第73話 もっと証拠を!
監視カメラと盗聴器でモニターを始めて1週間経った。
「証拠はボチボチ。でも決定打に欠けるかな。もっともっと犯人は多いと思うんだよねえ」
カデンの加護を使いこなす天が、監視カメラの映像と盗聴器の音声の、証拠になる部分を集めて編集した映像と音声の再生を終えた。
天はまだ満足出来ないようだ。
「寮のお嬢さん達には不便を掛けるけど…」
「いや、俺も見逃される犯人が居てはならないと思うから賛成だ」
このまま犯人たちを泳がせ続けたい天の意見に賛成するハンニバル。
カデンたちと女子寮の代表が神殿で落ち合い、これまでに録画・録音されたものを確認し終わったところだ。
「私たちも中途半端なことをしたくないと思っています」
「ここまでしっかりとした証拠を集められるなら、関わった全員を追い詰めたいです」
女子寮の代表たちも天に賛成のようだ。
「でも不快でしょう?」
風花は証拠集めを続けることに反対のようだ。
「犯人を取りこぼすよりマシだわ」
「ちゃんと証拠を集めることが出来ているから我慢できます」
「それに今、外干ししている下着類は囮なの。敷地内で放し飼いにしているワンちゃんたちが履いたパンツよ」
「犯人を捕まえたら真実を知らせてやるのよ、楽しみだわ」
寮生たちはやる気だった。
全員一致で証拠集めを続けることになった。
「では最後にまとめるよ! 証拠集めは続ける。証拠のために危険なことはしない。証拠を掴んでいることは犯人たちに知られないようにする。これは絶対に守ってね」
「もちろん!」
「調子に乗らせて証拠を提供してもらうんですよね!」
「今日ここに居ない全員に徹底させますから!」
「天殿の言ったことは証拠集めのためというよりも、君たちの安全のために守ってほしい。
くれぐれも1人で行動しないように。王都を守る治安部隊員と近衛部隊員は全員事情を把握している。寮生だと名乗れば通じる。
大袈裟なくらいでちょうどいい。不安を感じたら呼んでくれ。一般人でも第六感というのは侮れない。不安を感じたら呼ぶんだ。女性隊員が向かう。呼ばれたのに何でもなかったとなるのが理想だ。
我々を呼んだだけで防げる犯罪があると知ってほしい」
近衛部隊の隊長で王都治安部隊の部隊員でもあるハンニバルのセリフは重かった。そしてちょっとかっこよかった。
「あ、あのね! このあいだ観に行ったの! 舞台! 何だっけ風花ちゃん?」
「ディランさんが出演したやつ? “今夜、古墳で7時” だよ」
「バル! 風花ちゃん! 次のデートもお芝居がいいな! だから早く犯人が捕まるといいね!」
カデンが予防線を張った。
── ナイスなサポートだ、さすがカデンだ!
「ああ、犯人を捕まえたら出掛けよう」
── 危な〜い! バルは黙ってたらイケメンだって忘れてた〜。風花ちゃんとの関係が拗れちゃったら大変!
ここに集まった寮生は全員にラブラブな恋人がいるのでカデンの心配は完全に余計だった…。




