第22話 カデンの加護、使っちゃう?
チリンコロン。
「いらっしゃいませー!」
「いらっしゃいませー!」
風花の真似をするカデンが可愛い。
「こんにちは、風花ちゃん、カデンちゃん」
「こんにちは、プリヤンカさん。いつものバケットとクロワッサンとヨーグルトでよろしいですか?」
「ええ、それをいただくわ」
風花が手早く商品を包み、代金のやり取りを終える。発酵の加護持ちの父が作るヨーグルトや漬物なども、この店の人気の商品だ。
「ねえ、カデンちゃんの加護の商品は増やさないの?」
「ええっと…」
口ごもる風花。
「僕も楽しみにしているんだよ」
「一郎おじさん」
「今日はカンパーニュとザワークラウトね!」
「はい! 少々お待ちください」
お店に居合わせたプリヤンカさん、一郎おじさんから思いもよらない提案だった。
「ごめんね、いきなりだったね」
「レミさんや誠一さんたちから事情を聞いていてね。勝手にいろいろ聞いてしまって悪かったけど、小さなカデンちゃんのことが気になっていたの」
両親がお得意さんやご近所さんに事情を説明しているのは想定内だ。
「それは構わないんですけど」
「カデンちゃんも加護を使ってもらいたいんじゃないかい?」
カデンが期待に満ちた顔で風花を見上げていた。
「私たち、事情が複雑で……」
「それも聞いたよ。大変なことになってしまったねえ」
「うん。だからこそ試してみるといいんじゃないかな。もしダメなら早めに結論を出した方が良いと思うよ」
カデンが恨めしそうに一郎おじさんを睨む。
「こら。お客さまにそんな顔しないの」風花がカデンの膨らんだ頬を突く。
「ふふふ構わないさ、僕が無神経だったよ、ごめんね。ふくれた顔も可愛いねえ」
「ありがとうございましたー!」
プリヤンカさんの精霊と一郎おじさんの精霊が風花とカデンに手を振りながら店を出て行く。精霊に手を振り返すカデンが可愛い。
「……風花、カデン」
「阿修羅?」
ずっと空気だった阿修羅が意を決したような顔だが豆柴なので締まらない。
「俺、風花と結んだ縁は放棄できない。でも風花と縁を結んだままハンニバルと仮契約してもいいぜ」
「阿修羅…」
「阿修羅ちゃん!」
涙目のカデンが阿修羅を抱きしめる。
「放せ! ちゃんは止めろ!」
必死にもがいてカデンから逃れた阿修羅がブルブルする。
「ハンニバルが帰ったら話そうぜ。俺と風花の縁は現状維持な!そうじゃないと俺の力、出ないから」




