45.マランパ奪還作戦 3
解説=謎の人
「ゴミども、これまでだ・・」
右目を失い怒髪天のハヤトがギロリと俺とアリサを睨む。
「防具展開!」
アリサの身体を白銀の防具が纏い戦闘態勢に入る。
「ここからは俺達二人で真っ向勝負だ、いくぞアリサ!」
「ええ、ユーシス!」
ユーシスが炎を纏い、アリサが雷を纏う。
二人の異質な空気が混ざり合いハヤトにプレッシャーを与える!
「調子に乗るな雑魚ども!」
ハヤトが右手で剣を高々と上げ何か大技を繰り出そうとする!
勇者最大の奥義、ライディーンの予備動作だ!
その刹那、ハヤトを三の矢が襲う!
ザン!
ボトリ、ガチャ
「え?」
ハヤトの右腕と剣が地面に落ちた。
一瞬何が起きたか分からなかったようだが、すぐ絶叫が始まった。
「うわあああああ、俺の腕が!俺の腕があああああああああ!」
四肢を切り落とされた人間は大体同じような反応をするようだ。
それは今度こそ完璧な意外な攻撃だった!
雑魚→へたれ→空気と化し、舞台には存在しないはずの人間、ヤンマからのまさかの攻撃!
「へ、ざまあみやがれ!」
ユーシス一人に注目させ、己が気配を消すための長い長い伏線の果てに訪れた役どころ!
この一瞬のためだけに身体向上を18倍に上げたヤンマ!
彼の斬撃がハヤトの死角から襲い右腕を切り飛ばした!
ハヤトの腕が落ちたのを見届けて、ヤンマは限界を遥かに超える負荷から身体を崩壊させ沈黙した。
「き、きっさまー!」
激昂するハヤト!
すぐ落とした剣を拾い上げヤンマの首を刎ねようとする。
しかし!
ガキン!
それをユーシスの剣が阻む!
「おまえ、腕と脚はどうした!」
今更ながら驚くハヤト。
「俺の先祖はトカゲなんだよ!」
「うそ、そうなの!?」
なぜかアリサが食いついた。
「く、このトカゲ野郎!」
ハヤトも信じたようだ。
「・・・・」
ユーシスはトカゲの件で言い争うのはやめた。
「ヤンマさん、大丈夫ですか!」
アリサは異常負荷を身体に掛けたヤンマに駆け寄り瞬時に完全治癒回復を掛けそのままハヤトを攻撃する!
今更ながらハヤトはアリサが魅了されていないことに驚いた!
「女!なぜ勇者の魅了が効かない!?」
「そんなのあなたに魅力が無いからに決まってるでしょ!」
「なんだと!」
ハヤトはアリサに向かって勇者の魅了を仕掛ける!
しかし距離があるのと片目で威力が半減しているせいで少し影響が弱い!
「彗星斬!」
逆にアリサから反撃を食う!
「うぉ!?」
これを間一髪で躱すハヤト、その直後!
スパーン!
アリサの後頭部をハリセンを持ったユーシスが襲う!
「へぶっ!」
奇声を上げるアリサだが、頭の中の靄が一気に消えた。
「!?」
ユーシスとアリサの意味不明な行動に一瞬固まるハヤト。
そのハヤトにまたしても意外な攻撃が襲う!
「でええええええい!」
復活したヤンマが右後ろからハヤトを強襲!
キン!
しかしヤンマの剣はハヤトのミスリルの防具により跳ね返されてしまった。
「ぐぉ、なんだ?・・おまえ、なんで復活してる!?」
ハヤトはアリサが完全治癒回復を使ったとはまだ気が付いていない。
「ちぃ、身体強化3倍じゃ傷も付けられんか!」
しかしハヤトの精神はかなり傷つけられた。
(こんな空気みたいな奴に2度も食らわされただと!?)
ハヤトのプライドが大きく傷つけられる。
「ぐああああああああああ! ゴミども、これで終わりにしてやる!」
ハヤトはバックステップで3人から距離を置き勇者必殺の魔法を繰り出す!
「ギガディーン!」
広範囲殲滅魔法ギガディーン!
上空から広範囲に超強力な雷が落ちる!
しかしアリサはそれを予測していた!
「絶対障壁!」
上空に鉄壁の魔法障壁が展開される!
ガラガラガラ、ドカーン!
耳をつんざく大轟音!
しかし絶対障壁がギガディーンの威力に耐えきった!
「なに!?」
この時点でハヤトは気が付いた。
「絶対障壁や完全治癒回復を使う騎士?」
((バレた!?))
「貴様、聖女カーシャ・リースティンか!」
((バレてなかった))
「カーシャさんならアナタなんて瞬殺してるわ!」
「じゃあオマエは何だ!」
「外道に教える名なんて持ってない!」
(いや、散々アリサって呼んでたじゃん)
ヤンマは心の中で突っ込んだ。
「く、おのれー!」
激昂してアリサに剣を向けるハヤト!
ガキン!
そのアリサの前にユーシスが立ち塞がりハヤトの一撃を受け止める!
「ここが踏ん張りどころだ!」
「はい!」
「おう!」
「「「どりゃあああああああああ!!!!!」」」
三人の連撃がハヤトを追い詰める!
シュバババ! ヒュン!ヒュン! キン! ガキン! ガツ!
だが流石は召喚勇者ハヤト、片手片目になりつつも応戦してくる。
ガン!
「ぐぉ!」
ビシュ!
「きゃあ!」
ズバ!
「ぐはぁぁ!」
「ちくしょう、やっぱつええ・・」
「ゴミが勇者に敵うとでも思ったか、死ね!」
「怯むな!まだ行ける!」
キン! ガキン! ガツ!
右目右腕を失いながらも3人を圧倒していたハヤトだが、出血による貧血で動きが鈍くなりだした。
「くそう、目がかすむ・・」
「「 勝機! 」」
ユーシスとアリサが大技の体勢に入った!
「雷帝彗星斬!」
「炎獄流星斬!(旧名・魔王彗星斬)」
バリバリバリ!ゴゴゴゴゴ! ドゴーーーーン! ギュリリリリリ、ギューン!
二人の必殺技が混ざり合い、巨大なソニックブームに乗った雷と炎が竜巻に変化しハヤトを襲う!
「ぎゃああああああああああああ!」
ハヤトはユーシスとアリサの斬撃を食らった後、雷と炎の竜巻に飲み込まれ300メートルほど巻き上げられたあと“べちゃ”と音を立てて地面に落下した。
ハヤトは両腕両足を失い達磨状態だが生きていた。
「こいつまだ生きて・・おいユーシス!アリサ!」
しかしユーシスとアリサは明後日の方向を向いて何やら話している。
「え、今のなに?」
「これって合体技みたいな?」
アリサは周囲に絶対魔法防御を張りなおす。そして・・
「雷帝彗星斬!」
「炎獄流星斬!」
バリバリバリ!ゴゴゴゴゴ! ドゴーーーーン! ギュリリリリリ、ギューン!
二人の必殺技が混ざり合い、巨大な・・以下略
「凄い!」
「アリサ、もう一回やろう!もう一回!」
思わぬ合体技の発見に大喜びの二人、
ハヤトそっちのけでキャッキャウフフ状態だ。
「ストーップ!そういうの後でやってくれ。今はハヤトの野郎をなんとかしないと」
ヤンマに言われてハヤトの様子を見るユーシスとアリサ。
生きている事には何も驚かない。
「まあ、勇者だしこれくらいで死にはしないだろう」
「元々殺そうとは思ってなかったですし・・」
元々アリサの聖なる閃光後にハヤトにダメージを与えてマランパを攫って逃げるのが本来の作戦だ。
ヤンマの身体強化18倍の一撃は失敗した時の第二案だった。
「え、殺す気なかったの?」
ヤンマが素で驚いた。




