冒険者として。
「おいおい。いったいこんな魔魚、それもこんな新鮮なもの、どうやって獲ってきたんだよ」
ギルドについてすぐ声をかけてくれたドルトンさん。
タケルを紹介ついでに魔魚の魚篭を見せたら驚いてそんな声をあげた。
「このタケルが獲ったのよ、一人で」
「一人じゃ船だって出せねえだろう?」
「浅瀬に浸かってヒョヒョイと獲ってたから」
「魔の海に入れるのか!?」
「耐性があるのよ。すごいでしょ? タケルったら」
「そうか。それはすごいな。ぼうず」
ドルトンさん、好々爺然としたニカっとした笑みを浮かべタケルの頭をガシガシっと撫でた。
って、撫でてるんだよね? これ。
「痛いよ」
そう言いながらも跳ね除けようともせずこちらも笑顔になっているタケル。
ふふ。
なんだか、いいな。
こういうの。
「しかしあれだな。魔の海に入っても大丈夫なくらいの魔耐性があれば、ひょっとしたら冒険者としても大成するかもしれんな」
「ですよね? ドルトンさんもそう思うよね?」
「ああ。魔耐性が高いってことは魔力特性値も高いってことだからな。魔族のやつらが魔力が強いのも結局それだ。魔力に対する耐性や魔力の特性に対する親和性が高いって話だから。これは期待の新人が現れたのかもしれんなぁ」
「ふふ。ね? タケル。もったいないのよあなたがお魚だけ獲ってるのは。頑張ればきっとすごい冒険者になれるからさ。あたしも手伝うから」
「そうだね……シズカがそう言うのなら……」
「じゃぁあれかい? シズカ、お前やっと冒険者する気になったってことかい?」
「うーん、まあ、そんな感じ? かな。あくまで補佐を頑張るつもりなんだけど」
「はは! そりゃあいい! お前さんたちならいい冒険者パーティーになりそうだ。まあそうだな、回復要員に白魔道士の卵でもスカウトしたらいいさ」
「そんな。都合よくそんな人いるかな」
「若手の中にはお前さんみたいにポーターやって経験値積んでゆくゆくは独立して冒険者になりたいってやつは多いからな。まあ気長に探すと良いさ」
そうだね。ドルトンさんの言う通り、あたしたち二人だけじゃ見た目的にはバランスが悪く見える。最初は草原とかでの活動になるからいいかもだけれど、ダンジョンに挑戦するレベルになったらギルドからもストップがかかるかもしれない。
どうしようかな。ぼちぼちそんなメンバーも探すかな。




