第59話 浮き足立つ部下たち
リード・テクニックとは、3段階の工程で構成される容疑者に対する尋問法である。
そのテクニックをカデンに使えなかった…というか使うまでもなかった。
夕飯の会話で、風花に好意を寄せて、店に通っている男達の詳細があっさり判明したので、これ以上の情報をカデンから引き出す必要はない。
──── それにしても合コンだと!?羨まけしからん! それにあれだ…ポ!ポ!ポ!ポッキーゲームなどハレンチ過ぎる!
カデンを寝かしつけながら興味津々で合コンゲームの詳細を聞いたハンニバルは、知恵熱を出してうなされた。しかし健康なので朝、目覚める頃にはスッキリしていた。
「…バル……ハンニバル」
「な、なんだ!?」
自分の世界に浸り、考え込むハンニバルに声を掛けたのは勘助だった。
「聞いたよ! 合コン!」
ハンニバルが固まった。
「うちの部隊の独身率の高さ! 気になっていたんだよね。職人や商店のお嬢さんは同じ職業の人をパートナーに希望することが多いし、危険も多い軍人は敬遠されがち。女性の軍人とはお互いにタイプじゃないって避ける傾向にあるし。合コンというのは実に良いシステムだな!」
勘助がいきいきしている。
「カデンの知識も捨てたものじゃないな!」
勘助の後ろで阿修羅が尻尾を降っている。
── 勘助にバラした犯人はお前か!
涙目で阿修羅を見るハンニバル。
「ご、合コンって素敵な響きだな!」
「俺にも彼女が出来るかな?」
「王様ゲームの練習しようぜ!」
「それよりパリピたちにモテる極意を聞きに行こうぜ!」
いかつくて女性に避けられがちな可愛い部下達がはしゃいでいた。こんなに嬉しそうな姿を見てしまっては、反対だとは言えない。
── 仕方ない…俺も一度や二度や三度くらいは参加しなければならないな。…本当に仕方なくだ。俺は風花を思っているからな! ふしだらでハレンチな理由で参加する訳じゃないからな!
「ハイハイ! みんな落ち着いて! 軍人と合コンしても良いってお嬢さんは僕らで探すから、それまでに落ち着いた男ぶりを磨いてね! 今の様子だとカップル成立は難しいよ! それから実施する時は僕やハンニバルみたいな上の立場の者は遠慮するから自分たちで自覚を持って振る舞ってもらわないとダメだよ。後からお店やお嬢さんたちからヒヤリングするからね! ハメを外しすぎたら次回から参加禁止ね!」
── なんだと…? 俺たちは参加しないだと!?
「えー! 行かないんですか?」
「隊長たちも独身じゃないっすか?」
── 良いこと言うな! お前らは昇給だ!
「上長と一緒にお見合いなんて嫌だろう?」
── 勘助!?
「あー、まあ…」
「そりゃ、そーですね!」
「さすが勘助さん」
「分かってるう!」
── やっぱり減給だ!
ちなみにハンニバルの部下であるパリピ3人組は、まだまだ結婚するつもりがないため合コンに参加しない。




