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企業の《担当者達》

 さて、《ダンジョン》に潜っていくわけであるが、素人30名が素人のみでいきなり潜り込むと言うことはなく、5人1組に協会の【探索者】が一人つくと言った感じになった。

 そして、俺の所属する班のリーダーが先ほど俺に拳銃を押し付けてきた人だった。

 そう、騎士のような鎧を着た人だった。


「俺は【株式会社猛虎会】の本沢 基裕(ほんざわ もとひろ)だ! 【騎士】の《スキル》を持った三級の【探索者】だ! よろしく頼む!」


 どうやら、【職業系】スキルの三級【探索者】と言う事らしい。

 それに、協会の人ではなく、【株式会社猛虎会】の人らしい。


「あれ、猛虎会って前衛職が突撃していく会社じゃあ……」

「うむ、その認識であまり間違っていないぞ!」


 本沢さんはタワーシールドを装備し、かなり大きめの剣を背中に背負っている。

 対して俺たち……全員が全員初対面だが、全員が全員、銃や弓矢、魔法具のような遠距離武器を持っていた。


「と、とりあえず、入る前に自己紹介をしようか」


 俺は自己紹介を促すことにした。

 このまま本沢さんの意図を聞いていたら揉めてしまって日が暮れそうだ。


「俺は如月 孝明。《時空操作》の四級で、普段は大学3年生だ。よろしくね」


 それに、他の人たちがざわつく。


「あんたが四級の……」

「まあ、所詮実力じゃなくって《ダンジョン》に与えられた《スキル》ありきだからね。一応、空手と合気道は嗜んでいる。後、筋トレが趣味かな」

「あ、なるほど、通りでガタイがいいんだな」


 と言う感じで自己紹介を終えつつ、次を指名する。


「じゃあ、時計回りで自己紹介しようか」

「なら、次は俺だな」


 メガネを掛けたストレートヘアの青年が手をあげる。

 服装は一般的なジャージ姿だった。


「俺は森 健一(もり けんいち)。如月くんと同じく大学三年生で、《熟練度》と言うスキルの二級だ。よろしくな」


 大人しめの見た目と違い結構ハッキリと話す青年だった。


「次は私ですね」


 そう言ったのは、少し髪の量が心許ないスーツ姿のおじさんだった。


「私は 神之田 雄介(かみのた ゆうすけ)と言います。東芝の営業マンをやっています。まあ、皆さん東芝と聞いてお察しの通りですが……。《スキル》は《縮地》と言うらしいです。これって沖田総司とかの技術ですよね? 職業系スキルではないので二級だそうです」


 若干不安そうな表情の神之田さん。できる営業マンっぽい感じもするけれど、今は不安が優っているみたいだった。


「あー……次は俺か」


 面倒臭そうな表情をした金髪にピアスを開けている髭面の青年が、面倒臭そうに自己紹介する。


「俺は柴崎 康平(しばさき こうへい)。フリーターっす。《スキル》は《神業》って言うらしいっす。なんかゲーム的に言えばクリティカルを狙って出せるらしいっす。よろしくっす」


 柴崎さんは自分の級を言わなかったけど、言いたくなかったのだろうか。単に忘れているだけな気もしないが、気にする必要は無いだろう。


「最後は自分っスね!」


 最後は黒髪短髪で眉毛が太く釣り上がった感じの熱血系と言った感じの容姿をした青年だった。


「自分は室園 優成(むろぞの ゆうせい)っス! 《妄想具現化》の三級っス! 代々木アニメーション学院2年生っス! よろしくっス!」


 《妄想具現化》スキルって、凄まじい《スキル》だなと思う。なんらかの制限があるのだろうけれども、人によってはとんでも能力になるだろう。

 普通に考えて、なんでこの人が三級なのか疑問に思った。

 協会の判断基準はどうなっているんだろう?


 で、全員が全員遠距離武器や魔法の杖を持っているわけだが、どうしてだろうか?

 全員が示し合わせたかのように本沢さんの方を見ると、高笑いをする。


「はっはっは! どうだ、俺達が目をつけたのが君達だ! 誇りに思うがいい!」

「は、はぁ……」


 全員が全員そんなことを言われてもって感じの反応をする。


「とりあえず、なんで俺たち全員が遠距離武器何ですか?」


 実際、神之田さんなんかは前衛向けのスキルじゃ無いかと推測できる。


「むろん、初心者にいきなり前衛を任せると、守れないからと言うのもある。あるが、君達には前衛……それもタンクがどれだけ魅力的な職業かを伝えたくてね! 後ろで見守っていたまえという事だよ!」


 この人、この集まりの目的をすっかり新人勧誘の場だと思っているらしい。

 まあ、その一面もあるのだろう。

 実際、周囲を見回すとベテランっぽい【探索者】の人たちが着ている鎧はそれぞれ会社の名前が刻まれているのが見受けられるし、目をつけた《スキル》を持った【探索者】を確保したいのだろう。

 だが、俺たちの目的は、自分の《スキル》を把握する事だ。正直、ダンジョン攻略はその副次的産物に過ぎない。


 だから、なんか微妙な空気が作られていたのかと納得できる。


「む、そろそろ時間だな。我々は4番めに突入する事になっている。君達は後ろで俺の勇姿を見ているといい! そして、前衛職になるために研鑽を行いたまえ! はっはっは!」


 快活に笑う本沢さん。その姿に、俺は微妙な笑みを浮かべていたと思う。


「……あのおっさん、何言ってるんだ……?」


 柴崎さんは呆れたような声音でそう呟いたのだった。

閲覧ありがとうございます!


話の内容はある程度先まで書いているので、投稿までお待ちください!

武器や防具の作成はそれ専門の武器防具屋が存在します。いずれ描写しますが…。

銃刀法違反とかもありますが、当然ながら【ダンジョン探索者免許】にはダンジョンを探索する目的での武器の所持は求められています。細かい要件はありますが…。


ここまでが世界観の大まかな説明です!


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