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草原での狩。

「シズカ! ごめん一匹逃した!」

「大丈夫! 残りに集中して!」


 草原でホーンラビットの集団に遭遇したあたしたち。

 剣を構え前線で戦うタケルの補佐をしながら、あたしはこちらに向かってくる個体を薙ぎ払っていく。

 見た目は小さくかわいいけど魔を吸収し凶暴化したうさぎの野獣、ホーンラビット。

 時々その頭のツノから電撃を飛ばしてくるから、小さいと言っても油断がならない。

 感電すると痺れてしばらく動けなくなってしまうから要注意だ。


 タケルは剣を振り回し応戦している、けれど、正直言ってまだ自己流で荒削りな剣だ。

 冒険者の職業がなんでも自由に選ぶことができるとはいえ、別にその職業に就いたからその分強くなるとかそんなことは一切ない。

 全ては本人の資質と努力、経験による。

 戦士職なら先輩の戦士職の人に弟子入りし武芸を学ぶのもよし、街にある武芸道場に通うのもよし、独学で武芸を極めるそんな天才もいないでもない。

 魔道士も一緒。

 魔導書を読み独学で勉強するもの、魔法学校に通うもの、師匠を見つけて師事するもの、色々だ。

 黙ってても戦っていれば魔法を覚えられる、とかはない。

 あたしは一応本で読んで初級魔法を覚えたことにした。

 そのうちタケルにも色々手解きをしてあげよう。

 彼には紅の閃光のリーダーフランシスさんみたいな魔法剣士を目指して欲しい。

 魔法剣士の何が大変かって、普通の人は自分の手に持った剣に魔法を纏わせただけでその剣を持っているのにも耐えられなくなる。

 そう言う意味ではフランシスさんも、そして炎の竜のドワンさんだって、やっぱり一流の冒険者なんだなぁってそう思うのだ。

 まあ、あたしは魔族、それも魔王だからね。ちょっと例外なんだけど、さ。


 ビリビリ!

 一匹のホーンラビットが紫に光り、その紫電をタケルに向けて放出する。


 しかし。


 タケルは慌てずその電撃を手持ちの剣で切ってみせた。


 所詮、ホーンラビットの電撃はせいぜい体が痺れる程度。致命傷になるような強いものじゃない。

 それがわかったからか、タケルは彼らの電撃攻撃に対して全く退くようなそぶりは見せず、逆に一歩踏み出し剣を当てにいったのだ。

 斬ることによって剣にまとわりついた電撃。

 そしてそのままそのエネルギーを自分のマナに取り込んでしまうタケル。


 ふふ。


 やっぱりね。タケルはすごいよ。


 ホーンラビットをあらかた倒したあたしたち。


「今夜はうさぎ鍋かな?」

「うん、いいね、あたしたちが食べる分だけはギルドに売らずに残しておこうか?」

「それでも随分な数になるからね。っていうか持ち帰るのが大変だ」

「大丈夫。あたし、ポーター時代に使ってたおっきいリュックを持ってるから」


 まあこれくらいなら一人で担いでもいけるけど、タケルはシズカにだけ持たせられないって言って半分持ってくれた。

 上手に足を紐で縛り、いっぱい背中にしょって。

 魔魚もたくさん運ぶ時はこうしてたんだよって笑う彼。


 ありがとね。

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