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70.上機嫌な女神

閑話回。

 少し前の天界



「ん~♪ふっふ~♪」


 突然下界で女神の力を行使する反応があり、緊急覚醒した創造の女神テラリュームが見たものは、勇者ヨシュア、聖女カーシャ、そして聖騎士の面々が戦う姿だった。



 なんということでしょう!

 私に完全にソッポを向いたと思っていたヨシュアが、カーシャが、聖騎士達が、私の名の下に女神の力を行使している!

 嗚呼、ついこの間、あなた達の辛辣な思いに打ちひしがれ絶望していたと言うのに、今日は私のために戦ってくれている・・・


 は!?

 これが下界で言うところのツンデレというヤツなのですね!

 拒絶は拒絶にあらずなのですね!

 もう、それならそれと早く言ってくれればいいのに・・!


「先輩、起きていたんですか・・て、何ウミウシみたいにクネクネしているんです?」


「あらセフィース、居たの?」


「居たのって・・そりゃいますよ。ここは天界で私は女神なんですから。で、何みているんです?」


「ん~♪ふっふ~♪ 私の勇者がね、聖女がね、ん~♪ふっふ~♪・・あ、さっきのシーン見せてあげましょうか?見たいですよね?」



---ビビッ

女神ビジョンが少し前に巻き戻される。


『陛下に申し上げます。我々はこの国の騎士団に所属はしておりますが、同時に創造の女神テラリューム様の使徒でもあります。その我々に弓を引くということが どういう意味なのか御理解しておられるのでしょうな?』


『何を言うかと思えば・・貴様が勇者だろうが女神テラリューム様の使徒だろうが関係無い、この国では世が法律なのだ。おまえ達はこの国には不要なのだ。さっさと死ぬがよい!』


『陛下の意思、しかと了解した。

創造の女神テラリューム様に弓を引く愚か者達よ、このティラム世界の逆賊として粛清する!』



「どうですかセフィース!この勇者としての自覚に満ち溢れた発言!

これが真の勇者と言うものですよ!ん~♪ふっふ~♪」


「はいはい勇者勇者。あ、でもうちの小西道夫も負けてないようですよ」



---ビビッ



『小西道夫とその仲間達よ!

貴様らは元第三独立小隊メンバーと通じていた節がある。

自身の潔白を証明する機会をくれてやる。

見事ヨシュア達をたおしてみよ!さあ殺せ!』


 レイモンドから突然振られて驚く道夫達、

 そして改めて玉座の方を向き凛とした声で言い放った。


『お断りします。外道の言うことを聞かねばらない理由などありませんので』



「どうですか先輩、うちの勇者も言うときゃ言うでしょ!」


「む、この前の勇者ですね。なるほど、あなたの下に置くのは少々勿体ないですね」


「ふっふーん♪」


「よろしい、今日からこの者達は私の預かりとしましょう、いいですね?」


「な、ちょ!何言ってんですか、いい訳ないでしょう!あれは私の勇者です。絶対にあげません!」


「(ケチ)」


「何かおっしゃいました?」


「別に(ツーン)、 それより見てごらんなさい!私の勇者達、大活躍ですよ!おお!」


「いやいやうちの者たちだって、ほら!道夫の所の三人娘も大活躍ですって」


「でも彼らが戦っている敵って、あなたのとこの勇者達なのでしょう?」


「う、それはそうですが・・あー!先輩のとこのミルーシャが広範囲完全治癒回復セイクリッドエリアヒールかけましたよ!?全員回復しちゃいました。もー何やってんですかー、しかも今度は絶対魔法防御(ストライバー)で防護してるし!」


「いやあれ、あなたのとこの勇者がやらしているんでしょう、人の聖女拉致って何やらせてるんですか。いっそ私が介入してドチャクソに・・」


「先輩、大人げないことは止めて下さい。下界のことは人間に任せましょう」


「散々下界に干渉しまくったあなたがそれ言う!?」


「(つーん)あ、見てください。ついに聖女カーシャが歌い始めましたよ!」


「ふっふっふっ、これでもう決まりましたね。ああそうだ、あなたのとこの道夫達にも私の加護を与えておきましょう」


「先輩今日は太っ腹ですねー!」


「ん~ふっふ~♪・・・ん?んん!?」


「先輩どうしました・・て、ああ!?聖女ミルーシャがフルボッコにされてる・・」


「セフィース・・・あなたのところの勇者は一体何をしてくれるのかしら・・(ゴゴゴゴ)」


「いやちょっと・・あの・・あ!ヨシュアが聖竜呼びましたよ、ほら!」


「おお、私の聖竜たち・・いよいよ大詰めですね」



『創造の女神テラリューム様に弓を引きし愚か者よ!

 肉体はもちろん魂も霊子レベルで破壊し、完全に消滅する絶対の死を与えよう!』

『アドリアン、レイモンド、ガバナス、お前達を女神に弓引く逆賊として処刑する。最後に言い残す事があれば言うがいい』



「はぁ・・これぞ私の勇者・・いいですわぁ」


「先輩、ちょっと顔が赤いですよ。風邪ですか?」


「え?あ、そうかもコホンコホン・・」


「(女神が風邪なんか引くわけねーっつの)」


「ふむ、どうやら終わったようですね」


「そうですね、それにしても先輩、このアクサナ王女なかなかの曲者ですね」


「ええ、なかなか頭が切れるようですね、まだ若いので荒さはありますが。それにしてもまさか2世代続けて「ロイヤルフレア(王家の爆炎)」を使える者が現れるとは思いませんでしたよ」


「彼女の母親も使えるのですよね?二人とも今のうちに潰した方が良いのでは?あの力は私達とは別系統の力ですし、かなり危険だと思うのですが・・」


「潰すのはいつでも出来ます。ですがあの者達は大丈夫でしょう、この世界の生粋の住人なのですから。それに・・」


「それに?」



『・・・今後女神テラリューム様に対して絶対に弓を引かないということで、落とし所として頂けないでしょうか?』



「こんな風に確約まで頂いてますからね、ん~♪ふっふ~ん♪」


「(この女神ほんとにチョロいわ)」


「もっとも召喚者の中からアレを使えるものが居たなら速攻で潰しますけどね」


「居る訳ないですよ、あの力はディスタツィオーネ先輩の系列なんだし」


「さあ、それでは私は再び眠りにつきます。あとのことは頼みましたよ?」


「はい、このセフィースにお任せください」


「それでは・・・ん~♪ふっふ~ん♪」



 天界は今日も平和のようだ。


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