第77話 男役って素敵!
「ユウキ様…素敵だった」
「れい様もよかったよ」
「僕はみんな素敵だと思ったよ。あえて1人選ぶなら…リョウ様かな。のびやかな歌声と堂々とした姿がいいよね。また観たいな」
風花とカデンと天が蛍塚歌劇団にハマった。
3人とも男役に夢中だ。
「俺、よく分からなかった」
「俺もだ」
阿修羅とハンニバルは良さが分からなかったらしい。
「また観に行くくらいなら、ダンジョンか焼肉食べ放題の方がいい」
「俺もだ」
ハンニバルと阿修羅の距離が縮まった。
しかし王都での蛍塚歌劇団の評判は上々だ。
風花たちのように男役に憧れる女性が多く、ファンクラブも出来た。
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「隊長! 相談って何ですか?」
「風花ちゃんと喧嘩でもしましたか?」
「この間のデートは上出来でしたよ。カデンちゃんと天さんのおかげで」
困ったハンニバルは部下のパリピ3人組を呼び出した。もちろん阿修羅は勘助に預けた。
「風花が…蛍塚歌劇団に夢中だ……」
「ああ…ファンが急増していますね。僕はすでに6回観に行きました」
「男役に憧れる女性が多いけど、娘役の女性も可愛いんですよ。僕は夢香ちゃん推し」
「僕は娘役ならリラちゃん推しで、男役ならマオ様推しですね。いろいろな楽しみ方が出来て素晴らしいですよね」
「…………!!!」
驚きすぎて声が出ないハンニバル。驚愕の表情でパリピ3人組を見返す。
女性人気を奪われたパリピ3人組は反蛍塚だと思い込んでいたが、この3人は上級者過ぎた。いろいろな楽しみ方って何だ。
「俺は…楽しみ方が分からなかった…」
「よく分からなかったっていう方も少なくないんですよ。女性でも一度観れば充分って子もいるし」
「そうなの?」
「恋人と同じ趣味を楽しめたら、それはそれで楽しいけど、隊長が蛍塚を好きじゃなくてもいいんですよ」
「相手が女性だから、のめり込んでも架空というか妄想の域なので、むしろ安心ですよね」
「そうか…そうだな」
「風花ちゃんの趣味を尊重して、絶対に批判しない」
「劇場の送り迎えはしましょうね」
「そこを守れば、これからもうまく行きますよ」
「分かった」
ハンニバルはパリピ3人組の教えを守り、風花たちの趣味を批判せずに見守り、風花たちから信頼された。
これからもパリピ3人組の指導で風花との距離を縮め、最終目標である結婚にたどり着きたいハンニバルだった。




