第32話 雨の日は乾燥機!
――― 雨の日の営業について考え直さないと。
閉店作業をしながら考え込んでいると機械音が聞こえた。
ピー! ピー! ピー!
「風花ちゃん、乾燥が終わったみたい」
雨で洗濯が出来ないとボヤいていたらカデンが洗濯機と乾燥機を出してくれた。
――― 超便利だった。
家中のカーテンなど、今日洗わなくても良いものまで洗ってしまった。雨でお店が暇だったし。
「食べ物を扱うよりも洗濯のサービスの方が需要あるかな」
「うーん注文を受けるのは無理だと思う」
カデンが眉毛をハの字にしている。
「どうして無理なの?」
「洗濯機や乾燥機を使ったらダメにしちゃうタイプの服とか素材があるから。家で自分の責任で使う分にはいいけど…。ドレスとかは絶対に使っちゃダメ!」
「トラブルになっちゃうねえ」
「そうなの、乾燥機使うと縮むし。基本的に高級品は無理。手洗いって覚えておいてね。」
「そっかー、家では便利だからこれからも使いたいな」
「うん!使ってくれて嬉しい」
「ただいまー!」
「おかえり阿修羅」
「ただいま」
「おかえりなさい、バル」
ハンニバルが大量の畳まれた洗濯物を見る。
「すごいな、これを全部洗ったのか?」
「うん! 私の洗濯機と乾燥機、風花ちゃんが使ってくれたの!」
「…すまん」
カデンの加護を一度も使わずカデンを泣かせていたハンニバルが申し訳なさそうに縮こまる。
「バルさんたら、こんなに便利なものを使わなかったなんて勿体ない!」
「風花…」
カデンも風花も嬉しそうだ。きっと、とても良い加護なのだろう。
「これハンニバルのじゃね?」
阿修羅の無邪気な声に振り返ると、ハンニバルの大量の洗濯物が綺麗に洗われて畳まれていた。
「くぁwせdrftgyふじこ!!!」
隠しておいたパンツたちも洗われて畳まれており、叫ぼうとしたが声にならなかった。
「あ、それ。カデンちゃんが出してくれたから洗っておきましたよ。もー!溜めちゃダメですよ」
「良かったね、バル!」
――― 良くない……とは言えなかった。ずっと密かに可愛いな……と思っていた風花にパンツを洗われたショックで、この日の夕食は味がしなかった。




