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第23話 作戦会議は楽しい

「おかえり、バル!」

カデンがご機嫌でハンニバルを迎える。


「ただいまカデン。良い子にしていたか?」

「んっふー! 私はいつも良い子だし!」

「ずいぶんご機嫌だな」


「さあさあ、ご飯にしましょう」

「そうだね食べながら話そう」


今日のメニューは夏野菜のピッツァとお肉のハーブ焼きだ。お肉はハンニバルやハミルカル将軍のお土産の残りだ。2人は大量に食べるが持ち込む量はそれ以上だ。いつになっても一般家庭と軍隊の区別がつかないようだ。


「ああ、今日も美味い…」

風花一家のご飯に飼いならされたハンニバル。味わいながらすごい勢いで平らげていく。


「こちらで一緒に食事をいただくようになって、美味しい食事がQOL(Quality of Life)、つまり生活の質や満足度に大きく影響すると気づきました」

「あら褒めすぎよ!」

レミの声がウキウキと弾んでいる。

ベイクとフェルムは当然だと言いたげにうなずいている。


「いえ本当です。パンの美味しさだけでは無く、すべてが美味いのです。うちの家族は体力ゴリラばかりなので動き回るためのエネルギーさえ取れれば良いという考えで、美味しく食べるということには無頓着でした。野菜も必要だから食べるという感じで美味いと思ったことは無かった。しかしこのピッツァは生地も美味しいが、野菜も美味い……」


「食事を楽しまないなんて、もったいないなあ。ハンニバルさんたちは我々市民のために働いてくれているんだ。危険な任務も多いんだろう? せめてこういう普通の日の食事くらいは楽しんでくださいな」

嬉しそうな誠一がもっと食べろと勧めまくる。


「ねえねえ! あの話、しちゃう?」

「そういえばカデンは随分とはしゃいでいるな?」

「んっふー!」



「……その…このままじゃダメでしょう?いろいろと」

「風花?」

「うちのお客さんたちもカデンちゃんの加護に興味あるみたいで…」

「?」


「ハンニバル、俺と仮契約してみるか?」

「!!」

阿修羅の提案にビクリと反応するハンニバル。

「文句はないみたいだな。ただし仮な!仮!

俺と風花の縁は現状維持じゃないと俺の力、全部出せないから。

 俺とハンニバルが仮契約している間は風花とカデンも仮契約だ。カデンの加護で作った商品をパン屋のお客さんに試してもらって将来の見込みを探るってわけだ。

 見込みが無さそうだったらそれまで。将来性がありそうで風花が継続を望むなら…それはその時に考えようぜ」


「いいのか?」

「いいから提案している」


「これまでのように、ずっと風花の側に居られなくなるが…」

「縁を結んだままなら離れていても問題なく力を出せるから心配するな」


「いや、そういう心配ではなく…。本当はずっと風花の側で見守っていたいのだろう?」

「まあな。でも風花が悩んで塞ぎ込んでいるより俺が我慢する方がマシだ。惚れた女を悲しませるなんて男じゃないぜ」


「…もうっ! 阿修羅ちゃんたら、可愛いんだから! 生意気ねえ!」

レミが阿修羅を抱きしめて頬ずりする。


「阿修羅、惚れた女じゃなくて、大好きな飼い主だろう?」

誠一がニコニコと言って聞かせる。



「俺はペットの犬じゃねえ! 神だ!」

風花の両親の間で暴れる阿修羅だった。

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