第80話 はぐれ精霊をゼロにするよ
保護した精霊は勘助のウェンディと気が合ったようでお互いに離れたがらないので、引き続き勘助と暮らしている。
「勘助、入るぞ!」
ハンニバルが勘助の執務室にやってきた。
今日は阿修羅だけで無く、天も一緒だ。
「あっくん、ウェンディちゃんとエイミーちゃんと遊んでおいで」
ちびっ子精霊たちが外に飛び出していった。
「エイミーちゃんの状態も安定しているようだね」
「ああ、安定しているし再び “はぐれ精霊” になる心配はなさそうかな」
エイミーを連れ帰って2週間ほど経過したが問題は起こっていない。
「はぐれ精霊になる原因は契約者との修復できないトラブルとみて間違いないだろうね」
「僕もそう思うよ。はぐれた後、長く一人ぼっちでいると人を襲うようになるんだと思う。オロチもハミルカル将軍のペットになって満足そうだしね」
天と勘助の考えは一致しているようだ。
「今回のケースは神殿を通して外国にも共有するよ。現在でも精霊への虐待は犯罪だけど、虐待を知っていて見逃すことも罪としたいね。通報を義務化したい」
相変わらず勘助は叔父である国王より立場が強いようだ。
「それだけじゃダメだよ。どうしても上手くやっていけない場合、神殿に申し出れば人間も精霊も救えるようにしないと。僕は人間も精霊も両方救いたいな」
「天殿…」
「今回のケースは人間の側に非があったけど、単純に相性の悪い人間と精霊の組み合わせだってあるさ」
「それは、あるかもしれないな…」
「精霊との契約を、もっと自由に解消することが出来るようになれば良い」
「て! 天殿!?」
天の提案に勘助が驚く。
「絶対に契約を解消してはいけないという脅迫めいた社会のルールのせいで我慢している不幸な人間と精霊がいて、さらに不幸が重なって “はぐれ精霊” が生まれる。それなら自由に解消出来れば良いんじゃない?」
「労働所を増やせばいい」
天の思い切った提案に勘助が反応出来ずにいるとハンニバルが発言した。
「精霊との契約を解消しても誇りを持って働くことは可能だ。スキルは使えば使うほどレベルが上がる」
「僕もハンニバルに賛成。制度として整えるだけなら誰も傷付かないよ。自由に解消出来る制度を利用する人がいないなら、それでもいいんだ」
「そうだね…。他国では、とても実現出来ない制度だろうから、うちでやろう。精霊との契約を解消したい外国人も受け入れるようにするよ。陛下の説得は僕に任せて。問題は神殿だね」
「あ、大丈夫。もう話してあるよ」
天がニコニコと受け合う。
「神官たちは不幸な精霊を出さない制度を歓迎するって」
天が目を丸くする。
「決まりだな」
「そうだね、ありがとうハンニバル、天殿」
・ 将来に渡り不幸な人間と精霊を救って+プラス56,700,000ポイント
阿修羅のポイントがプラスに転じた。よほどのことがない限り、風花を看取った後で神に復帰できるだろう。




