第28話 褒めて!
「ただいま、風花!」
阿修羅がご機嫌で帰宅した。阿修羅の気配を感じてフェルムとベイクが慌てて両親の肩に戻る。
「おかえり阿修羅」
阿修羅がぴょんと跳ねて風花の腕に飛び込む。
「おかえりバル!」
カデンがハンニバルに抱きつく。
「風花、俺頑張ったぜ!」
褒めて! と尻尾を振る阿修羅。
「今日はどんな風に過ごしたの?」
「訓練を見た! それで全員のいいところを褒めた。俺は褒め上手だからな! この調子ですごい軍隊を作るぜ」
「やり甲斐ありそう?」
「モノによる! デスクワークは分からない。ダンジョンは楽しみだな!」
「そっか」
風花が阿修羅を優しく撫でる。
「カデンはどうだった?」
ハンニバルがたずねる。
「ホットドッグとソフトクリームが売れたよ! 明日はもっと売れるといいなあ」
「これがダメでも別な商品を試すんだろう?もし上手くいかなくても落ち込むのは早すぎる」
「うん」
「……。」
カデンとハンニバルのやり取りを黙って聞いていた阿修羅。
「どうしたの?」
「風花…」
「何?」
「俺、明日は昼飯食べに帰ってくる。ホットドッグがいい!」
つぶらな瞳で真剣に訴えてくる。
「軍隊にはお昼ご飯ないの?」
「…あった……」
「合わなかったの?」
こくんと肯く豆柴。
「じゃあ明日からお弁当を用意しましょうか?」
母の提案に、ぱあっと笑顔になる豆柴。
「サンキュー母ちゃん!」
母、レミに向かってブンブンと尻尾を振る阿修羅。
「……。」
無言のハンニバルが阿修羅とレミをガン見だ。
「バルもお弁当がいいの?」
こくん。
カデンの質問に阿修羅を見ながら肯くハンニバル。
――― 子供のようだった。




