第63話 カップル成立
「そうかい、もう何年もストーカー行為の被害に…」
「災難だったねえ」
「いくら見た目は美人でも、あれはないわー」
勘助が妹の安を連れて引き上げていくと、ご近所さんが集まってきた。
プリプリと怒るカデンが、数年に渡るストーカー行為について説明すると一同、ドン引きだった。
その側で硬直したハンニバルが、これからどうしていいか分からず空気になっていた。成り行きで秘めた想いをすべて暴かれてしまった。消えてしまいたい。
なぜ自分にあんな地雷女が目を付けたのか…部下のパリピ3人組がターゲットなら分かる…なぜ自分なのか。
「でもキチンと対応してもらえそうで良かったな!」
「もう気がかりは無くなったから、正々堂々と交際を申し込めるわね!」
「良かったな!」
期待でいっぱいのご近所さんがハンニバルと風花をチラチラ見る。
── ストーカー女が風花を害する可能性があるから告白出来なかったんじゃない。告白出来なかったのは、俺がヘタレだったからだ。…でも、そんなこと言えない…言っちゃいけない状況だ。
ヘタレは諦めて風花に向き合った。覚悟したのではない。早く事態を収めて部屋で泣きたかったからだ。
「風花、巻き込んでしまってすまない…」
「うん…」
「カデンと勘助が暴露した通り、俺は風花のことが好きだ。風花は合コンに興味があるようだが、俺は参加して欲しくないと思っている。そんなものに参加するくらいなら俺と一緒に過ごして欲しい」
「風花ちゃん! バルにエスコートとかデートとか、私がちゃんと教えるから!」
カデンの一言に『カデンちゃんが指導するなら間違いないな!』と野次馬たちが盛り上がる。
「私…初めてバルさんにあった時、ものすごいイケメンだって思った」
野次馬たちとハミルカルが、おおー!と唸る。
「すぐに隣に引っ越してきて、ちょっと引いた」
野次馬たちとハミルカルから、あちゃあー…と声があがる。
「阿修羅たちと一緒に散歩に行って、海に入ってタコを捕まえてきた時はドン引きだった」
野次馬たちとハミルカルの顔が引きつる。
「でも、そのタコを私たちに見せないように綺麗に処理して美味しく食べさせてくれて見直した」
野次馬たちとハミルカルの顔が期待に輝く。
「カデンちゃんを大事にしてるバルさんはカッコいいと思う」
「バルは風花ちゃんのことも、すっごく大切に思ってるよ! 悪い印象がないなら付き合ってみて! 付き合ってみてダメなら諦めるから! お願い!」
「うん。よろしくお願いします」
野次馬とハミルカルたちから歓声があがる。
「やったな!」
「おめでとう!」
「明日はデートだな!」
「しっかりな!」
ハミルカル達からバシバシ背中を叩いて祝われるが決めてはカデンだった。自分はほぼ空気だったので複雑なハンニバルだった。




