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72.アリサvsクローディア / 聖女ミルーシャの想い 

 リヴニの街 冒険者ギルド 2階広間



「やっぱクローディアの勝ちかぁ」

「ユーシスって野郎も大したことなかったな」

「いや、あいつは滅茶苦茶強いぞ、ただクローディアの方が数段強かったんだ」

「あーもう、賭ける方間違えたー」


 野次馬達が勝敗の結果に悲喜交交している。

 クローディアさんも満面の笑みで、勝ち金の中からギルド長に広間のレンタル代を払っていた。



「さて、それじゃ私達はこの辺で・・・」


 私はユーシスの首根っこを捕まえコッソリ部屋を出ようとする。

 しかし、そうは問屋が卸さない。


「だーめ、逃がさないから♪」


 クローディアさんが立ち塞がり行く手を阻まれてしまった。


「そんなこと言ったって、クローディアさん無茶苦茶強いじゃないですか!」


「アリサさんにもワンチャンあるって!

それに負けたとは言えユーシス君は強かったし。

思わず惚れそうになっちゃった」


惚れる!?クローディアさんが?ユーシスを!?

待って待って!

女の魅力勝負になったら勝てる気が全くしないから、ほんとやめて!


「な!?冗談でもやめて下さい!あと年下に“さん付け”は不要です!」


「あははは、冗談だって。私から告白とか絶対ないから。

まあユーシス君から告白されたら分からないけどね?うふふ・・・」


「---------!」


 ---完全に遊ばれている。

 でもまあクローディアさんの方からユーシスを誑かしたりとかは無さそうだ。

 その点は安心した。


「さあさ、腹を括りましょ。それに野次馬達も待ってるし」


 私は天井を仰いで溜息をつき、腹を括った。



「ではこれより第二試合、魔法剣士(マジックサーベルマン)クローディア対魔法騎士(マジックナイト)アリサの試合を行う。それでは始め!」


「今度はクローディアに30000ルブルだ!」

「俺もクローディアに20000ルブル!」

「私もクローディアに50000ルブル!さっきの負け取り返さないと生活が・・」

「おいおい、全員クローディアじゃ賭けが成立しないぞ!」


 さっきの賭けで負けた野次馬は、今度は堅実に取り返そうと必死だ。


「いつでも好きなタイミングでどうぞ♪」

余裕のクローディアさん、あれは絶対自分の方が強いと確信してる態度ね。


デフォイメント(防具展開) 身体強化3倍!」


 私は異空間に収納されていた防具を纏い、身体強化を3倍まで上げる。

 それと同時にビリビリと部屋の空気が帯電していき、ドコソコで“ブーン”“ジジジジジ”と特有の不気味な音が聞こえ始める。


 全神経を集中するとともに、クローディアさんと呼吸を同調する。

 さっきユーシスは最初から舐めてかかって、こんな基本的なことすらおざなりにした。

 その結果がさっきのみっともない惨敗劇。あんなのは流石にごめんだ。


 睨み合いのまま数十秒が過ぎた頃・・


「随分慎重ね?じゃあこちらから行くよ、縮地!」


 瞬時にしてクローディアさんの姿が消える!


「横!」


キン!


 私は真横から襲い来る斬撃を剣で弾きそのまま、


「彗星斬!」


 ゼロ距離で剣に雷を纏わせた一撃を真横一文字に放つ!


「くっ、縮地!」


 縮地をかけながら上に飛び上がり彗星斬を躱すクローディアさん!

 しかし逃がさない!


プリズンローズ(鋳薔薇の牢獄)!」


 着地地点にプリズンローズ(鋳薔薇の牢獄)を仕掛ける。


 “ぐぱぁ“と鋳薔薇がクローディアさんを囲おうとする!


「その技はさっき見たわ!魔法剣 ウインドセイバー(風の切り裂き)!」


 その鋳薔薇の牢を空中からウインドセイバーが切り刻む!


「甘い!テンタクルローズ(鋳薔薇の触手)!」


 着地の瞬間をテンタクルローズ(鋳薔薇の触手)が襲う?

 しかしクローディアの視界には鋳薔薇の触手は見当たらない。


「い、鋳薔薇の触手!?どこ!?」


「上よ」


「上!?しまっ・・!」


 天井から鋳薔薇の触手がウネウネと伸び、ついにクローディアさんの身体を捕らえた!

 ・・・かに思えた。


「ふん!」


 気合なのか発勁なのかわからないけど、クローディアさんに巻き付いていた鋳薔薇の触手が突如爆散する!


 ちっ、やはり通用しない。

 思わず舌打ちして毒づく。


「驚いた、あなたユーシス君より全然戦い慣れていて数段強いじゃない!」


「あ、それ言わないで!」


 ユーシスの方をチラリと見る。

 ああ、やっぱり顔に縦線入って暗いオーラが・・

 膝かかえて座って固まっちゃった。


「違うんです!共同で戦う時はユーシスの方が凄く強いし、合体技だって凄いのがあるんだから!」


「す、凄い合体寝技!?・・ゴクリ・・アリサさん・・いえ、アリサちゃんも相当なスケベね」


「ちがーう!」


 今ハッキリと確信した!

 クローディアさんは超絶優雅で超絶美人で超絶的に強いけど・・・

 本質は平時のカーシャさんと同じ“残念な美人”だ!


 私がクローディアさんを押しているように見えたのか野次馬達が慌てる。


「おい、あの子の方が強いんじゃないか!?」

「さっきの負けを取り返すチャンス!アリサに50000ルブル!」

「俺も30000ルブルだ!」

「私も60000ルブル!」


 どうにも私の負けフラグが着々と構築されている様な気がしてならない。



「ねえ、確かにアリサちゃんは強いけど、さっきから全然本気じゃないよね?必殺技とか仕掛けてないし。もっと本気で来てよ」


「私は常に本気ですよ?クローディアさん相手に手抜きなんて出来る訳ないじゃないですか。それに必殺技とか簡単に披露できる訳ないですよ」


「ちぇー、乗って来ないかぁ。まあいいわ。それならそれで圧をかけて引きずり出すのみ!」


 クローディアさんが真正面から突撃してくる!


「魔法剣サンダーブレイク(破壊の雷撃)!」

「雷撃の剣技ならこっちだって・・彗星斬!」


 ガラガラガラ、ドゴーン!

 バリバリバリ、ズガーン!


 双方の雷撃破がぶつかり合い、物凄い閃光と衝撃波が四方八方へと飛び散り、轟音と共に張り巡らされた防御結界を破壊していく!


「まだまだ♡」

「こっちだって!」


 互いにサンダーブレイク(破壊の雷撃)と彗星斬の連撃を繰り返す!

 物凄い閃光と轟音でギャラリーには何が何だか分からない!


「ストーップ!それまで!」


 ギルド長から突然の中止コール!

 周囲からブーイングが溢れる。


「えー、なんでー?」


 口を尖らせてクローディアさんがギルド長に詰め寄った。


「今ので防御結界が全部吹き飛んだ。これ以上は野次馬に死人が出るし施設も壊れる。諦めろ」


「しまった、結界代ケチるんじゃなかった・・」


 ガックリと肩を落とすクローディアさん。

 こうして私達の試合は意外な形で終結となった。


 ただ、肩で息をする私と、ケロっとしているクローディアさんを比べると、勝敗は明らかだ。


「さてと、ユーシス君。絵の方は明日の午後3時以降でもいいかな?それまでには討伐依頼済まして来るから」


「今日は駄目なんですか?」


 ユーシスはてっきりこれからモデルになって貰えると思っていたらしい。


「だって、雨が止んだし、あなた達は今夜泊まる宿を探さなきゃダメでしょう?

まさかここにもう一泊するつもり?」


 そうだ忘れてた!今日の泊まる宿を探さないと!










 スラヴ王国 王都 ヨシュアとカーシャの屋敷



 王都西地区にある高級住宅街の中にヨシュアとカーシャの屋敷があった。

 規模としては小西道夫や加藤弾の屋敷の半分程度の大きさだが、それでも十分な広さだ。

 この屋敷は王国から無償で与えられた物件で、ヨシュアとカーシャは普段はこの屋敷は使わず、東地区のこじんまりした賃貸の家に住んでいた。

 ただこれからはそうも行かなくなった。

 家族が一人増えたからだ。

 その増えた家族・・・もちろんそれは“豊穣の聖女ミルーシャ”のことである。


 彼女は屋敷のテラスでヨシュアとカーシャと共にぼんやりと庭を眺めながらお茶を嗜んでいた。


「気分はどう?落ち着いた?」


 ヨシュアはミルーシャの様子を伺いながら話しかける。


「はい、ヨシュア様・・・正直に言って良くわかりません。

今までの出来事は全て覚えています。

聖堂騎士団に攫われて軟禁されたことも、召喚勇者に囚われ凌辱の限りを尽くされたことも、それに・・・」


 ミルーシャは子供の頃に聞いた、何かの物語を思い出すような感覚で記憶を探る。

 

「私の最愛の想い人、アキムを殺した事も・・全部覚えています。ですが・・」


「・・・・」


「辱めを受け続けた嫌悪感も羞恥心も、アキムを殺した罪悪感も、私は何も感じないのです・・・ただあるのは・・・」


 トゥクン・・・


「あるのはヨシュア様への想いと切なさだけです。

ヨシュア様はおっしゃいました、『この気持ちは偽りのモノだからだから流されてはいけない』と・・・」


 ミルーシャの独白が続く。


「あまりに辛うございます。カーシャ様を前にして不敬かもしれませんが、偽りだとしてもこの想い、少しでも受け入れては貰えないのでしょうか・・・」


 トゥクン・・・


 ヨシュアに対する想いに、ミルーシャの鼓動が呼応するように打つ。

 しかしヨシュアはミルーシャの想いを受け入れる訳にはいかなかった。


「ミルーシャ、それは出来ない。君は必ず過去の自分を受け入れる時が来る。その時に僕と関係を持ってしまっていたら、今度こそ君の心は修復できないくらい壊れてしまう。だから・・すまない・・」


 豊穣の聖女ミルーシャ、

 彼女は自分の想いが絶対に届かないことを、改めてヨシュア本人から叩きつけられ、絶望に泣き崩れた。


どうやってミルーシャがヨシュアの保護下に入ったのかはまたそのうちに!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 毒をもって毒を制したのか 時間稼ぎになるかもしれないけど 賭けになりそう
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