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第36話 ダンジョンツアーに行ってきます

「阿修羅もバルさんも無理はしないでね」



――― 風花が (阿修羅のついでに) 俺を心配して…トキメキで死にそうだった。少し距離と時間を置くためにも、このタイミングの遠征は大歓迎だ。

……大歓迎だが切ない。当分の間、風花に会えないのだな。


「じゃ、行ってきます!」

「気をつけてね」

「無理しちゃダメだぞ」

「うん! 父ちゃんと母ちゃんも弁当ありがとな!」

「ああ、阿修羅の好物をたくさん入れておいたぞ。それから……これはオヤツだ」

誠一が阿修羅の首に唐草模様の風呂敷を巻く。中にジャーキーなどが入っているようだ。

「サンキュー! 父ちゃん」


「いってらっしゃい、阿修羅。この国のためにありがとう」

「俺は神だからな! ダンジョンは任せろ! 風花を危ない目には合わせないぜ」


――― 阿修羅のやつ、ちゃっかりと風花に抱っこされて…羨ましい。


「さて、そろそろ出発してもいいかな?」

「よお! 勘助」

「おはよう阿修羅殿。あのレッドドラゴンに乗って行くよ」

「かっこいいのな!」

「気に入った?あの子達は王国軍で育てているから安全なんだ。野生のドラゴンは予告なく攻撃してくるからね」

「敵意とか気配で分かるんだぜ」

「さすが! じゃあ、そろそろ行こうか」


「じゃ、行ってくる!」

阿修羅が風花の口元をペロリと舐めてから、ぴょんと飛び降りた。


――― ビクン。

ハンニバルの眉毛が動揺した。

「あ、阿修羅!」


「なんだ? ハンニバル? ドラゴンが怖いのか?」

「怖いわけあるか!」

「じゃ、行こうぜ!」


阿修羅達を乗せたドラゴンはあっという間に見えなくなった。



「今日中に北方の山脈地帯に到着出来るって本当なのねえ」

「地上を進むのと違って直線で進むことが出来るし、馬車の何倍も早いからな。ドラゴンたちのおかげで地方で災害が発生した時、最短時間で駆けつけることが出来る」

母のつぶやきに答えたのはハミルカルだ。


「それより皆さんはお店に戻って開店しないと! 常連さん達が待っているのでしょう」

「何日も前から、今日は昼からの営業と言ってあるから大丈夫」


「ワシ、評判のソフトクリームとホットドッグを食べていきたかったんだけど営業時間外なのか…」

「10分くらい待っていただけたらお出しできますよ」

「何! 本当か!? それなら是非、頼みたいぞ、風花さん」


食欲旺盛なハミルカルは家族にも買って帰ると言って10人前、お持ち帰りした。

危険な討伐に向かった息子の心配はしていないようだ。

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