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漆黒の翼。

「じゃぁタケル君は戦士、シズカさんは魔道士でいいのかしら?」

 ルミーナさん、あいかわらず受付であたしたちのお相手をしてくれている。

 ほんとこうしてみるとギルドマスターだなんて信じられないくらい若いお姉さんだ。


 冒険者だったら基本どんな職業を選ぶこともできるけど、それでもその職を極めるには年に一回の昇級試験を受けなければいけない。

 完全実力主義の実技試験だから、腕に覚えがあれば一気に飛び級も可能ではあるけどあんまり現実的じゃない。

 最初誰でも6級にはなれる。そこから先はやっぱり実践経験を積まなきゃ難しい。

 あ、もちろん例外はあるよ。

 戦士職も魔道士もどっちも極めて魔法剣士っていう上級職になる人もいるし、中途半端に戦士職と魔道士を3級まで取ってる人もいる。

 試験自体は年1回しか受けられないし、1級以上のS級を取るのは王都のギルドじゃないと無理だから、上級職になるのも大変なのだ。


 そんなの、もっと上のランクを取りやすくすれば良いのに。


 そんなことを言う冒険者も居る。


 でも。


「簡単に飛び級をして、いきがって早死にしちゃう冒険者さんも多くてね……」

 ルミーナさんが悲しそうな瞳でそんなふうに言うのをみてたら、実力や経験を伴わない昇級がいかに危険なことかがわかる気がした。


 ギルドでの依頼を受けるにはそれ相応のランクが必要だ。

 ダンジョンなんかの攻略許可は、パーティーの誰かが最低でも丙種以上の冒険者免状を持っていなといけない。

 実力、経験と、冒険者としての知識。

 その両端が揃わなければ一流のパーティーとしては認められないのだ。


「職業登録やパーティー登録をても、ソロでポーターのお仕事を受けることは可能ですからね? 二人とも、無理せず経験値を積んでいってくださいね」


「ありがとうございますルミーナさん」


「で、パーティー登録には一応パーティー名っていうのが必要なんですけど、どうします? お名前」


「ああ、それなら……」


 タケルが澱みない声で告げるパーティー名が、ルミーナさんの手元の冒険者名簿に綴られていった。




 ♢ ♢ ♢




 あたしたちのパーティーの名前は、『漆黒の翼』になった。

 黒は不吉な魔族の色、そう言われていたからか、あまりパーティー名につける人がいなかったのもある。けど。

 タケルがあたしの漆黒の髪を褒めてくれて、そんな素敵な名前を考えてくれたから。


 うん。


 嬉しくて、一発で決まってしまった。


 あは。


『漆黒の翼』

 なんて素敵な響きだろう。あたしはすごく気に入って。

 大空にはばたく翼を、あたしはタケルに貰った気がしていた。

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