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第37話 ハンニバルの妄想

――― 阿修羅のやつ…どさくさに紛れて風花の口元をペロリと…。


ハミルカルが食欲を満たしている間、空の上のハンニバルは悶々としていた。


――― というか…あまりにも自然だった。………ま、ま、ま、まさか………普段から、あのように行きすぎたスキンシップを…!?


ハンニバルの妄想が止まらない。



――― そういえば阿修羅は神だったな。…神といえば……。


目を瞑り各地の神殿に納められた神々の像を思い出すハンニバル。


――― どの神もナイスバディなイケメンばかりじゃないか!!


あんなイケメン神や、こんなイケメン神の像を思い浮かべ、カッと目を見開くハンニバル。


――― しかも半裸か全裸のくせにカッコつけたポーズで! 神々とは変態なのか!?


バチが当たりそうな妄想に発展した。


――― 阿修羅の像は見たことはないが、神にブサメンはいない。いやフツメンすら見たことがないぞ。イケメンで万能……俺に勝ち目はあるのだろうか?


いやいやいや!

種族が違いすぎるしな。ワンちゃんだ。

大丈夫だ、ないないない!


………本当にないと言い切れるか…?



「……ル!! おい、ハンニバル!」

「っ! な、なんだ!?」

勘助に揺さぶられ我に帰る。


「そろそろ休憩しよう、阿修羅殿も昼メシが待ちきれないようだしな」

「今日の昼飯、楽しみだな! 何だろな?」


「あ、ああ…すまん。分かった」

「慎重になるのはいい事さ。俺もハンニバルも国内のダンジョンすべて攻略済だが、油断すれば命に関わる。今回も難易度が低めのダンジョンから慣らしながら進む予定だが気を引き締めていこう」

「2人とも気が早いな!飯食ってから考えようぜ!」


――― 能天気なワンちゃんめ!


ハンニバルは心の中で叫んだ。



「豚汁弁当、うまかったな!」

「空路は冷えるから暖かいものをって、気遣いが嬉しいよねえ。阿修羅殿のおむすびは海苔で顔を描いてあったね」


阿修羅の分のおむすびだけ三角型の形をいかして犬っぽい顔が描かれていた。

「父ちゃんが描いてくれたんだと思う!今日も俺に似てた」

阿修羅の尻尾がぐるぐる回る。


「もう少しドラゴンを休ませたら出発しよう。夕方には山脈地方に到着予定だから、何もなければ明日からダンジョンだよ。東から西に向かって難関のダンジョン5つ、全部を回る。もちろん途中で休息は取るから安心して。移動はドラゴンに運んでもらってショートカットするよ」


阿修羅達がダンジョンに入っている間、ドラゴンは砦で世話をされ休息する。


「俺は休まなくてもいいんだけどな!」

「僕らが持たないから付き合ってよ」

「もちろんだぜ。俺は聞き分けが良いからな!」


「助かるよ、最初はレベル8の岩山ダンジョンね。レベル8は、あらゆるタイプのモンスターが出現するけど、岩山タイプだからドールシープとか人食いヒヒ、闇キジとか、そんなタイプが出現する。幻覚とか催眠を使ってくるモンスターもいるから注意ね。

 ここのモンスターのレベルの上限は51〜60。僕とハンニバルの2人でも油断しなければ攻略可能なレベル」


「モンスターの氾濫を防ぐために倒しまくるんだっけ?」

「そう、最短距離でボスを攻略したいかもしれないけど各フロアに一定時間は滞在する。出現したそばから倒しまくるよ」


「任せろ!腕がなるぜ」


お散歩が楽しみで興奮がおさまらないワンコのようだった。

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