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第27話 思っていたのと違った阿修羅

書類仕事。ずーーーーーっと書類仕事。

思ってたのと違いすぎるだろこれ。―― 俺の力、必要ねえじゃん。

やる事がないので窓際でふて寝を決め込んだ阿修羅。


「…ゅら、阿修羅」

ハンニバルに揺さぶられて目が覚めた。


「阿修羅、退屈させてすまん。今日のデスクワークは終わりだ。腹が減ったんじゃないか? まずは食堂で腹ごしらえだ。ランチの後は訓練を見学して感想を教えてくれ」


――― やっと俺の出番か! ……でも、まずは飯だな。

尻尾を揺らしながらハンニバルについて食堂へ向かう。


勢い良くチキンにかぶりついた阿修羅の耳と尻尾が下を向く。

……美味くない。チキンをグリルしただけなのにパサついてて味も物足りない。


阿修羅の眉間に深いシワが刻まれる。


「何を考えているか聞かなくても分かる。しかし、ここの食堂は普通だ。風花一家の食事が特別に美味いんだ」


「……まあ、食うけどな!」

ガツガツとチキンを完食した。



「午後は訓練か?」

「そうだ。我々の訓練の様子を見て感想を教えて欲しい」


訓練は試合形式で行われ、1試合ごとに戦神の阿修羅からありがたいアドバイスがあった。


「お前!筋がいいな」

戦神の阿修羅に褒められた兵士の雰囲気が華やぐ。

「パワーで虐殺タイプの適正があるぞ、スタミナつけて沢山殺せよ!」

一転して兵士の表情が暗くなる。目指す方向性と違ったのか、期待したアドバイスと掛け離れていたからなのか。


「お前も凄いな!」

褒められた兵士の頬が赤く染まる。

「滑らかに動くのが得意みたいだから暗殺者の才能アリだぜ! 暗殺者は見つかったら拷問の末になぶり殺しにされるから逃げ足も鍛えろよ!」

途端に青ざめる兵士。


一通りアドバイスを終えて、達成感に包まれる阿修羅。豆柴の胸が反り返って誇らしげだ。

一方でアドバイスを受けた兵士達は無言で下を向いている。


「ハンニバル、あいつらにはワシから人事異動とか組織変更は無いから心配するなって伝えておくから…」

「…はい。」

ハミルカルに後を任せて阿修羅と執務室に戻る。


「阿修羅は我々と一緒に戦うことができるか? それとも我々では足手まといだと感じたか? 正直に答えて欲しい」

「今のところは足手まといだな!」

「そうか……」


「落ち込むなよ! 今のところ…だからな。みんな見込みはあるんだぜ。それに俺は神だし!」

「訓練に付き合ってくれるということか?」

「ああ! お前も気づいたと思うけど、俺は褒めて伸ばすタイプの良い指導者だからな!」


任せろ! 俺は褒め上手だからな! 自信満々の阿修羅と不安しかないハンニバル。


「しかし、阿修羅を退屈させるばかりではないぞ」

「なんだ? 戦争か?」

阿修羅の尻尾が高速で振られる。

「戦争はない」

途端に尻尾がスローダウン。


「ダンジョンだ」

ピタ。

阿修羅の尻尾が停止した。


「すまない、ダンジョンは嫌いだったか?」

「嫌いじゃないぞ! ダンジョンな! 人間界といえばダンジョンだよな、一度行ってみたかったんだ!」

気が効くな! と大喜びだ。


「ダンジョンは、それぞれ特性があってな。明日、専門家に説明してもらおう」

「明日?」

「とても不満そうだが、もう帰る時間だ」



阿修羅の初日もまずまずだった。

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