54.ヒモト刀 (微エロ注意)
一本杉から3時間ほど馬を走らせた所で俺とアリサはペルミの村に到着した。
「開発中な割に活気がないな・・」
「時間が中途半端ね、今日はこの村で泊まる?」
「そうだな、物資の調達と聞き込みだけして今夜はこの村でやっかいになろう」
俺達は村中を見て歩いたが、目ぼしい店が何も無い。
「困ったなぁ、この村何にもないぞ」
「開発地区の方に行けば何かあるんじゃない?」
それもそうかと開発地区に移動すると、さっきまでとは打って変わって人通りも多く、様々な店舗が商いをしていた。
「ああ、村人のほとんどはこっちに移動したんだな」
「宿屋が見えるわ、今日はあそこにする?」
「とりあえず行ってみよう」
大きくは無いが新築の宿屋でまだ木の香りがする。
「すみません、部屋ありますか?」
宿屋受付のお姉さんに尋ねてみた。
「ありますよ。ツインルームは泊まり12000ルブルです」
む、少し高い・・
「すみませんね、なんせ新規オープンなホテルなもんで」
お姉さんは心を読んだかのように返事してた。
「ああ、いや。そんなつもりは・・馬屋はありますか?」
「別途に3000ルブル頂戴いたします。よろしいですか?」
「わかりました。それで御願いします」
俺たちはお金を払い宿帳にサインし部屋を取った。
そのまま祐樹と朱里の調査がてらに外を散策する。
かなり奥の開発現場に労働者用の施設があり、いろいろと聞いて回ったが二人は1週間前にこの町を出たことがわかった。
どこに向かったかは誰にも言わなかったようだ。
「1週間違いか・・」
「やはりダバスに向かったのかしら」
道を引き返す。
色々な店が開いてはいるが、まだ商品数は少ないようだ。
とりあえず虱潰しに見て回るが、その中の武具店の前で足が止まった。
ステンレス鋼の剣が7000000ルブルで売っていた。
は? 7000000ルブル!?
うん、それ俺が作った剣だよね。
しかも王都で120000ルブルで売ってたやつだよね。
「お客さん、お目が高いですな。これは最近注目され始めたステンの剣といいまして、限りなくミスリルに近い強度と切れ味を誇る優れものです。滅多に手に入るものではありませんよ!」
「・・・・」
複雑な心境の中、店主は必死に剣のアピールをしてくる。
「ちょいとごめんよ、おっさん剣はいらんか?」
「ハンスか。何かいい武具はあるのかい?」
割って入ってきたのはどうやら武器ブローカーのようだ。
店主はハンスの持ってきた剣を品定めする。
「このヒモト刀以外は全部買ってやるよ、いくらだい?」
「ありがとよ、おまけして300000ルブルでいいぜ。
しっかしヒモト刀ってのは、どこ行っても人気ねぇなぁ、
兄さんどうだ、安くするから買わないかい?」
ハンスは売れ残った2本のヒモト刀を売り込んできた。
「剣はもういいのがあるからなぁ・・ちなみにイクラだ?」
「1本150000ルブルでどうだ?」
「アリサ、いくぞ・・」
「わあ、待った待った!2本で30000ルブルでいいから!」
いきなりメチャクチャ安くなった。
「刀の譲渡履歴はあるのか?」
「ん?ああ、あるぜ。ほら」
「前保有者・西城祐樹、前々保有者・小西道夫? もう一本は松本朱里? 」
「どうだ、盗品じゃねーぞ」
「じゃあ2本で6000ルブルで」
「いやいや、流石に無理だって30000ルブル!これ以上は負けねぇ!」
「ハンスさん、なんとか6000ルブルになりませんか?」
アリサが両手を組んで目をウルウルさせながら上目遣いで頼み込む。
「う、じゃあ10000ルブル!これで勘弁してくれ」
「そこを何とか7000ルブルでお願いします!」
トドメとばかりにアリサがハンスの手を握ってお願いする。
ハンスは堕ちた。
俺達は気の変わらないうちに7000ルブル払って店を出た。
「ねえ、この刀って本当はいくらくらいするの?」
「うーん、王都なら1本200000ルブルってとこだな」
「え、そんなにするの!?」
「まあ使い手を選ぶ刀だから需要はあまり無いけどな。それより・・」
「この刀が例の二人の・・どうして手放したんだろう・・」
そういえば二人はデボードの街に来た時は武器の類は持ってなかったはず。
それ以前で何かあって手放したことになるが・・
「今の段階じゃ検討もつかんな」
「うーん」
てくてくと店舗を物色しながら宿に向かう。
「お?」
雑貨屋に並んでいる商品で目についたモノがあった。
スケッチブックにクロッキー帳に絵具にパレットに筆、あとデザイン鉛筆数種。
こう見えて俺は絵を描くのが結構好きだったりする。
「欲しい・・」
お値段は全部合わせると30000ルブル!?
た、高い!
「あのー、アリサさん。これ欲しいんだけど駄目かな?」
「どれ?・・・30000ルブル!?」
少し考えたアリサさん、結局OKしてくれました。
「すみませーん、この30000ルブルのセット、6000ルブルに負けてくださいな」
「え・・」
雑貨屋のおばちゃんと交渉の結果、アリサさんは8000ルブルで購入することに成功した。
聖女の能力に「値引きの魅了」とかあるんだろうか・・・
その後、夕食を済ましてから宿屋に戻った。
宿屋の部屋に戻ってからのユーシスは上機嫌だ。
よほど絵描きセットが嬉しかったみたい。
そう言えば子供の頃にたまに描いて貰ったなぁ・・
「ねえユーシス、久しぶりに描いてよ」
「ん、じゃあこのコップでも・・」
違う、そうじゃない!
「あのぉ、ユーシスさん?ここにとっても可愛いモデルがいるんですけどぉ」
「いや、いきなり人物はハードルが高いって、最初は物とか風景とかでリハビリしてから・・」
「 描 い て 」
「はい・・」
そう、それでよろしい。
「ポーズはどうしよう?」
「普通にベッドに座ってくれてたらいいよ」
「こんな感じ?」
「そうそう楽な姿勢で・・」
そうしてユーシスは私を描き始めた。
今回は鉛筆によるラフスケッチって言うものらしい。
5分後・・
「ちょっと見ていい?」
「いいよ、今こんな感じ」
そういってスケッチブックを見せてくれた。
まだ大雑把だけど何となく上手いのはわかる。
ユーシスは続きを描き始める。
10分ほど経った頃、私は画のモデルをするには覚悟が足りなかったことを思い知ることになった。
真剣な表情、突き刺さるような眼差しで私を観察するユーシス。
カリカリカリカリカリカリカリカリカリ
静かな部屋で小さな鉛筆の音だけが響く。
カリカリカリカリカリカリカリカリカリ
鉛筆の走る音に呼応するかのように私の身体が反応する。
「ね、ねえユーシス、今どのあたりを描いてるの?」
「んー、太ももの辺りかな」
「そ、そう太ももの辺りね・・」
そういわれて私は太ももの周りが思わずゾクゾクと感じてしまう。
カリカリカリカリカリカリカリカリカリ
カリカリカリカリカリカリカリカリカリ
「う・・」
「どうした?気分悪い?」
「ふぇ?だ、大丈夫、大丈夫だから・・・ちなみに今どの辺を描いてるの?」
「ウエストからバストまわりかな」
ウエストからバスト!?
ちょ、待って!止めて!
カリカリカリカリカリカリカリカリカリ
ゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾク
鉛筆の位置がわずかに上に移動したような気がする。
「も、もしかして今首筋周りを描いているの?」
「よくわかるな、首筋から耳まわりだよ」
「---------------!」
き、聞くんじゃなかった。
後悔・・-すでにしてしまった事に対して後で悔いる事-
カリカリカリカリカリカリカリカリカリ
首筋と耳が、彼の瞳と鉛筆の音に優しく力強く蹂躙される。
カリカリカリカリカリカリカリカリカリ
ゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾク
もう私の全身は異常なほど敏感になって、視線と鉛筆の音に対して身体が過敏な反応をするのを必死で堪える。
あ、頭がクラクラしてちゃんと座っているかどうかも分からなくなってきた。
カリカリカリカリカリカリカリカリカリ
ゾクゾクゾク ビクビクビクビク ビクン!
いやぁ、もう許してぇぇええ!
これ以上はオカシクなるぅ
カリカリカリカリカリ・・
「ふぅ、とりあえず出来たよ!」
「ぶはぁ、はぁはぁはぁはぁ・・・」
「どうした?気分悪かった?」
「ううん平気、むしろ気持ち良かったと言うか・・」
重い身体でよろめきながら私のスケッチを見る。
「え、これもしかして凄くない?」
どう見ても素人の画じゃない。
「ユーシス・・・」
「ん?」
「画家とモデルが爛れた関係に陥りやすい訳が分かったような気がする・・・」
「へ?」
「ふぎゅう・・」
私はそのままベッドの上に力尽きて倒れてしまった。
とんでもない玩具を彼に与えてしまったのかもしれない。
絵のモデルさんの中には「描かれるとキモチイイ!」て感じる人、本当にいるそうですね。




