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最強スキル《時空操作》

 しばらくして、俺は別室に案内された。

 待っている間に、《スキル》の分類について法律の勉強の中で分かっている知識で俺のスキルを考える。

 基本的に《スキル》というのは生涯変更不可能だと言われている。

 そして、この《スキル》には協会が定める分類が存在しており、一番一般的な《スキル》のジャンルは【職業系】と呼ばれるものである。

 他のジャンルは【自然系】【超常能力系】【成長系】と分類がされていたりしたはずだ。有名な【探索者団体】のトップの多くが【職業系】以外の《スキル》だったと記憶している。

 俺が欲しかったのは【職業系】の《スキル》である。はっきり言って就職活動で役に立つのはこの【職業系】だ。それ以外の系統は正直、役に立たないどころか最悪【探索者】以外に職につけない可能性もある。

【神仏系】なんて系統は聞いたことがないが、俺の望む系統でないことは確かであった。


「うーん、就活どうしよう……」


 就活で役に立つから【ダンジョン探索者免許】を取得しに来たのに、【探索者】にしかなれないなんて本末転倒すぎる。

 それも、《時空操作》というヤバそうな《スキル》だ。

 いや、使い方はバッチリわかる。《ダンジョン》に入った時に脳内に《スキル》の使い方をインストールされたのだから、当然だろう。

 だけれども、俺の直感がこの《スキル》を使うのはヤバい気がしていた。

 ただの筋トレ大好きな一般男子大学生がこんなヤバそうな《スキル》を持つなんて、いきなり()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()気分である。

 だからこそ、白鷺さんに俺の《スキル》については誤魔化すように言わなかったわけだ。


「はぁ……どうすっかなぁ……」


 普通に就職して、個人的にはロボットの研究でもしながら普通に生活できれば良かったんだがなぁ……。

 と、ため息をつきながら待っていると、部屋の扉がガチャリと開く。


「失礼しまーす。あ、やっぱり孝明さんだ」


 入ってきたのは白鷺さんだった。


「やっぱり?」


 まるで知っていたかのような物言いに疑問を感じて復唱すると、白鷺さんはニコニコしながら俺の隣に座る。


「はい、私の《スキル》は《未来予知》っていう【超常能力系】のスキルだったみたいで、ちょっとだけ先の未来が見えるみたいです。それに、孝明さんが私と同じように【職業系】のスキルじゃないこともわかっていましたしね」

「まあそうだよなぁ……」


 流石にそれは予想できるか。

 ならばせっかくだしもう一つ気になったことについて聞いてみようと思い立ち、疑問を口に出す。


「そう言えば気になったんだけれど、白鷺さんってなんで俺のことを名前で呼んでるのかな?」

「ん? そうですね……説明が難しいですけれど、私の《スキル》の影響って言って納得しますか?」

「未来予知、ねぇ……。《スキル》だから精度自体は高いんだろうけれど、よくわからないんだよなぁ」


 どうやら、白鷺さんは《未来予知》の結果俺を名前で呼ぶようになったらしい。

 理由はわからないが。


「説明が難しいですけれど、私の《未来予知》はこれから選ぶ選択肢の先が少しだけみれるという感じなんですよ。それで、孝明さんと仲良くなる未来が一番良さそうだったので、話しかけちゃいました」

「ふーん、あ、そうなんだ」


 美少女にそんなことを言われてしまうと、なんだか照れてしまう。

 多分今俺の表情はスケットダンスのボッスンが照れているような表情をしている気がする。

 そんなことを言われると流石に悪い気がしない。


「お待たせしました、如月さん、白鷺さん」


 と、協会の人が部屋に入室してきた。

 先ほど案内をしていたスーツ姿の女性だった。


「お二人の【探索者】ランクが規程に則り決まりましたのでお伝えに参りました」


【探索者】ランクというのは、よくあるようなAランクだとかそういう区分分けである。

 基本的に初期ランクは【職業系】ならば初級、それ以外だと二級、三級といった高位ランクでスタートする場合もあるらしい。

 当然ながら、ランクが高ければ高いほど【探索者】としての実力があるとみなされるし、高ランクだとまるで博士号のように就職先が制限されてしまうのだ。

 世の中、《ダンジョン》を攻略して消滅させることは()()()()()()()()()ことだからね。

 新宿ダンジョンのように【日本ダンジョン攻略協会】が管理する《ダンジョン》以外は基本的にダンジョンボスを討伐後に《ダンジョン》の入り口を閉じることが推奨されているのだ。

 つまり、【探索者】として高い実力を持っている人は【探索者】として《ダンジョン》を攻略せよ、ということである。

 俺もこれまでだったら【ダンジョン災害】が起こったら何やっているんだよ【探索者】と呆れていたはずである。下手すれば5chやツイッターに悪態を書いているだろう。

 つまり、高位ランクの【探索者】はそれだけ社会的責任も伴うわけである。


「では、こちらにあなた方のランクが記載されています。確認をお願いします」


 茶色い紙袋にA4用紙が入っているものが手渡された。

 中を拝見すると、ランクが記載された紙に色々な資料が入っているのが確認できた。

 嫌な顔をしながら、俺はランクが記載された紙を取り出す。

 まるで卒業証書のように豪華な模様が描かれた厚紙に、俺の名前である如月孝明と、《スキル》である《時空操作》、そして【あなたのランクは ()() です】の文字が書かれてあることを確認する。


「え、よ、四級?!」

「すごいですね、孝明さん! 私は三級でしたよ」


 四級の探索者といえば、最前線で戦い続けるレベルのランクである。

 決して《スキル》もらいたての奴がなるようなランクではなかった。


「え、ちょっと待ってください! 流石に四級って何かの間違いじゃないですか? これって即戦力、ダンジョン難度が相当高いところでも5人程度のチームで攻略可能ってレベルですよね?!」

「間違っていませんよ。むしろ四級でも低いぐらいと言われていますからね。《時空操作》のスキルなんて前例がありませんし、どんなスキルかも《鑑定士》で鑑定した範囲でもわからない部分も多いですからね」

「え、《鑑定士》でもわからないんですか?」

「ええ、【職業系】のスキル《鑑定士》では鑑定結果でわかる範囲がその個人が知っている知識の範囲内ですからね。【超常能力系】の《鑑定》ならばより精度の高い鑑定結果を得られますが、協会には所属していませんし……。というわけで、如月さんのランクは四級ということになりました」


 スキル《鑑定士》の裏事情は知らなかったけれども、どうやら俺のスキルは俺の想像の通りとんでもチートスキルだったようである。

ゲンナリしている俺をさておき協会の女性係員は俺の《スキル》の解説をする。


「《時空操作》スキルについて鑑定結果で分かっていることは2つです。

 1、《ダンジョン》内に限り時間を短時間であるが戻すことが可能。

 2、空間の切り取り、空間の移動が可能。

 これ以外にも如月さんしかわからない《スキル》に内包された能力があると思われます」

「……」


 それは、指摘通りだった。

 言葉にするのが難しいけれども、並行世界の観測ができるし、《ダンジョン》内に限ればいわゆる『デジョン』のような使い方もできる。

 そして、やりようによってはこの世界そのものを破壊することすらできそうであった。

 なんだろうこのチート能力は。《スキル》を取得した瞬間に唖然、呆然としてしまうのも仕方のないことだろう。


「そういうわけで、鑑定結果で出た内容から四級がふさわしいと判断させていただきました。封筒には【探索者】組合の資料が入っていますので確認をお願いしますね。あと、報酬プラン等は組織によって異なりますので、自分がどの組合に入るか、それとも個人で活動するのかはよく考えて決めて下さい。また、保険についての資料も入っていますので、必ず入るようにしてください」

「は、はあ……」

「白鷺さんの方も確認をお願いします。また、白鷺さんは未成年ですので保護者の許可も必要になります。必要資料を同封していますので確認をお願いしますね」

「はい、わかりました」


 俺はため息をついて、ランクの書かれた紙を見つめる。

 四級というのは、【職業系】スキルだとなるまでに早くても10年かかると言われている。いや、実情は知らないけれども。

 基本的に四級以上のランクは【職業系】以外のためのランクということになる。ネットの噂を鵜呑みにするならばだが。


「では、後日同意書や保険の契約書など提出する資料を郵送で送ってください。また、お二人は《スキル》の確認をしたいので、後日連絡させていただきますね」


 と、そんな感じで俺たちは資料を受け取り帰宅することになった。

 俺は外に出て、白鷺さんが隣にいるにもかかわらず肩を落としてため息をついたのだった。

初投稿です(白目)


閲覧ありがとうございます!

最強チートスキルを与えられてしまった主人公『如月孝明』はどうするのか?!

白鷺さんと仲良くなれるのか?!

面白かったら評価とブックマークをお願いします!


以下、主に出てくる《スキル》の解説です。

ちなみにこの物語の《スキル》の名称は《鑑定士》が鑑定した結果から付けるものです。

そのため、同じ名称の《スキル》であっても制限事項や効果対象が異なってたりします。

ーーーー


【職業系】スキル

・《鑑定士》

 能力…個人の知識の範囲内で理解できるように物事を鑑定することができる

 通常生活においても鑑定の能力を使用でき、知識の習得がしやすくなる

 ※個人差があります


・《戦士》

 能力…近接戦闘に関しての能力が上昇する

 通常生活においてもスタミナが上昇したり、運動能力が上がったりする恩恵がある


・《魔法使い》

 能力…《ダンジョン》において魔法が使えるようになる

 通常生活においては、IQが上昇するため、閃きや思いつきがしやすくなる

 ※個人差があります


・《僧侶》

 能力… 《ダンジョン》において回復系魔法や支援系魔法、聖属性の魔法を使えるようになる

 通常生活においても回復魔法は威力弱めで使える


【自然系】スキル

・《炎》

 能力…自分の体を炎に変えて攻撃することができる

 通常生活においては体の先端を任意に自然発火させることができ、火傷をしなくなる


・《水》

 能力…自分の体を水に変化させることができ、それによる攻撃ができる

 通常生活においては水中で呼吸できるようになる

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