表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/471

39.試験開始1

「とりあえず下でこのチケット使うか」



 スナミさんから貰った喫茶チケットを見ながら1階フロアに戻って来た。



 空いている席を探していると、やはりと言うかなんと言うか、皆からの注目を浴びる。


 俺達は一旦受付のミーメさんのとこに行く。


 そして試験関連の冊子を頂いてからコソっと聞いてみる。



「ミーメさん、建物内の乱闘とか起こすのはまずいですか?」


「当然です。あなたの場合試験資格を失います」



 まあそりゃそうだよな。



「じゃあ正当防衛の範囲なら?」


「過剰防衛でなければ大丈夫です」



 ほうほう、正当防衛はOKとな。



「具体的な正当防衛の範囲は?」


「男なら押されたり殴られたり蹴られたりとか。女性には触るだけで正当防衛を行使できます」



 ほうほう、なるほど、なるほど。


 俺達は再び空いている席を探し座った。


 そして試験関連の冊子を読みながら雑談していると、案の定いかにもって感じのチャラい三人組が絡んできた。



「彼女かわいいねぇ、地元の子?」


「後で遊びに行こうよ、天国にエスコートするよ」


「俺達の仲良くなっておいた方がいいぜ、この後冒険者の試験を受けるんだ。いきなり6級上位は固いぜ」



 いや、おまえら6級で自慢とかオカシイだろ。


 せめて5級はいっとけよ。


 なんて思っている場合じゃない。アリサが困った顔で助けを求めている。


 俺はミーメさんの方をチラっと見る。


 ミーメさんは首をゆっくり横に振る。


 まだ無理か。



「おい、おまえらいい加減にしろ。嫁が嫌がってるだろ!」



 嫁と言われてアリサの顔が真っ赤に染まる。


 いやいや、可愛いなぁ……



「よめえええええ?」


「嘘だろ、おい!」


「奥さん、こんなジョボい男なんて別れちまえよ、な?」



 そう言って二人の男がユーシスの胸倉を掴み、一人がアリサの両肩を掴んだ。


 俺はまたミーメさんの方を見た。


 ミーメさんはゆっくり2回頷く。



「ぐぼぉ!」


「げはぁ!」



 2人の腕を払いのけ鳩尾に一発ずつ喰らわす。


 それだけで二人は悶絶して沈む。


 さあ、次はアリサを助ける番……と思ったら彼女の裏拳を食らって男はアッサリ伸びてしまっていた。



「け、けっこう手が早いね」


「だってショボいとか言うから……それより嫁って♡」



 ギルドの職員が台車持ってきてテキパキと三人組をどこかに運んでいく。


 手際の良さからして日常茶飯事なんだろうな。


 流石にそれからは俺達に絡んでくる輩はいなかった。





 ミーメさんに聞いた話では、階級を決めるための試験であり、よほどのこと(不正など)が無い限り、基本的には全員合格するらしい。


 ちなみに冒険者登録は国籍不明・住所不定・無職であっても可能で、ランクは特級から6級及び無級までの8段階有り、4級以上でようやく人々に認められる。


 無級冒険者とは実技試験を受けていない者のことで、非戦闘の依頼しか受けられない。


 またスラヴ王国王都に限っては学徒育成の一環として「研修冒険者無級~3級」まで登録できる。

 あと冒険者同士が組むパーティーはSからEまでのランクに区分けされる。



 それと冒険者と似た業種のハンターだが、こちらは国籍・住所が明確であることに加え、かなり難しい国際認定試験をパスして初めて登録となる。


 ランクは特級から5級までの6段階。なお、ハンター登録者は自動的に冒険者にも登録される。


身元がしっかりしている貴族上がりの人はハンターを受ける傾向が強いようだ。


また冒険者と少々違い、一般のハンターはより地域密着型である。


状況にもよるが冒険者と同じ依頼の仕事がかち合え、ば基本的にはハンターの方が優先される。


 さらにハンターには賞金稼ぎ専門のバウンティハンター、悪いハンターや冒険者を狩るカウンターハンターなど幾つかの特殊なハンターがある。




 時は流れ試験の時間――



 本日の試験受付は全部で7人、3階の大広間に集合する。


 基本的に武器と防具は普段使っているものを使い、呪いや毒を使う者は事前に申請しなければならない。


 また部屋の壁・天井・床は特殊な結界で守られており、壊されることなく安心して試験が出来る作りになっている。


 試験官には2級の剣士と3級の魔術師の冒険者が行い、ミーメさんとスナミさんが同席する。


 持ち時間は一人最大10分。



 簡単な説明を受けた後、いよいよ試験開始だ。



 1番手・魔術師 マランパ (17歳・女性)

  試験官・3級魔術師

 


「では始め!」


「お願いします!」

「こちらこそ!」



挨拶が終わると同時にマランパさんのファイヤーボールの連射!



「やあああああああああああああああああ!」



物凄い猛攻……だけど一発一発の威力が弱い。


全て試験官魔術師の結界に阻まれる。



「まだまだぁあああ!爆裂魔法(エクスプロージョン)!」



ここでまさかの爆裂魔法が炸裂!



― ドカーン!



なかなかの威力だが、試験官の魔術師は結界の中でケロリとしている。


マランパさんは魔力切れでギブアップした。



「マランパさん、お疲れ様でした。5級の中位です」



周囲から“おおおおおおおおおお!!”というドヨメキが起きる。



「やったねマランパ、5級だよ!しかも中位だよ!」

「えへへ、でもアタイもう動けねえ……」


「すげえええ、いきなり5級きたー!」

「何者だ?あの魔術師!?」

「爆裂魔法なんて初めてみたぜ!」

「ま、まあまあだな……」



見ていてこれには俺もアリサも素直に驚いた。


爆裂魔法(エクスプロージョン)なんてとても駆け出し冒険者が繰り出せるような技じゃない。




2番手・剣士 ヤンマ (18歳・男性)

 試験官・2級剣士


「お願いします!」

「こちらこそ!」



 いきなりヤンマ君の連撃!



「おおおおおお!」



 ― ギュン、ギュン、キン!キン!、ヒュン、ヒュン、ガキン!



 しかしヤンマ君の連撃をいとも容易く受け流す試験官。


 だがこいつも凄い、アレだけの連撃を繰り出しながら全く体力が落ちていない。


 結局時間枠一杯まで連撃で通しやがった。



「お疲れさん、5級上位だ」



 またしても周囲から“おおおおおおおおおお!!”というドヨメキが起きる。


 さっきのマランパさんが感極まって抱き付いてる。




 3番手・戦士 オルトラン (19歳・男性)

  試験官・2級剣士


「では始め!」


「おらあああああああああ!」


「6級中位だな」




 4番手・魔術師 マラソン (20歳・男性)

  試験官・3級魔術師


「では始め!」


飲料水生成(クリエイトウォーター)!」


「6級下位だな(なんで飲料水生成(クリエイトウォーター)?)」





 5番手・魔法剣士 ラウアップ (21歳・男性)

  試験官・2級剣士


「なあ奥さん、あの試験官ぶちのめしたら俺の女になれよ、な?」


「は?」

「おい……」


「必ず寝取ってやんよ!」



 いや、おまえおかしいだろ。アリサを寝取るとか殺すぞ!



「では始め!」


「おおおおおおおお!」



 ラウアップの剣が真っ黒に染まっていく。


「む、これは!」



「死ね!」



 ラウアップの猛攻!


 しかし全く当たらない。かすらない。


 試験官は剣を合わせようとせず最小限の動きで躱す。


 そして3分も経ったころラウアップが体力切れでへばった。



「ラウアップ君、君は失格だ。理由は言わなくても分かっているな?」


「ああ?なんのことだよ!」


「胡麻化すな、その剣は呪剣だろう、事前に言っておいたはずだ。呪いや毒を使う場合は事前報告せよと」


「けっ」



 ミーメさんが近づいてきてラウアップに言った。



「ラウアップ様、あなたは規則により今後三年間冒険者登録はできません。ギルドも出入り禁止となりますのであしからず」


「ウソだろ!?」



 ラウアップはガックリと膝を落した。







 6番手・魔法騎士 アリサ (15歳・女性)

  試験官・2級剣士



 いよいよアリサの番か。




「ユーシス……」




 いや、そんな不安そうな目で見ないでくれ。また心臓が“ドクン”って鳴ったし。




「大丈夫、これは実力テストだから勝敗は関係ないよ」




 そう言って彼女の背中をポンと叩いて送り出した。



 ところが……




「待った、彼女の相手は私がします」




 そう言ってミーメさんは2級剣士試験官と交代した。




「(さて、カーシャの弟子の聖女様はどんな感じなのかしらね)」




 ミーメさんは唇をペロリと舐めた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【追放した側のファンタジー~英雄ケンツの復活譚】☆イケメンポーターを追放したら、なぜかド底辺に大転落したんだが!?
ティラム逃亡記第七章と同一世界・同一時間軸の裏面的姉妹作品。
第一章ではサブヒロインにアリサが登場・活躍します!
ティラム逃亡記の休稿日はこちらをお楽しみください!

【追放した側のファンタジー・英雄ケンツの復活譚】
イケメンポーターを追放したら、なぜかド底辺に大転落したんだが!?
https://ncode.syosetu.com/n5138hd/



小説家になろう 勝手にランキング
♡♡♡♡♡♡♡♡
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ