第81話 そっくり親子です
「なあ、勘助」
「何だい? ハンニバル」
「俺は長い間、カデンの加護を使ってこなかっただろう」
「そうだね」
「…カデンは、どうして俺を見捨てなかったのだろうな」
ゆったりと椅子にもたれていた勘助が、ガバリと身体を起こす。
「ええっ!? ハンニバルは本気で分かっていないの!?」
「か、勘助?」
勘助が特大のため息をつく。
「ハンニバルはねえ! 超甘々なパパだよ!甘やかし過ぎだって、みんな思ってたよ! カデンちゃんが訓練について来てくれないって激しく落ち込んで、カデンちゃんが待ってるからって帰り際はソワソワして。
休みの日はカデンちゃんとのお出かけを目撃されてたでしょ! お洋服を買いすぎとか、甘やかし過ぎとか! いろいろ言われていた自覚ないの!?」
スィーっとハンニバルが目をそらす。
「言われてみれば…そんなことも…」
「あったの! いつも言われてたの! あんなに可愛がられて不満なんてある訳ないでしょ! カデンちゃんはハンニバルのことが大好きだよ!」
「そ、そうか…大好きか……ふふっ」
ハンニバルの顔がだらしなく崩れる。
「……ハミルカル将軍がオロチちゃんを溺愛してるの、ハンニバルがカデンちゃんを甘やかす姿にそっくりって評判だからね」
ゴットン!
ハンニバルがコーヒーカップを落とした。
「ま、ま、ま…まさか……あれと?」
ハミルカルが『オロチちゃーん、オロチちゃんは可愛いなー』と猫撫で声で溺愛する姿が目に浮かび、動揺が隠せない。汗が止まらない。
「ああ、似てるねえ」
「天殿も思ってた?」
「うん」
ハンニバルが真っ白だ。
オロチを溺愛する父親をみて、今日もデレデレしているな…とか、締まりがないな…とか思っていたのに…。




