琥珀の刃
小学高中学年、高学年でも理解し楽しめる作品を作りたくて書き始めました。内容的にはよくあるパターンかもしれませんし、難しい表現もなるべくしていません。というか小説初めてなので見よう見真似で書いています!!誤字、脱字、その他おかしな点がありましたら申し訳ございません…。
それではどうぞよろしくお願いします!
暗く静かな森の中で刃と刃がぶつかり合う音がただ響いていた。
月明かりの下、少し息が荒くなっている少年は古く錆び汚れた刀をギュッと握りしめ真剣な表情で兄の刀とその瞳をジッと見つめている。
「どうした。もう終わりか?こちらから行くぞ」
「っるせぇ。黙ってーーー」
喋り終える前に兄の刀は少年の喉を指していた。額から汗が垂れ落ちているのに目の前の時は止まっているような感覚に。息は出来るはずなのに正常にできない。ここで瞬きをしてしまったら、息を吸ってしまったら、次の瞬間その刃を貫かれる。
綺麗な銀色の髪は風になびき兄の冷たく刃の様な琥珀色の瞳がチラチラと見える。まるで感情のない獣の様なその瞳は少年の心臓までも見据えていそうだ。
「集中しろと言ったはずだ。ったく」
兄が刀を下ろした瞬間少年は全身の力が全て抜け重力に逆らえず地面に吸い込まれた。刀は喉を貫かれていないのに息を吐く事に精一杯で上手く吸う事が出来ない程少年は精神的に参っていた。
「男がだらしねぇなぁ。 ほら水を飲めっ。背中伸ばして落ち着いて深呼吸しろっ!」
「だハァァ…かハァァ、ハァ…ハァ。っるせっつのッッ。ハァ、ハァ」
先程まで冷酷で感情が読めない程冷たく、目を見ているだけで血の気が引くそんな表情だったとは思えないにっこりとした笑顔で兄は少年の頭を雑にくしゃくしゃにした。少年の息も同時に正常に戻り辞めろよと兄の腕を掴みじゃれ合い始めた。
「兄貴はいつも容赦しないからずりぃぞ!!」
「いつでも本気でやれ。例え相手がよく知る者でもな。」
笑顔だった兄の顔が一瞬また、冷酷な瞳に戻って見えたがすぐにおどけて少年をからかい始めた。昔から兄を見ていると、笑っているのにどこか寂しさや怯え、遠い世界を見ているような、そんな顔をしている時があった。少年がそんな事を考えていると
「お前にまだまだ稽古つけたり、こうして遊んでいたいなぁ…。なぁ、カイリ。強くなれよぉ。」
「何言ってんだよっ。兄貴より強くなって逆に稽古してやるよ!!だから体力つけとけよな!お・じ・さんっ!!」
カイリは満面の笑みで兄を見た。だが次の瞬間目の前が真っ暗になった。
「お前の笑った顔、最高だな。悪いが少しここで眠っててくれな」
そう言って兄はカイリを木の影へ移動した。
大きな雲が月と重なり辺りは暗闇に呑まれた。先程まで静かだった森がまるで騒ぎ始めたかの様に風が吹き木々が葉をぶつけ合う。眠りについた鳥達までも何かを察し飛び立って行ってしまった。雲が流れ月が顔をだしまた森を照らし始めると先程までそこにはなかった人影の様な者が立っていた。背後には森の暗闇から不気味に光る赤い物が幾つも、まるで兄を睨みつけているみたいだ。兄もまたそれらを静かにじっと見つめていた。
「みぃつけた♪今まで上手に隠れてたわねぇ〜。関心♡でも、もう終わり。一緒に来てね♡」
「その汚い口を閉じてろ」
「怖〜い♡私は別に閉じても構わないけど〜貴方は口閉じないで、色々教えてよねぇ♡イブキちゃんっ♡」
兄は表情を一瞬強ばらせ刀を構えた。女性もまた、戦闘態勢に。騒がしく葉を鳴らしていた木々が、森が静まりかえった。