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アリエッタ。

「ふふ。なんだか素敵な人ね」


 はい?


 え?


 どういう事?


「え? アリエッタさん。どうしちゃったんです?」


 だってあの姿って完全に魔族だったわけでしょう? ツノがなくてもバレてたのに。


「魔族、だったでしょう?」


「シズカちゃんも気がついた? さっきの人ってこの間助けてくれた魔族の人だったわよね?」


「ええ、たぶん……」


「どうしてわたしたちを助けてくれてるのかはわからないけど、これで2回目よ? 偶然にしては変、じゃない?」


 あうあう。うきゅう。バレてないと思ってやっちゃったけどまずかったかなぁ。やっぱり。


「わたし、もしかしたらあの人商隊の人にこっそり雇われてるボディーガードなんじゃないかって思ってるの」


 へ?


「普通にギルド経由じゃ魔族は雇えないけど、きっとどこかにつてがあるんだわ。そうじゃなかったらこの間みたいな盗賊に魔族が混ざってたら危険だもの」


 まあ、それはそう、だけど。


「きっとヤクザな関係の地下組織あたりだろうから商隊の人もおおっぴらにできないんだわ。でも、きっと帰りもあの方が見守ってくださるに違いないと思ってるの」


 うきゅ。なんだか両手を合わせてお空を見ている、夢見がちな乙女みたいな表情で。


「だからきっとまたお会いできるわ。その時はもっと積極的にアタックしなくっちゃ!」


「ちょ、ちょっと待ってくださいアリエッタさん」


「はう? もしかしてシズカちゃんもライバル?」


 えー?


「いえ、そんな……」


「ならよかった。あんなに素敵な方なんだもの。誰よりも強いし。理想のヒーローだわ」


 うきゃー。これは本気、なのかなぁ。


 魔族だからって躊躇がないのはあたしが思っているよりも普通の人に魔族に対する忌避感が無いってことなのかもしれないけど。


 っていうかここにきて驚いたけど、結構この街にも魔族ハーフもいる感じだし。


 それでもねえ。


 なんだか時代が変わったのかどうなのかわかんないけど随分と認識が変わっててびっくりだ。


 それに。流石にあたしに惚れられても困る、よ。


 あたしは残ったローズティをぐいっと飲み干すと、ほおを蒸気させて熱く語るアリエッタさんをじっと見つめてため息をついた。






 ■■■■■■■■■■■■■



「じゃぁねおやすみ。明日は朝から出発だからしっかり寝ておくのよ」


 宿の部屋の前でそう声をかけてくれたアリエッタさんはすっかり普通に戻ってたけどでもでもやっぱりちょっと憂鬱だ。


 どうしよっか。もうあの格好で現れるのはやめようか?


 でも。便利ではあるんだよね。あたしだってバレないでいられるのは。


 まあどちらにしてもあたしが出張らなきゃなんないような状況にならなければいいだけの話なんだけどね?

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