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87.ベヒーモスは御銭の匂り

 ぶもおおおおおおおおおーーーー!



「な、なに?この雄叫びは!」


「わかりません、ここには変性ヒドラしかいないはず・・・」


 クローディアさんとアナさんは周りをキョロキョロと見回すが何もいない。


「なあアリサ、昨日この声を聞いたような気がするんだけど」

「奇遇ね、私も昨日聞いたような気がするわ」


 一拍の間をおいてから二人同時に声に出す。


「「ベヒーモス!」」


 私とユーシスは抜剣して臨戦態勢に入った。


「「ベヒーモスですって?」」


 クローディアさんとアナさんが同時に声をあげた。

 手短く二人に昨日の出来事を説明する。



 ぶもおおおおおおおおおーーーー!

 ぶもおおおおおおおおおーーーー!

 ぶもおおおおおおおおおーーーー!



 またベヒーモスの雄たけびが!

 しかも確実に複数!


「あわわわわわ・・・」


 アナさんが狼狽している。

 よほど恐ろしかったのか。


「み、みなさん、くれぐれも壁画等を傷つけないように討伐して下さい!」


 違った、狼狽は遺跡が傷つくのを恐れての事だったようだ。


 ズシーン、ズシーン、ズシーン、


 ベヒーモスと思われる足音がする。

 が、姿が見えない。

 いったい何処から・・・


「あそこと、あそこと、あそこ!」


 ユーシスが指さして指摘する。

 よく見れば部屋の隅4か所が下に降りるスロープになっている。

 そのうち3か所からベヒーモスの巨体がヌッと現れた。

 どうやらもう一頭は昨日私とユーシスが倒したヤツのようだ。


「アナさん、ベヒーモスを討伐するのは良いのだけど、ちゃんと討伐料は頂けるのかしら?」


 クローディアさんは、ここは大事な所だからと言わんばかりに、真剣な表情でアナさんに確認を取る。


 アナさんはアナさんでベヒーモスの姿を確認し、超高速でベヒーモスの討伐後の売却益等を割り出す。


「一頭当たり600万ルブル!ただし遺体の損壊は極力抑えて下さい。文化庁の方で売却しますので!」


「よーし、そのクエスト引き受けたわ、お客さん!」


 歓喜に満ちた声でクローディアさんが了承する。

 私はアナさんもクローディアさんもプロだとシミジミ思った。


「アナさん、四肢や首を切り落とすのは大丈夫ですか!?」


 今度はユーシスが確認を取る。


「それは大丈夫です。むしろ血抜きの手間が省けるのでジャンジャン切り落として下さい!

あと、神殿内が傷つくかもしれないので、外におびき出して討伐お願いします!」


「了解!」


「よーし、一人一頭のノルマってことで行くわよ!」


「「了解!」」


 自然と三人で円陣を組み掛け声を上げた!


御家の為に(おうちのために)!」

「「御家の為に(おうちのために)!」」


 アナさんが“何かの宗教?”

 かと思うようなジト目で見ながら離れて行った。



 気を取り直し、まずは外におびき出すためにベヒーモスに突撃!


聖なる閃光(ホーリーフラッシュ)!」


 まずは聖なる閃光(ホーリーフラッシュ)!でベヒーモスの目を眩ます!


 怯んだベヒーモスの鼻先を、


「はああああああああああ!」

 バシ!

「どりゃああああああああ!」

 ガン!

「とおおおおおおおおおお!」

 スパーン!


 と、其々が剣の平で渾身の力を込めてぶったたく!


ブルッギャアアアアアアアア!

ブボオオオオオオオアアアア!

ブキイイイイイイイイイイイ!


 三頭のベヒーモスは鼻先を押さえて転げまわる。

 その後、私達の姿を認めるなり襲いかかってきた!


「全員、外に撤退!」


 クローディアさんの号令に私とユーシス、それにアナさんが脱兎のことく神殿の外に逃げ出した。

 三頭のベヒーモスはいい感じに追撃してくる!


 私達は外に出た後、クローディアさんに従い、砂漠の中でも比較的足場の堅いところにまでベヒーモスを誘導した。

 クローディアさんは本当にプロだ、私達なら外に出てすぐ戦闘に入っていたと思う。


 誘導したベヒーモスを改めて対峙する。

 よく見ればベヒーモス達の体毛の色が微妙に違う。

 同種って訳ではないらしい。


 ボウ!ゴゴゴゴ・・・


 クローディアさんのオーラが一瞬膨らみ爆発する。

 早々に身体強化を使ったようだ。


 ブガアアアアアアアア!


 ドヒュウウウウウウウウ!ビュウウー!



 ベヒーモスの咆哮と同時に突風が起こり、強烈なかまいたち現象が発生し、あらゆる物を切り刻む斬風がクローディアさんを襲う!


「この程度の風などヌルイわ!ジゴブレイク!」


 勇者固有の必殺の剣技、ジゴブレイク!

 雷を纏わせた斬撃波が斬風を粉砕し、そのまま突き抜けてベヒーモスの首に直撃する!


 バシュッ!


 悲鳴を上げることもできずにベヒーモスは己が首を地面に落とし、その巨体は前向きに崩れ倒れた。



 呆気ないほど簡単に勝利したクローディアさんに気を取られた瞬間、



 ブボオオオオオオオアアアア!



 もう一頭のベヒーモスが私に向かって豪炎を吐いた!

 どうやらこのベヒーモスは炎属性のようだ。


「縮地!」


 縮地で豪炎躱したあと、身体強化10倍プラス 完全治癒回復(セイクリッドヒール)連続軌道でベヒーモスを迎え撃つ!


「やああああああああ!雷帝彗星斬!」


 ドシャーン!バリバリバリ!


 人外クラスの雷帝彗星斬!

 雷を纏った斬撃が、的確にベヒーモスの首を落とした!


 標的の絶命を確認し、私はすぐ身体強化10倍を解く。




 ゴアアアアアアア!


 最後のベヒーモスが咆哮しユーシスに極凍のブレスを吐きつける!


「ちっ」


 ユーシスは剣に炎を纏わせて抵抗(レジスト)する。

 やはり思ったいた通り、この勝負はユーシスに分が悪い。

 彼の必殺技、炎獄流星斬ではベヒーモスを倒すことは出来ても、倒した瞬間ベヒーモスが焼肉になってしまう。

 それではアナさんから討伐料が出ない。


「ユーシス!身体強化を6倍まで上げてみる?」


 ユーシスなら6倍までの完全治癒回復(セイクリッドヒール)連続起動ならぶっつけ本番でも耐えれるはず!・・・根拠は無いけど。

 そして彼の6倍なら私の10倍相当のパワーに近いはずだ。

 水の女神アクアリウス様の上限解放以降、ユーシスの方が私より地力が格段に上なのだから。


「い、痛くない?」


 少し不安そうにユーシスが聞いてきた。

 以前ユーシスは私を逃がすために、限界以上の身体強化で肉体を崩壊させながら戦ったことがある。


「たぶんノーリスク・・・うまく行けばだけど」


「それノーリスクって言えるの?でもまあ頼むよ!」


「身体強化6倍プラス完全治癒回復(セイクリッドヒール)連続起動!」


 ボヒュウ!ゴゴゴゴ・・・


 ユーシスの力が一気に膨らむ!


「お、おお!こいつは凄い!力が溢れる!」


 ユーシスは嬉しそうにベヒーモスに突撃する。


「あ、ちょっと待って!」


 私は完全治癒回復(セイクリッドヒール)の効果範囲から出ないよう慌ててユーシスの後を追いかける。


++++++++

ユーシスの後をぴょんぴょん付いて回るアリサの姿は、

まるで仲の良い子供の鬼ごっこのように見えたそうな。

(クローディア後日談)

++++++++



「ふん!」


 やがてユーシスの刀突がベヒーモスの心臓を捉え貫いた!


 グボオオオオオオオオアアアアアアアアアア!


 ベヒーモスは断末魔の後倒れ絶命した。


 ガッツポーズをして得意満面のユーシス。

 その横で、地面に両手を付きゼーハーと息も絶え絶えのアリサさんこと私。


 追いかけまわりながら、ユーシスに完全治癒回復(セイクリッドヒール)を掛け続けるのは至難の業であることが今更ながら分かった。

 これは何か考えないと・・・



 勝負が付いたのを見極め、アナさんがほくほく顔をしながらやってきた。


「ベヒーモス3体と焼きヒドラ一体を売却して得たお金で、今年の会計予算は・・」


 ベヒーモス討伐はアナさんにとっても思わぬ収穫だったらしく、嬉しそうに独り言をブツブツ言っている。


 一方でクローディアさんも、なんかブツブツと・・・


「4LDKのベランダ付き2階建て風呂付きの家を・・ギリいけるか・・」


 欲望渦巻く討伐劇。

 それはそうと良い区切りなので、一旦昼食にして午後からレッサーラミアを討伐することにした。




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