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41.試験開始3 ユーシスvs外の空間




ユーシス視点 ――



― ゴッパアアアアン!



途轍もない轟音と目を眩ます雷光!


建物の南面の壁が全て吹き飛び、ありとあらゆるものを吹き飛ばし、残っているのは女性二人の姿のみ。



「ま、まいりました……」


「時間だ、終了!」



アリサが負けた!?


ミーメさん、スゲエ!



“パチパチパチパチ!”



負けはしたが大健闘のアリサに惜しみない拍手を送った。



「へへ、負けちゃった」



しょんぼり笑顔で申し訳なさそうに報告するアリサ、少し涙が零れている。



「いや、大健闘だよ。最後なんかまさに紙一重だった」


「そうかもしれないけど、ミーメさんは必殺技とか使ってこなかったから……」



言われて気が付いた。


途中で少しキレたっぽい時もあったけど、たしかにミーメさんの戦いぶりは試験官に徹していた。





――


「(あ、危なかった。最後に仕掛けて来る技が雷帝彗星斬と確信していたから対応できたけど、そうでなければ今頃は……)」



ミーメの背中に冷たい何かが走った。



(しかもあの小娘の正体は魔法騎士ではなく聖女……なんだあれは?あんな聖女がいてたまるか!)



ミーメはそう心の中で毒づいたが“あっ”と気が付いた。



「そう言えば一人いたわ、クク、ハハハハ!」


――








「威力は聖女カーシャの雷帝彗星剣に近いけど、いかんせんモーションが読まれやすい上に、放った後が隙だらけ。もう少し精進しなさい」



ミーメさんはアリサにそうアドバイスして、後ろ姿のまま手を振り部屋を去った。


去ろうとした。


だがしかし!?



「ちょっと待てい!」



野太い声がした方向を見ればスナミさんがコメカミをピクピクしながらミーアさんを呼び止めた。



「おまえ、これどうすんだ!」



スナミさんは少し前まで壁があった場所を指さし怒鳴りつけた。


今は南面の壁は全て破壊され、外の景色が一望できる。


そろそろ夕方なのか外からの空気が肌寒い。



「まあ、大変!どうしてこんな事に!?」



実にワザとらしいミーメさん。


その態度にブチブチとスナミさんの何かが切れた……ような気がした。



「おまえが彼女を急かして部屋全体にストライバー掛けなかったせいだろうが!」


「テヘペロ♪」



ミーメさん駄目だよ、テヘペロは20歳を超えたら相手イラっとさせるだけだよ。


ジリジリとスナミさんが手をワキワキしながらミーメさんに詰め寄る。


だが、



「縮地!」



ミーメさんは超加速で部屋からバックレた。というかあの人縮地使えたんだ。


まあ、なんにせよ次は俺の番だな!



「じゃあ次、お願いします!」



呆然と壁のあった所を眺めるスナミさんに俺は元気よく挨拶する。


ゆらり……スナミさんはゆっくりとこっちを向いた。


目の焦点が合っておらず鼻水が少し出てる。


が、そこはそれ瞬時に頭を切り替えてくれたようだ。



「いや、すまん。この有様では試験続行は不可能だよ」


「はいー?」



まさかの試験中止?俺の冒険者ライセンスはどうなるの?



「だから君の最大の技を一発やってくれ。それを持って試験とする」


「はぁ……」



一気にテンションダウン、しかも試験官相手じゃなく吹き飛ばされた南面つまり外に向かってやってくれとか。


でもまあ、うん。


気持ちを切り替えよう。




8番手・魔法騎士 ユーシス (17歳・男性)

  試験官・外の空間




防具展開(デフォイメント)



瞬時に身体を白銀の防具が纏う。



「むん!」



掛け声と共に“ゴウ!”と炎が身体からあふれ出す。


修行中に身に着けた新たな技を繰り出す、そう兄貴から受け継いだあの必殺技を!



炎獄流星斬えんごくりゅうせいざん!(旧名・魔王彗星斬)」



炎を乗せた斬撃がソニックブームを……以下略。



兎にも角にも俺達の試験は終わった。






1階フロア――


無事冒険者実技試験をパスした者達が、冒険者カードの発行を待っていた。


俺達はヤンマとマランパと同じ席で雑談に花を咲かせる。



「へー、新婚さんですか!」

「しかも冒険しながらの新婚旅行とか!キャー!」


「ヤンマくんとマランパさんだって同じようなものじゃないですか」

「そうそう、幸せオーラが凄い漂ってますよ!」



どうやらこの人達はそれなりの師匠の元で修行して来たらしく、5級以上の冒険者ライセンスを取ることが出来れば、二人で仲良く修行の旅に出ることが決められていたらしい。


そんな訳なので彼らにはなんだか親近感が沸いた。



『本日試験を受けられた方、冒険者カードをお渡ししますので2番窓口にお集まりください』



アナウンスが流れ俺達は2番窓口に向かい、ミーメさんから順番に冒険者カードを渡される。


俺もアリサも3級中位冒険者として登録されていた。


ヤンマさん達が“3級は不当に低いのでは?”と訝し気だったが、これは最初はどんな試験成績でも最高3級中位取得までしか与えられない規約のせいだ。


最も俺達には4級で十分だったのだが。



「あとこれをどうぞ、冒険者の手引書と冒険者ギルド認定ホテル2泊3日の宿泊券です。この宿泊券は5級以上の合格者に限りお渡ししています。それと明日もしくは明後日に行われる駆け出し冒険者の為の講習会がございますので必ず受講して下さい。時間は午後1時からで所要時間は1時間程度です。」


「やった、宿代が浮いたね!」



満面のニコニコ顔のアリサ、僕も嬉しいよ。


というか、あれ?


ホテル……?ショボイ宿屋じゃなくて?


てことは……


今夜はただの添い寝じゃなくてグレートな添い寝になるのか?なっちゃうのか!?



「ホテル券か!ラッキー!お祝いに今夜は寝かせないからな!」


「もう、ヤンマのエッチ……♡」



だよな、だよな、当然そうなるよな!


アリサも何か思ったようで少し顔が赤い。



「とりあえず夕食に行かない?」


「う、うん」



俺達はヤンマとマランパに挨拶してレストランを探しに出た。


外はもう日が沈みかけ店や家の中に明かりが灯りだす。



俺達は街をブラ付きながら良い店は無いかと探していると、若者向けぽい感じの洒落たレストランを見つけそこに入った。


メニューを見て本日お勧めの料理の【クリームパスタ・野菜とポテトのサラダ・クワクワ鳥のもも肉・コンソメスープ・ジュースのセット】を注文した。



「「かんぱーい!」」



グラスとグラスを合わせて“チンっ”と鳴らす。


その後、今日の出来事を語らいながら食事を楽しんだ。


お互い共有した事を語り合うのってホント楽しい……


充実した食事を済ませ俺達は店を出てホテルに向かう。


最初は雑談しながら和気藹々と、でもホテルが近づくにつれ段々口数が少なく・・

ふとヤンマとマランパのことを思い出した。



『ホテル券か!ラッキー!お祝いに今夜は寝かせないからな!』


『もう、ヤンマのエッチ・・♡』



あの二人いい感じだったな、今の俺じゃあんなセリフまだ無理だ。


俯いて“ふぅ“と溜息を漏らした。


そして前を向き直すと信じられないものを見てしまった。



「え、うそ?」



アリサが驚きに固まった。


そこには見知らぬ男に嬉しそうに寄り添うマランパの姿があった。



「これは一体……」

「マランパさん、ヤンマさんは?その人は誰です?」


「ヤンマとはさっき別れたの、アタイこの人の女になったんだ!」


「いや、アンタいったい何言ってんだ?」

「ヤンマさんはどうしたんですか!?」


「さっき別れを告げたら逆上されてさ、それでこの人がアッサリ斬り捨てたわ。あの男カッコ悪いたらありゃしない」


「「なっ……!?」」



俺もアリサも絶句してしまった。


何言ってんだこいつ!?……切り捨てた?この男が?


俺はこの謎の男を睨みつけ咆えた。



「おまえは一体誰だ!」


「勘違いしないでくれよ、さっき彼女の方から言い寄ってきたんだ。だから受け入れただけのことだよ」


「もうハヤトぉ、こんな人達なんていいから早く食事済ましてホテルに行こー。アタイもうさっきから身体が疼いて疼いてたまらないよぉ♡」


「はは、マランパはエッチな子だな」



そして――



「じゃあ、また後でね。お嬢ちゃん♡」



すれ違いざまにアリサに言って去って行った。


なんだアイツ?“後で”?どういう意味だ?



「ユーシス……」



アリサに呼ばれて向くと様子がおかしい。



「どうしたアリサ?」



アリサの身体が細かく震え、顔色は赤くなったり青くなったり目まぐるしく変わる。



「大丈夫か!おい!」



膝をつき震えが一層大きなりそして



「うぷ、うげぇぇぇ」



彼女はさっき食べた料理を全て吐いた。


一体どうした、アリサの身に何があった!?



「ユーシス……ハリセン……ハリセンを使って、早く!」



ハリセン?あのダーシュ様から貰ったハリセンを?



まさか!



「さっきの男、召喚勇者よ!」


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