第56話 狩野、いきいきと働く
「狩野が配属された部隊を視察?」
「そう。難関ダンジョンが多い北部の山脈地帯に配属されて、そろそろ1ヶ月なんだけど、狩野ちゃんが加わって、第6討伐部隊が良い方向に変わったって評判なんだ」
「…あいつらが?」
まさか、そんな事があるわけ無いと疑問だらけのハンニバル。
もともと第6は荒っぽいことで知られており、第6が派遣される地域では、必ず揉め事が起こるため、派遣が決まると「来ないでくれ」と領主や市民団体から続々と嘆願が届くような嫌われ部隊だ。
「変われるのか? あいつらが?」
「ハンニバルの気持ちは分かるよ。なので状況を確かめたいんだ。荒っぽい奴の集まりだから腕っぷしの強い者しか連れて行けない」
そんな訳で勘助とハンニバル、阿修羅が北部山岳地帯にやってきた。
── 第6の隊員たちが別人のようだった
「嘘だろう…」
「清潔になってる…」
勘助とハンニバルが呆然とつぶやいた。
粗野でだらしない身なりが最大の特徴だった第6部隊が清潔になっていた。
「勘助さぁん! バル! 久しぶり♡ ワンちゃんも久しぶりね」
背後から紫色の声が聞こえてきた。
覚悟していたハンニバルだったがビクリと身体が反応してしまったし、咄嗟に勘助の後ろに隠れてしまった。
「狩野ちゃん久しぶり、元気そうだね」
「なんだか、いきいきしてるな!」
「ワンちゃんのおかげよう! ここは天国だわ」
勘助と阿修羅が狩野に声を掛けるが、ハンニバルは、その後ろで空気に徹している。
「第6が清潔になってるね、これは狩野ちゃんの影響かな?」
「うふふ。私が来た時は大分荒んでいたのよう! お話し合いは無駄っぽかったから、挨拶がわりに私と一緒にお風呂に入ってもらったのよう! 全員と! 1人ずつ! 力づくで強制的にね♡」
「へえ、それは凄いな! 奴らも狩野ちゃんには乱暴なこと出来なかったのか」
「私の方が力が強いし、…魔力で拘束して洗いやすいポーズで固定して撫で洗いしたの。恥じらったり『アーッ!』って叫んだりで…楽しかったわ…。ちょっとやんちゃな坊やをお風呂に入れるお母さんみたいな? お風呂から上がる頃にはみんな従順になっていたの。反抗的なのも従順なのも、どっちも美味しいわよね!」
── 美味しいだと?(ハンニバル心の声)
「それは期待以上だよ狩野ちゃん、素晴らしいね!」
狩野を称賛する勘助の背後でハンニバルがガクブルと震えていた。
青い顔で「固定…拘束…アーッ…」とつぶやいている。
「キレイに洗って髪やヒゲ、身なりを整えてみたら、いろんなタイプのイケメンが出てきたのよう!」
「うん、みんな別人のようだね! それに、あの汚かった駐屯地がお洒落なカフェみたいだ」
いま狩野と向き合っている食堂兼集会所が王都のお洒落なカフェのようだった。狩野がいれてくれたお茶も“映え”を意識したお洒落なティーセットでいれた紅茶だ。
「私の趣味で改装しちゃった!」
「うん、狩野ちゃんのイメージに合うよね。第6の奴らには違和感しかないけど…」
「このクッキー、うまいな!」
「ワンちゃんは甘いものを食べてくれるのね、嬉しいわ! ここのみんなは食べてくれないのよ。ねえ、バルもいかが♡」
「い、いや…俺も甘いものは…」
完全に腰の引けているハンニバルに狩野がグイグイ迫ってくる。
── くそう…なんで俺にはグイグイくるのに勘助には普通なんだ!
「なあ! 俺、視察よりもダンジョン行きたい! 狩野と一緒なら行ってもいい?」
「そうだね、僕らは視察に来たから第6の部隊長との面談もあるけど、阿修羅殿と狩野ちゃんは抜けてもらっても問題ないかな」
── ナイスだ阿修羅!(半泣きで喜ぶハンニバル)
「やった! 行こうぜ!」
「ワンちゃんのお願いなら断れないわね」
「うまい肉がドロップするダンジョンがいい!」
「夕方までに戻ってね」
「分かったわ勘助さん」
勘助とハンニバルは人が変わったような第6の部隊長との面談や部隊の視察を終え、ドロップした肉を大量にゲットして大満足の阿修羅と共に王都に帰っていった。
・ はぐれ精霊の邪な欲望からハンニバルを守って+プラス100ポイント
・ 攻略難易度の高いモンスターを討伐して+プラス5,000ポイント




