。永山さんは分かっているらしいけど。
「で、いろいろと捜査しているうちに天野教授が組織犯罪対策課の連中が追っている組織と接触していることが分かったんだけど。なかなか尻尾を出さなくてね。だから私が潜入していたのよ。んで、その報告を兼ねて北署に行ったときに明希ちゃんが揉めていたってわけ。」
「なるほど……で! なんで俺のところに押し付けた? お前がいるなら俺はいらねーだろ?」
「明希ちゃんのお父さんと天野教授がこの学園で協力して何かの研究をしていたのを知ったからよ。私が潜入したのは明希ちゃんのお父さんが亡くなってからだったのだけれど資料が残っていてね。それにあいつら明希ちゃんを狙っていたらしいからあなたに押し付けたらぜーんぶ解決してくれるかなって。予想通りあなたは明希ちゃんの依頼も達成でき、私は天野教授が使った薬も入手できた」
「ぬぅぅぅ、お、俺はお前の掌の上で踊っていたのか……」
永山さんは嫌とも、悔しそうとも取れる表情を見せるがどこか嬉しそうでもあった。
「んで? あなたこれからどうするの? 明希ちゃんの事」
理沙さんはそう言いながらほくそ笑む。
「あ? 依頼達成したんだから、報酬貰って終わりだろ」
「ふぅ~ん。それはどうかしら?」
理沙さんはそう言ってスマホを取り出し、とある画面を永山さんに見せる。あれ……あの画面って……理沙さんの見せるスマホの画面に見覚えの合った私はスマホを取り出した。
「あん? なんじゃそれ……」
「あぁぁぁぁぁっ!」
私は思わず大声を出す、すると永山さんが振り返った。私が見ていたのはSNSだ。
「な、なんじゃこりゃぁぁぁっ!!」
永山さんは私のスマホの画面を覗く、するとそこには今までの一部始終が写真や動画でSNS上にあげられており、永山さんよりも私がかなり押し出されていた。
証拠にさっきから無料通話アプリの通知が止まらない。それだけじゃない、私の情報がすでに上がっていた。特定されたと言う奴だ。
「で? これをどうするの?」
「どうするってそれはお前らの仕事だろうがよ。」
「ええ、確かに情報の規制は行うわ。でもこれだけバズったら……もうわかるわよね。」
永山さんは頭を抱えていた。情報を規制したとしてこれだけ拡散されてしまえば……私の平穏な生活はどうなる……あ……まてよ……。
「永山さん。私の依頼覚えています?」
永山さんは狼狽えながら私を見た。
「親父さんの事件の真相究明とボディ……あっ!!」
「ふっふっ。私言いましたよね。安全を確保してって。ボディーガードこれからもよろしくお願いしますね。永……武彦さん」
私は微笑みながら彼に向かって言う。永山さんは嫌そうな表情をしていたが、どこかで軽く笑うと、私に背を向けて歩きながら
「分かったよ。よろしくなスオミ」
と優しく言った……。
こちら永山探偵事務所 ただいま依頼受諾中を最後まで読んでくださった皆様ありがとうございました。
武彦とスオミの物語はこれで終わりではありません。
また、続きを書く日が来るかもしれません。書かないかもしれないけど(;'∀')
次回もすでに構想を練り、書きすすめております、次回作もよろしくお願いしますm(__)m




