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空間転移。

 金色の頭を掴んでそのまま地面に叩きつけた。


 両手足がヒクヒクいってるけど、まだ死んでない。大丈夫。


 やりすぎたかなぁとか一瞬考えたけどこれくらいしないと意識を刈り取れなかったのはまあしょうがない。


 手加減しながら相手を屈服させるなんて真似、そうそうできるもんじゃ無いしね?



 さ、て。


 どうしようって一瞬考えて。


 でもこいつを殺しちゃうのも気が引ける。


 かといって人族の警邏かなんかに引き渡しても、手に余るだろう。


 生物としての強さにどうしても差がある以上、下手に人族に引き渡してもこいつが意識を取り戻した時に周りに被害が及そうでちょっと嫌。


 まあこういう時のための権力、かな?


 ちょっとシシノジョウを呼び出そう。




 あたしはコンドルゼノンの魔王城に残してきたあたしのガワ、身代わり人形の方に意識を向ける。レイスの奥深くでちゃんと繋がってるのだ。一瞬でガワの方に意識が飛んだ。


「あ、いたいた、シシノジョウ。お願い、あたしのレイスを辿って本体のいるところまで転位してきてくれない?」


「お嬢! いきなりそれですか? まあいいですよ行きますよ」


「あは。ありがとうねシシノジョウ」


 ちょうどガワの近くで待機してたシシノジョウにそれだけ言うと、あたしはすぐ元の本体に戻る。


 少し遅れて目の前にシシノジョウが現れた。


「ああ、ゼノン様……」


 あたしを見つけたシシノジョウ、そう言葉に詰まる。


「あたしよあたし、ちょっと訳あって父さんの若い頃のマトリクス借りたの」


「ええ、わかりますよお嬢。しかし、そのオーラといい佇まいといい、ゼノン様がお帰りになったようで……。シシノジョウは感激しております」


 はう。もう、しょうがないなぁ。


「それよりもね。こいつ、魔王城へ連れ帰ってくれない?」


「はあ? どこの下っ端ですかね? これは」


「あたし達を襲ってきた奴らの仲間らしいんだけど、一体何の意図でこんなことしてるのか調べて欲しいの」


「まあ、食い詰めて金目当てに人族の命令を聞くだなんて魔族の風上にも置けませんがね」


「もう。そこをちゃんと調べて欲しいのよ。お願い」


 シシノジョウは金色魔人の首根っこを掴んでそのまま元の魔王城まで転位していった。


 あたしも。


 上空にまず大ジャンプ。そのままマトリクスを解除して。


 こっそり御者台のガワに潜り込む。


 ふう。


 これで一段落、かな?






 空間転移っていうのは、レイスのゲートから見えざる手を伸ばし、そして転移先の空間を掴みエイヤってひっくり返す。みたいな?


 そんな感じ。


 一瞬で場所そのものを移動できて便利なんだけど、この魔法を行使するためには転移先が把握出来ないとだめ。


 目に見える範囲なら、まあ瞬時に移動はできるけど。


 見えない場所だと難しい。


 って、空間の座標って、ふわふわゆらゆら常に移動してるんだもの。


 ここだって思って手を伸ばしても、全然違う場所だった、とか?


 目当ての空間を掴もうと思ってもそこには何もなくて空振り、とか、しょっちゅうだ。


 まあでも。


 転移先にあたしみたいにレイスの繋がりを残しておけば、割と簡単。


 レイスを辿るだけでいいんだもの。


 中には転移用に自分のレイスのかけらを残していく人もいたっけ。


 転移陣って感じで場所を確保しておくの。まあ、転移ができる人ってそもそもそんなに数はいないんだけどね?

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