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御前会議。

 コンコン


 部屋の扉をノックして、シシノジョウは魔王シズカ・マックロードの待つ控え室にするりと身を滑り込ませた。


「お待たせしました。皆揃いましたので」


 軽くお辞儀をしてそう報告をする。


「ありがとうシシノジョウ。じゃぁ行きましょうか」


 そうにっこりと微笑む魔王。


 魔王となるには時期尚早、そう思わせる少女然としたその姿に、シシノジョウは先日見た彼女の変化した姿を重ね合わせる。


 あれは、今思い出しても亡きゼノン様そのもの。魔王ゼノン・マックロード、漆黒の魔王そのままのオーラを放っていた。

 そう感じられたのだけれど。


 いや、お嬢はまだまだ俺の知っているお嬢のままだ。この子は俺が支えなければ。

 そう意識を切り替える。


 その漆黒のドレスにはフリルも豪華にあしらわれ、所々に縫い付けられた魔聖石ましょうせきが漆黒のオーラを放っている。

 シズカ様の本来の潜在魔力を疑う訳ではないけれど、これくらいのことをしなければ目に見えるオーラを見せなければ十二魔将を全て統べるには足りない。そう案じるシシノジョウが用意させたものだった。


 そのゴテゴテと飾り立てられた様をシズカお嬢が気に入らないだろう、というのも想定の内ではあったけれど、それでもそこまで文句も言わずに身に纏ってくれただけでもよしとするべきだとシシノジョウは思っていた。


 何しろ今日という日はこのシズカを魔王として本当に十二魔将が受け入れたのかどうかを測る大事な御前会議である。

 先代ゼノンが大霊グレートレイスに還った後、襲名披露までの間はなんとか治まっていた不満や諸々が、このシズカの姿を見てぶり返してこないとも限らない。そんな不安が拭えなかった。



 ビロードの絨毯が敷き詰められた廊下を歩くシズカ。


 彼女の後ろ姿を眺めながら、シシノジョウはまだ若干の不安を隠すことができず。


 こわばった表情のまま、ただただ後を続いて行った。




「魔王シズカ・マックロード様の御成でございます」


 扉を開け侍従がそう魔王の到着を告げた。


 大きな円形のテーブルには既に十二魔将が座っている。シズカの到着に合わせその全てが一旦立ち上がり迎え。


 スタスタと上座まで歩く彼女が席につくと同時に全員着座する。


「それでは御前会議を始める。一同、よろしいか」


 魔王の右隣、側近筆頭の席に立つシシノジョウが開始の合図をし、その御前会議は始まることとなった。

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