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23.魔術師と触手責め

「じゃあ、ちょっと行ってくる、ダンの見張りを頼んだぞ」



 そう言ってカーシャ、ヨシュア、ユーシス、アリサは、すぐ隣の召喚勇者小西道夫の屋敷に向かった。



 元奴隷達は身元引受人の家族や彼氏と共に去って行った。


 また、キューリーも今日から店を再開させると意気込んで“ふんす”と鼻息を強くしワナとニナを連れて自分の店に戻って行った。


 召喚勇者加藤ダンは例の部屋でカルとリュックの監視の元に拘束されている。


 残ったのは第三独立小隊の隊員達4人アイザック、マーク、ユーコ、フランソワーズと大魔術師ダーシュ、魔術師シーナ、魔法剣士ケスの面面。


とりあえず食事を取ることにし食堂に移動した。


 ユーコとフランソワーズが厨房を物色し、ソーセージ炒めと野菜サラダ、パンとミルクをテーブルに運びんだ。


 皆で食べながら雑談が始まり、ユーコがポツリと呟いた。



「ユーシス君とアリサちゃん、これからどうなるんですかね……」



 彼らはまだユーシスとアリサが王都を脱出する覚悟なことをまだ知らなかった。


 しばしの沈黙の後、アイザックが口を開く。



「王都を出る以外どうしようもないだろうな、もはやここは彼らにとって安住の地とは言えなくなってしまった」


「私達でアリサちゃんを保護してしまえば?」


「同じだ、テラリューム教の代わりにあの子を拘束しているようなものだ」


「周囲の目も厳しくなるでしょうね、聖女を独占するなって」


「だいいち我々には彼女を保護する大義名分が無いからな、女神様から保護せよと神託でもない限り無理だ」


「じゃあ、テラリューム教に渡すんですか?」


「俺達、聖騎士としてはそれが筋なんだが、今のテラリューム教では結局は召喚勇者共に奪われるだろう」


「というか、今のテラリューム教は名前だけで中身は酷い状態じゃない。とてもテラリューム様を崇める教団とは思えないわ」


「聖騎士の自分が言うのもアレだけど、やはりテラリューム教に渡さず王都から脱出させるのが二人にとって最善策だろうね」


「寂しくなりますね、あの二人のことは弟と妹みたいに思っていたのに……」



 場の空気が重い……



 そんな空気を払拭するかのようにダーシュとシーナは言う。



「何暗い顔してんだい、今生の別れって訳でもあるまいし」


「私達あの二人のこと良く知らないけど、ヨシュア様の弟分と妹分なんでしょ?大丈夫、きっと大丈夫!」



「それはそうとあの子達の家はどうなるんだろう……」


「持ち主不在で王都に接収されたのち売却……かな」



 ユーコとマークが残念そうに呟く。アリサのオープンカフェは、彼ら第三独立小隊にとって憩いの場だ。



「いつか帰って来るかもしれないから、何とかなりませんかね?」


「まだあの子達が王都を出ると決まったわけではないが、隊長たちと相談してみよう」



 フランソワーズの問いかけにアイザックが応えて閉めた。



「さてと」



 ダーシュは席を立ちあがる。



「上の二人と交代して来るよ、あんた達、今後の事とか打ち合わせしといた方がいいんだろう?」


「それは助かりますが、お一人で大丈夫ですか?」


「大丈夫、十分拘束魔法が効いてるから何もできやしないよ」


「じゃあ私達も一緒に行きます」



 シーナとケスがお供しようとしたが



「あー、あんたらじゃダメだ。勇者の魅了(チャームアイ)でやられちまうだろ?」


「「うぐぅ……」」



「まあゆっくりしといで、じゃあ交代してくるよ」


 そういってダーシュは食堂を出て行った。





*




 三階ダンが監禁されている例の部屋。



 部屋の中では、カルとリュックがダンの監視をしている。



 ― チリンチリン♪



 部屋の呼鈴が鳴る。



「「誰か?」」


「私だよ、ご苦労さん」



 そう言ってドアを少しだけヒョコっと顔だけ覗かせるダーシュ。



「おお、ダーシュ様、どうされました?」


「下でみんな食事がてらにミーティングしてるから呼びにきたのさ、で、どんな感じだい?」



 そう言ってダーシュは部屋の中を見回す。



「見ての通りだよ、クソババア!」



 ダンはベッドに寝かされ、重力拘束魔法(ラグラジーティ)を掛けられて拘束されていた。



「なんだ、元気そうじゃないかい、結構結構」

 


 そう言ってダーシュは舐めるようにダンを見た。



「さあ、ここは見ておいてあげるから、あんた達はメシ食いに行ってきな、ゆっくりでいいよ」


「大丈夫ですか?」


「余裕だよ、さあ、ゆっくりしてきな」


「ではお言葉に甘えて……おい行こう」


「うむ、じゃあ後は宜しくお願いします」



 そう言って二人は階下に降りて行った。



「ふーん、ちゃんと腕と脚が生えてるじゃないか、よかったね」


「おかげさまでな、クソ!」



 ダンの失った腕と脚は復活していた。


 ただし、元々あった太さの3分の2以下の太さに弱体していた。



「この手足も俺の股も元に戻るんだろうな?おい」



 ギロリを睨みながら凄むダン。



「腕と脚は、あんたらの仲間が拉致った聖女にでも頼むんだね、今どうなっているかは知らないけどね」


「じゃあ、あんたが治してしてくれよ、頼むよ」


「あたしゃ壊すのが専門で治すのは苦手なのさ」


「ち、使えねえ……」


「あんたの大切なアレはどうかねぇ、まあ宮廷魔術師に時間かけて治してもらうんだね」


「これじゃ女も抱けねぇ、気持ちよくなれねえよ、クソが!」


「気持ちよくなりたいのかい?それじゃぁ……」



 ダーシュはダンの寝ているベッドの脇に座り、人差指と中指に魔力を込めて、寝ているダンの体をなぞる」


 ただなぞられただけなのにゾワゾワとした快感が走る。



「どうだい?」



 ペロリとダーシュは自分の唇を舐める。



「う、くぅ、こいつはスゲエ……な、なあこの拘束といてくれよ、そしたらアンタも気持ちよくさせてやるからよ」


「さすがにそれはねぇ、どうせ拘束解いたら逃げるか暴れるんだろ?」


「逃げねーし暴れねーよ、あんたと一緒に気持ちよくなりたいだけだよ」


「どうしようかねぇ……」



 “うーん“と考えながら、指先で体をなぞり、怪しい眼差しでダンを眺めるダーシュ。



「頼むよ!ただ愛し合いたいだけなんだ!」


「じゃあ、ちょっとだけだよ?」


「お、おう早く!」


「ほい」



 いともあっさりダーシュは拘束を解いてしまった。



「!」



 次の瞬間、弱体化してるとは思えない体で飛び起き、ダーシュの腕を捩じ上げた。



「このビッチババア、まんまと騙されやがって、覚悟は出来てるんだろうな?」


「…………」


「あ、なんだって?」



 ダーシュはニヤリと笑ってポツリと一言いった。



「正当防衛」



「な!?」



 罠に誘い込まれたと思った時にはもう遅かった。



吸精の触手(テンタクルドレナージ)



歪な微笑で呟くダーシュ、その直後――



「な、なんだこりゃぁあああああ!」



 無数の触手がそこら中から現れダンに絡みつき、精気と魔力を吸い取る!



「あんたみたいな外道でも、一つだけ役に立つことがある」


「あ、あががががっが!」


「それは私の贄になることさ!」



 ズキュン!ズキュン!とダンの精気、そして魔力が触手に吸われていく。



「ぎ、ぼぢいいいいいい! うへら!」



 とてつもない快感がダンを襲う。


 そして与えられた快感の分だけ精気と魔力が吸われ、ダンの体は二回りほど小さくなった。



「あへぇぇぇ……」


「ま、こんなもんか」



 そう言うと吸精の触手(テンタクルドレナージ)が消えてダンはベッドに倒れた。


 ダーシュは重力拘束魔法(ラグラジーティ)を掛け直すと、浴室に行って着ている服を脱ぎ、自分の体を確かめる。


 ダーシュの顔は30代前半くらいにまで若返り、ほどよく熟していた体は、20代の瑞々しく張りのある魅力的な体に若返っていた。



「ありゃ、ちょっと吸いすぎたかなぁ……まあメイクと魔法で胡麻化せば何とかいけるかな?」



 そのまま軽くシャワーを浴び、服を着直した後、ベッドの上で倒れてるダンを見下ろしながら呟く。



「あんたみたいな外道を私が見逃す訳ないだろう、ごちそうさま」



 そう言ったあと“ふんふんふーん♪”と若返った肉体に気をよくして鼻歌を歌い、また体を確かめるのだった。


 ちなみにダンは死んではいない。


 死んではいないが、勇者として――いや人として完全に終わったのだ。




 その後でカーシャから苦情を言われたが、「正当防衛だった」と言ったら大人しく引き下がってくれたらしい。



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