第72話 天とカデンが大活躍
「私たちの家の2階にモニターを置くよ!」
女子寮と男子寮に監視カメラと盗聴器を山ほど仕掛けて帰宅した。女性たちの服のボタンやアクセサリーにも小型のカメラと盗聴器を仕込んでハンニバル家の2階の空き部屋に集合した。
「こっちが女子寮、こっちが男子寮に仕掛けたものね! 男子寮は建物メンテナンスのスタッフに扮して天パパが仕込んでくれました! 全部バッチリ! 絶妙な角度だよ、神様の能力ってすごいね!」
大量のモニターを前にカデンが張り切る。
「あとは普段通りの仕事を続ければいいなんて便利だねえ」
「本当は大変なんだよ。盗聴器も仕掛けた数だけ全部聞かなきゃいけないし、監視カメラの映像も見なきゃいけないから大勢の人が必要なの。今回は天パパが1人で全部出来ちゃうから楽ちん!」
「これくらいなら、いつも通りの仕事をしてても大丈夫だよ。この部屋に半分だけ意識を集中しておけばいいだけだから」
「パパ、すげえ!」
阿修羅が尊敬と愛情を込めて天を見上げる。
「証拠を固めた後は、あっくんの出番だよ」
「任せて!」
阿修羅が尻尾を振る。
「……」
ハンニバルが空気だ。
── せっかく風花をデートに誘う計画だったのに…しかも俺の存在感が台無しだ! 卑劣な犯罪者たちめ! 許せん!
ハンニバルが怒っていた。逮捕した後、犯人で憂さを晴らすつもりかもしれない。
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「それでカデンちゃんの加護の出番という訳ね!」
「うん、最初は誰か別の精霊を連れてきて風花ちゃんに紹介するつもりだと思いこんでて焦っちゃった!」
晩ごはんを囲む食卓でレミたちに説明するカデンが恥ずかしそうにテヘペロする。
「カデンが風花にしがみついた時、ハンニバルが淋しそうだったぞ!」
「ち!違うから! バルも大事だから!」
阿修羅の指摘に焦ったカデンがハンニバルに寄り添うと、ハンニバルが無言でカデンを抱き上げる。
「ごめんねバル…」
「カデンの居ない生活は考えられないぞ」
「私もバルのこと、大好き!」
カデンがハンニバルに頭をグリグリする。
「俺も風花と離れるなんて考えられないな!」
阿修羅がピョコンと風花の腕に飛び込む。
「じゃあ今後も風花ちゃんとハンニバルの協業は続くと思っていいんだよね?」
さりげなく天が確信をつく。
「俺は賛成! 風花は?」
阿修羅が可愛く風花にたずねる。
「私もカデンちゃんと一緒にやっていきたいな」
「嬉しい!」
─ ゴツ!
勢い良く頭を上げたカデンの頭がハンニバルの顎を直撃し、油断していたハンニバルが倒れた。




