65.聖女の歌声は破滅の序曲
「せ、接近戦は無理だ!魔法で攻撃しろ!」
突撃していった連中を見て、怯え切った召喚勇者の一人が悲鳴をあげる!
「まかせて!爆炎放射!」
カオスのパーティーメンバーである魔術師・磯崎摩耶が放出した豪炎がヨシュアと道夫達を襲う!
それに続けとばかりに他の魔術師も火球を放出する!
しかし・・
「次元断裂!」
突然複数の空間断裂が発生し、豪炎と火球が吸い込まれる。
斎藤真美の時空魔術だ!
「ちょっと真美、あんた何邪魔してんのよ!」
摩耶の罵声が響く!しかし真美も負けずに言い返す!
「うっさい!人のこと殺しにかかっておいて何言ってんの!
時空断裂爆破!」
ギュリリ・・ボキュン!ボキュン!ボキュン!
「「「きゃあああああああああ!」」」
金属がねじ切れるような音がしたかと思うと、突然時空爆破が発生し、摩耶達をはじめ敵魔術師をけん制する!
「氷の魔剣!」
魔法剣士 西村真奈美の持つ魔剣が氷属性に変わり、遠距離からマイナス200度の冷撃を放出!
キンッ カチーン・・
「ち、ちべたい・・」
食らった者達は死なない程度に全身が凍る!
「みんな炎の魔術ばかり使うから涼しくしてあげるわ♡」
真奈美は次々とターゲットをロックオンし、氷の冷撃を放った。
ヒュン! カツッ!
「な、なんだ!?」
ヒュン!ヒュン! カツッ! カツッ!
「う、動けねぇ!?」
「どうなってやがる!?」
一瞬影が通り過ぎたと思うと、召喚者達が金縛りのように身動き取れなくなった。
「忍法影縫い・・なんかベタすぎる技だけど効果的ね!」
女忍者の巽麗子が召喚者達の影にクナイを打ち込み金縛りにしていく!
「はあああああああああああ!」
ガキン!
「くっ!」
元生徒会長・現聖騎士の桐生院菫の斬撃が道夫を襲う!
「道夫君、今なら私が話を通してあげる!
だからこっちに戻ってきなさい!」
キン!キン!
ガシッ
キュン!
ガツッ!
桐生院菫と小西道夫の一歩も譲らない攻防!
「菫さん、お気持ちには感謝します。でも答えはノーだ!」
ガキン!
拮抗が破れ菫の剣が弾き飛ばされる!
「くっ!」
たまらずバックステップで距離を取る。
道夫は追撃せずに他の召喚達に標的を合わせる。
すでに召喚者達の70%以上が戦闘不能状態に陥り、誰の目にも勝敗は明らかとなってきた。
今の所、死者こそ出てはいないが、王の間はおびただしい血で染められ、阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた。
「ひいいいいいいいいい!」
「もうダメじゃああああ!」
アドリアン王とレイモンド王子は狼狽しまくる。
「陛下、大丈夫ですよ。まだ残り3割が健在じゃないですか」
ガバナス宰相がニッコリとほほ笑んだ。
しかしそう言いつつも
「奴らなぜトドメを刺さないんだ?」
不満そうに呟いた。
「広範囲完全治癒回復!」
突然金色の粒子が舞い、四肢をぶつ切りにされた召喚者達が完全回復していく!
「いてえええよおおおお!・・お?」
「俺の脚ぃ脚ぃ脚ぃぃぃぃ!って、ある!?」
「傷が治った!」
「あ、でもちょと貧血・・」
「よっし!よくやったぜ、ミルーシャ!」
「はい、ありがとうございます、カオス様♡」
豊穣の聖女ミルーシャの広範囲完全治癒回復が炸裂!
戦いはまたリセットされた。
「ち、面倒な・・」
「全くだ、しかしあれが豊穣の聖女ミルーシャか、美しい人だ」
「同士討ちなんてしたかないんだけどな・・」
カル、リュック、マーク三人の真正聖騎士がミルーシャを見ながら毒づく。
「まずは、あのカオスって野郎をやってミルーシャを奪還するぞ!」
「「おっけい!」」
「「「こおおおおおおおお!」」」
カル、リュック、マーク三人の斬撃が田中カオスを襲う!
しかし・・・
「絶対障壁!」
バシッ!
「「「なっ!?」」」
ミルーシャの絶対障壁!
物理、魔法の両方を完璧にガードする魔法障壁が三人の斬撃を完全に防ぐ!
絶対障壁の内側で田中カオスが人差し指を立てて“チッチッ”と余裕を見せる。
「ほんと聖女ってのは敵に回るとやっかいだぜ・・」
カルはまた毒づいた。
召喚者達が復活するのを見てアドリアン王とレイモンド王子が歓喜する!
しかしその傍らにいるガバナス宰相は明らかに不服そうだ。
「いいぞ、やれやれ!」
「早く殺すのじゃ!」
小物臭満載のアドリアン王とレイモンド王子が激を飛ばす!
Lu~♪ Lulu~♪・・
「 ? 」
Rara♪ Lu~♪ ・・ Lu~♪ Lulu~♪・・
「なんだこの歌声は?」
突如王の間に戦の聖女カーシャの美しい歌声が響き渡る。
それはヨシュア達には戦意高揚となる優しく力強い歌声であるが、
アドレアン王達にとっては破滅の序曲を臭わせる狂歌として脳髄に突き刺さった。
しかし今は敵ではないアクサナ王女は、聖女カーシャの美しい歌声に思わず聴き惚れていた。
「これが聖女カーシャの戦の歌・・」
「正直、私達だけでも敵でなくて良かったですよ」
「この歌は味方にとっては力と勇気を与えますが、敵に対しては聴き続けるほど絶望を刷り込ませ精神を破壊しますから」
Lu~♪ Luru~♪ Ευλογία της εξουσίας για γενναίους και φίλους Lu~♪
(女神の使徒には、力と勇気の祝福を与えましょう)
元第三独立小隊隊員達の力が底上げされ戦意が高揚していく。
しかもそれは一緒に戦っている道夫達にも同じような効果が表れる。
「え、なにこれ?」
湧き出る力と高まる気持ちに戸惑う道夫達。
Lu~♪ Luru~♪ Δώστε στον απόστολο ιερή ενδυμασία μάχης Lu~♪ Luru~♪
(女神の使徒には聖なる闘衣を送りましょう)」
元第三独立小隊の着ている正装が粒子単位で分解され聖なる闘衣に変換される。
そして同様なことが道夫達にも起きる。
「きゃあ!」
「ちょ、やだ服が!?」
「ミッチー、見ちゃダメ!」
真美・真奈美・麗子が身に着けている防具や衣類が粒子単位で分解され、それぞれのジョブに合わせたより強力な闘衣へと再構成される。
「ヨシュアさんこれって?」
「聖女カーシャの戦場の聖歌だ。どうやら君達も女神テラリューム様の祝福を受けたようだぞ」
Ra~♪ Lura~♪ Καταστρέψτε τον εχθρό της θεάς Ra~♪
(さあ、女神の敵を殲滅なさい)
「はあああああああ!」
カルが再びカオス目掛けて絶対魔法障壁の上から斬撃!
「無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!・・む・・え!?」
バリーン!
絶対破れないはずの絶対魔法障壁に攻撃が通る!
絶対魔法障壁は粉砕されカオスは一太刀浴びた!
「ぐ、ぐおおお!?」
しかし傷は浅い。
ミルーシャがすぐにヒールを掛けた後に絶対魔法障壁を張り直す!
Mu~♪ Δώστε το θάνατο σε εκείνους που αντιστέκονται Mu~♪
(抵抗する者には確実な死を与えましょう)
「ち、ちくしょう!みんなでやるぞ!」
「「「「「「だああああああああああ!」」」」」」」
今度は20人がかりでヨシュア一人を狙う!
バン!ガキン!ドカ!ガス!
- キンッ! -
彼らの攻撃は徒労に終わる。
ヨシュアの周りには結界が張り巡らされ全く攻撃が通じない!
同様なことが隊員達と道夫達に発現する。
そしてヨシュアが軽く剣を一振りしただけで、突撃してきた20人が吹き飛び、壁に柱に叩き受けられる!
Mu~♪ Δώστε στον ανόητο την επιλογή μεταξύ παράδοσης ή θανάτου. Mu~♪
(愚か者には降伏か死の選択を与えましょう。)
吹き飛ばされた内の一人が血まみれになりながら、アドリアン王とレイモンド王子の前に転がりビクンビクンと身体を痙攣させる。
「ひいいいいいい!あれは女神の使徒なんかじゃない!悪魔の使いだ!」
「お、おまえ達なにをしておる、攻めぬか!攻めるのじゃ!」
この瞬間、この戦いでの国王としての最後の選択は終了した。
Lu~♪ Lulu~♪ Οι ανόητοι, η ευλογία της θεάς έχει εξαφανιστεί αυτή τη στιγμή. Lu~♪
(愚か者よ、今この時を持って女神の加護は消え失せました)
「な、力が!?」
「魔法が使えなくなった!?」
「うそ、どうして!?」
道夫達を除いた召喚者の能力が突然消失した。
絶望に身をよじる召喚者達。
そして今は敵であるミルーシャの能力も消え失せた。
「カ、カオス様!魔力が消失してしまいました!」
「なんだと!?」
悲痛なミルーシャの叫びが空しく響く。
「ぎゃ!」
「ぐえ!」
聖なる鎧を身に纏っていた者達は鎧の重さに耐えられず
へたり込んでしまう。
「なんだこれ!重てぇ!?」
同様に召喚勇者達は勇者武器を使う資格が消失し、
「勇者の剣」や「勇者の槍」は異常に重たいだけのオブジェと化す。
「ちくしょう、どうなってやがる!?」
「全員、武器と防具を放棄して!ここからは徒手空拳の勝負よ!女子は後ろに下がりなさい!」
いち早く状況分析した桐生院菫が召喚者達に指示を飛ばす。
しかしそう言いながらも菫は玉砕を覚悟した。
Lu~♪ Δεν υπάρχει έλεος. Ανόητος, πεθαίνει Lura~♪
(もはや慈悲はありません。さあ滅びなさい)
Lu~♪
Ευχαριστώ που διαβάσατε
Ελπίζω ότι πολλοί θα το απολαύσουν
Lura~♪
「ふ、ふざけんな!」
「あんな化け物勝てる訳ねーだろ!」
「もうダメだ、逃げよう!」
「おおお!」
彼らは選択するのが遅すぎた。
背を向けた者から腕が脚が無残にも吹き飛んでいく。
「ミルーシャ!おまえも歌え!歌って奇跡をおこせ!」
パニックに陥った田中カオスが豊穣の聖女ミルーシャに詰め寄る!
「む、無理です!私は豊穣の聖女、カーシャ様のような戦の奇跡は起こせません。それに今は魔法そのものが使えません!」
「こ、この役立たずがあああーーーーーーー!」
パシーン!
ミルーシャを平手打ちした音が王の間に響いた・・・
Lu~♪・・Lu・・?・・
カーシャの歌がピタリと止まる。
“フワッ“
一瞬、王の間の窓に影が差した。
【第65話 聖女の歌声は破滅の序曲】の聖女カーシャの歌ですが、雰囲気的程度のものではありますが、実はギリシャ語をベースに組んだものです。
なのでグーグル翻訳を使えば歌の音声や(あいまいな)翻訳が楽しめます。
お時間ある方は暇つぶしにどうぞ~




