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11.奴隷たちの戦い



「そうは行きませんよ、ここから先は通しません……」



 ダンの従者、キューリー、シーナ、ワナが、ヨシュアとカーシャの前に立ち塞がる。



「なんだ、テメーら!」


「勇者様の邪魔をするな!」


「聖女様に対し不敬だぞ!」


「勇者様、そんな奴ら、さっさとやっちまえ!」


「バーカ!バーカ!」



 民衆たちが一斉に罵声を浴びせかける。



「あんた達如きが私達を阻むって?そんなに死にたいのかい!」



 目力だけで人を殺してしまいそうな勢いのカーシャが咆える。



「勇者様や聖女様を阻むのは本当に心苦しいのですが、これもあの男に隷属する者の務めです。」


「不本意ながら全力で足止めさせて頂きますわ」


「勝負にゃ!勇者様、聖女様」



 ヨシュアは彼女達の胸元の奴隷紋をチラリと見て悟った。



「お前たちの境遇は容易に想像できる、あとで必ず助けるから今は道を空けてくれ」



 ヨシュアがそう言うのを聞いてカーシャも理解した。



「あんた達もかい……」



 ダンに対しての怒りが激しく増す。



「ありがとう、その言葉だけで少し救われました。さあ勇者様、聖女様、ここを通りたければ私達を殺して通りなさい!」



 3人の覚悟がヒシヒシと伝わる。



「やるしかないのか!」


「ちくしょう、やるせないねぇ!」



 各々が戦闘態勢に入る!


 ヨシュアとカーシャが抜剣しする。


 そして――



「おい、お前たちは屋内に避難しろ、巻き添えを食うぞ!」



 相手の力量を見極め、簡単には終わらないと判断したヨシュアが周囲に対し注意を促した。



「身体強化……3倍!」


 魔術師のシーナがパーティーメンバーに身体強化魔法をかける。



「スレーブリィウイック!、ルーラーシールド!」


 スレーブマスターであるキューリーの両の手に「隷属の鞭(スレーブリィウイック)」「支配者の盾(ルーラーシールド)」が具現化される。



「ジャングルフット!」


 元事務職で現ポーターの可愛らしい猫耳獣人娘のワナは、脚部強化の魔法しか使えない!?



「ワナ、あんたは後方で待機だ!」



 奴隷頭のキューリーがワナに指示を出す!



「わかったにゃ!」



 たたたたっ……後ろに駆けていくワナ。



「ヨシュア……」


「ああ、気づいてる……」



「先手必勝!」



 音速の速さでキューリーの隷属の鞭(スレーブリィウイック)がカーシャを襲う!



 ―― ビュン!ビシッ!バシッ!



 カーシャの攻撃圏外からの無数の鞭撃!



「気を付けて下さい聖女様、この鞭で深く傷つけば、その瞬間からあなたは私に隷属してしまいますので」



戦いながらキューリーがカーシャに注意を促す。



「そりゃ御親切にどうもっ……親切ついでにもう少し手を抜いて貰えると楽なんだけどねぇ」



 と言いつつ、カーシャは余裕で鞭撃を躱す。





「フレイムエディエーション!」



―― 轟轟轟轟轟轟轟轟轟轟!!!


 シーナの上級火炎魔法「劫炎放射フレイムエディエーション」がヨシュアを襲う!


 轟轟と直線状の炎がヨシュアに突き刺さる!?



「ふんっ!」



 一閃!ヨシュアの剣の一振りが、シーナの劫炎放射を真二つに粉砕する。



「ぎゃあ!」「あっつ!」「うひぃ!」



 余波が屋内から様子を見ていた人々の顔を襲う。幸い大したことは無さそうだ。


 そして炎の熱は上昇気流となり突風が起きる、そう粉塵を巻き上げながら――



「か~ら~の~、ダスト・エクスプローション!」



 シーナ必殺のオリジナル魔法「粉塵爆発ダスト・エクスプローション」!


 結界がヨシュアの周囲に壁を作り、その内部でとてつもない粉塵爆発が炸裂する!



 ―― ドゴオオオ!



「きゃああ!」


「ゆ、勇者様!」


「や、やられたのか!?」



 見守る人々から不安の悲鳴があがる。



「ファイヤーボール!」



 さらにシーナの火球(ファイヤーボール)の連撃!


 初級魔術師でも体得できる魔法とはいえ、上級魔術師シーナが放つ火球(ファイヤーボール)の威力は桁が違う!



「うおおおおおおおおおおお!!!」



 女性とは思えないような絶咆しながら、シーナは無数の火球が濛々とくすぶる爆心地に向かって魔力が続く限り叩きつける!



「ああ……」「勇者様……」



 諦めの呻き声が周囲から漏れた。


 魔力を使い果たし、ゼーハーゼーハーと肩で息をするシーナ。



「や、やったか?」



 言ってしまってから“あっ”と両手で口を塞ぐがもう遅い。


 濛々とした燻りが収まり、やがて……






「おい、そんな物騒なもん街中でぶっ放すな!」



 そこには、傷一つ火傷一つ無く、平然と佇むヨシュアの姿があった。





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