表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/40

漆黒の魔王。

 あ、あれはやばい!


 あきらかに格が違う。


 黄金のオーラを振り撒くその魔人はたぶんその気になればここ一帯を弾き飛ばすくらいの芸当ができそうなくらいの魔力を漂わせてる。



 あたしは御者台にガワ(抜け殻? マトリクスできたあたしの抜け殻ね?)だけ残して上空に飛んだ。


 思考を加速し思案するも。あーん。だめ。


 やっぱり考えてる暇ないよ。


 そのまま全身から黒いマナを放出。


 決めた。


 うん!


 マナで形取ったレイヤーに父の若い頃の姿を映したあたし。


 黒鉄の鎧に漆黒の髪を靡かせ二本のツノを伸ばす。


 マトリクスチェンジ。漆黒疾風風雷神、若き日の魔王、ゼノン・マックロードのマトリクスに変化した。


 あたしの中の父さんの魔王石。その力を解放して。





 ■■■■■■■■■■■■■■■■■



 黄金の魔人がジリッと前進する。


 そのあまりにも圧倒的な魔圧に気圧されながらもフランシスはその手に持ったエクスカリバーを上段に振りかぶる。


「えいやっ!!」


 雷撃剣。


 電撃を纏わせたその魔法剣の剣先が、イナズマとなって伸びる!


 バリバリバリ!!


 直撃すれば。


 そう願い放った渾身の一太刀であったけれど、目の前の魔人はそれを右手一本翳すだけで防ぎきる。


 魔人はそのままカミナリのエネルギーをも右手に吸収し、そしてブン! と、横なぎに振った。


 辛うじて自ら後ろに飛ぶことで鎧が斬り裂かれるに留めたフランシス。しかしそのあまりにも違う力量の差を埋める術を思い浮かべる事はできずにいた。



 ジリッと前に出た魔人が両手を前に突き出した。


 キュルルルル!


 突き出された両手の先で音を立てるように回転するエネルギーの塊があっという間に大きくなり。


 目の前の黄金の魔人は、その、巨大なファイヤボールとでもいうべきエネルギーを放出した。


 それは、フランシスだけでは無くその背後の面々まで全て消し去るだけの威力を持って。


 ああ、これまでか。


 彼がそう観念し天を仰いだその時。




 奇跡が起きた。





 ドン!


 上空から漆黒の塊が落下してきた。


 それは人のようにも見える姿をして、そのファイアボールを受け止め。


 そして。


 そのまま上空にはね飛ばした。


 こちらを確認する様に振り向いたその口から「大丈夫か?」と声が漏れ。


 黒い、甲虫のような鎧。大きな二本のツノはまるでクワガタムシのようにも見える。


 フランシスよりも頭ひとつ分高く、すらりとした長身で。


 背中まで達した黒い艶のある髪が風に靡く。その姿は。




 美丈夫。



 そう表現するのがふさわしい。


 そうフランシスは思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ