現実は辛い 上
光りのカーテンが俺の頬に当たり起きろとでもいうように起こされる。ハイハイ起きますよ...後5分...
「〜〜〜〜〜〜♪」
渓愛の声が聞こえ身体を起こす。人生で1番早く起き上がった。
カーテンを取れるくらいの強さで開き水色の海を見渡した。歌は聞こえなかった。
「夢か.....」
あの出来事も夢....いや海月渓愛の名前は覚えている。現実だ..
「とりあえず海に行こう」
外は少し寒い。いやめちゃくちゃ寒い特に下半身が。早足で昨日いた場所に戻るが渓愛はいなかった。
「そりゃそうか...」
海月はここにはいない。
「でも朝の海を眺めるのはいいかもな....」
毎日見て飽き飽きしていたが広く見えた。太陽が目の前にあって眩しい。いつもと変わらない海。
太陽の形が分からないほど眩しく輝いていた。青い海も光を全て奥まで眩しく反射して白い海に変化していた。
「ねぇお兄ちゃん。なんであそこで立っていたの?」
玄関前で俺を待っていたようだった。
「見てたのか?」
「うん!何いつも海は嫌いだとか言ってたくせに~?」
「別にいいだろ..」
「あっもしかして中二病?眺めても意味ないのに突然眺めだすやつ~?俺カッコイイ的な?はは気持ちワルー」
ムッそんなんじゃねえ妹でも切れるぞ
「あっ図星~。ゴメンゴメンそっとしておくべきだったねー。これから中二病には近づかないことにするね」
ホウ...なるほど
「やったろうじゃないか」
「え?」
妹に飛びつき擽らせる。今日は脇だ。
「アハハハハハハハハ!止めてよお兄ちゃん」
脇腹にじんわりと痛みがくる。それでも俺は空がキブアップするまでやめない。
「分かった分かった。もうギ、キブアップするから~」
キブアップしたようだ。空は玄関前の壁に倒れる。
「ハァハァ....ヘンタイ....」
妹に言われるといつも傷つくもんだが昨日よりマシだったからそれほどダメージはない。
空も本気ではなくからかったように言う。いつもと変わりない毎日
「.......」
無言で俺を見ていた。どうした?妹よ
「なんだ?」
「お兄ちゃん変わった?」
「ああ、それは昨日海で.......いや振られたんだ」
海に関しては秘密だ。告白は直にわかるだろう。
「え....でもそれならお兄ちゃんショックを受けて家に引きこもるはずだよね...海でなんかあった?」
..相変わらず鋭いな空は...つまりこう言いたいのか。
振られて海で絶望して急に俺の様子が変わったのは海でなんか原因あるのかと。海月渓愛のことは秘密にしておいたほうがいいと思う。
「なんでそう思う?」
「だって中二病でも私のお兄ちゃんだもん。」
泣かせてくれる事を言うじゃねえか俺も空のことが
「あ、私の事大好きだよって言わないでねキモイから」
....もしかしたら告白よりきつい、お兄ちゃんもう立ち直れないよ。
「あ♪やっといつもお兄ちゃんだ~」
「で振った人誰?」
空は真剣な表情になる。一つ下で俺のクラスメイトの構成を把握している。
「いいだろ別に...クラスメイトが無理やりやらせられたらしいし...」
屈辱な上、ショックを受けた。学校に行きたくないのは初めてだ。今、学校は深い海の中で建っているようなものだ。
「クラスメイトに...?何故?....」
空は腕を組んで考えている。俺は絶対に言わないたとえ妹でも
「あーそういうこと。なんとなく分かった。振った人もその件に関してはもう何言わないでおく...もう噂は広まってるかもね。」
妹は何が分かったのだろうか。広まっているんだろうな
「助かる。」
「いえいえ気持ち悪いお兄ちゃんのことは空が誰よりもしっているんだから。」
妹は薬に飲んだに違いない。お兄ちゃん妹がいて良かった。
「黙秘権の料金は焼肉の奢りね♪」
訂正する。やはり空は空だ。
「いやいやおかしくないか妹よ。無理やり話されて焼肉代のダシに使おうなんて.....よし覚悟しろ」
もう手加減はしない。空に手を伸ばし...
「アッハハハ!いやよ焼肉代奢らせてやるんだから!」
くっ、くすぐらせても効果はない。なら...
「あらあら相変わらず朝から仲良いね〜。早く朝飯食べましょう。」
お母さんである。美人らしいが..俺には分からない絹のような黒髪ロングでおっとこれは友達からの言葉だ。決して俺の言葉じゃない。
なによりどんな顔していようとお母さんはお母さんだ
両親、俺、空と共に食事をしているとお父さんが
「そういえば夜いい夢を見たよ。海から歌が聞こえてね。誰か歌っていたのかな?」
空は横目で俺を見てくる。知らない振りでもしておこう。いつもなら空は「そんなのお父さんの幻聴だよー」酷い口調をして、お父さんは項垂れるの想像できるのに
空は黙々と食事をしているだけでお父さんの夢の話を聞かされるハメになった。夢の話はハーレムにあったとか。お父さんはその後何があったのかは知らない。
「いってきまーす」
空は先に登校していた。
歩くと少しずつ周りが暗くなり息も苦しくなる。深い海に潜っているようだ。暗くて息も辛い。
深い海から誰かが俺の手を掴んで上昇していく。
「誰?」
言葉にはならない。大きな1つの泡が出る。暗くて見えない。魚のヒレは見える。もしかして
「ダイジョーブ♪ タイヨウ!」
海月渓愛だった。昨日の出来事を思いだす。渓愛は歌ってくれた。
.....うんもう大丈夫だ。海月と俺は海面の上にいた。
立ちはだかる教室のドアを開ける。よし!ひんやりする取っ手を掴み
ガラッとすんなりと開けられた。
ひそひそと雑音が鳴る。大丈夫だ。今は苦しくはない。無視して自分の席に座ると
「おはよう大陽君。」
ニヤつきながらさも楽しそうな声で挨拶をしてくる。
「おはようございます」
クラスメイトの副リーダーの立ち位置でスクールカーストの中の上に位置している。今崎君は俺を弄るのが楽しいらしい。こいつが犯人に違いない
「おいおいなんで敬語なんだ?友達だろ?」
耳の近くに寄せ
「で?告白はどうなったんだ?」
虫の鳴き声みたいで気持ち悪い。うぞうぞ耳の中に入ってきた気持ち悪い
息が苦しい。また海の中に潜るいや溺れている。
「お、俺は...」
掠れた声で次の言葉を探す。そして昨日の夕日の出来事を思い出した。
あの時二人だけでオレンジ色の光に当たり歩いていた。
昨日の放課後、オレンジ色夕日に当たった河相さんは青春を満喫しているようで規則正しく靴を鳴らす。しかし影は暗かった。
「陸、校舎裏まで来てくれる?」
振り向かずに足を止め真面目な声を投げかけた。雰囲気が変わり俺の返答を待っていた。
「いいよ」
澄ました声で言う。心臓が高なり体が徐々に熱くなる。5月で夏服に着替えてもよい頃だ。
逆光のせいで表情は見えない。夜より暗くさっきより長い河相はんの影が俺の体を縦に塗りつぶしていた。
心臓がはち切れそうで苦しい。
「あのね....」
そこから暫く黙ってしまい、俺も口を閉じたままだ。緑の木の葉がゆさゆさと鳴らして見守っている。木の葉が所々大きく揺れていた。
やっぱりこれは....顔が真っ赤になってしっていた。河相さんから告白してくれるなんて
「あのね....私、陸.....の事がすき.......だよ....。」
えっ....やっぱり告白だった
小鳥のさえずりより小さい声で告白された。俺の顔は真っ赤になった。身体全体が暑い。
俺も好きだと返事をさえぎるように立て続けに話す。
「皆でお昼ご飯をたべたり、花見したり、テニスをして遊んだりして楽しかった.......。でもね....」
「でもね....」
風が奇妙に止んだ。木の葉のダンスも止まっていた。風は止まったはずなのに木の葉はあるところに大きく揺れていた。
夕日は既に沈んていて前方の空だけがオレンジ色に染まっている。校舎裏も暗くなり、太陽の熱が逃げるように冷えていった。
河相さんは自分の手を潰すように握った。
「でも私は陸が嫌い...根暗だし私と釣りあえない。告白しようとした?残念諦めて...」
は?え......嫌い?さっきのは告白じゃなかったのか?どういうこと?
「嫌い?」
さっきと同じ心臓の音がする。でもこれは違う
「うん陸が嫌い..」
分からない。河相さんに振られたというのをやっと理解した。さっき告白したのは...
そして木の葉が大きく揺れている。誰か隠れているのか?もしかして!
風はやんで徐々に校舎裏の熱も消えて、冷静になっていた。よくやる罰ゲーム...!
ザッと大きく揺れる。
「な、なあもしかしてこれ...」
告白の話を逸らすように、逃げるように別の事を口にする。あれを聞きたくなかった。聞きたくない。河相さんから言ってほしくない
「ドッキリ?」
告白が本当かどうか河相さん本人に確かめたくて口にしてしまった。質問してしまった。
言ってほしくないのに言ってほしい。告白が嘘だったのか確かめたくて....
「うんそうだよドッキリ大成功!とでも言うのかな....?」
さらに熱を逃がすかのようにやや暗い校舎裏に冷えた風が吹く。木の葉は大きくゆれ、誰かが隠れている木の葉は不自然なほど揺れていない。
それだけは河相さんから言ってほしくなかった。本当の告白じゃなくて俺を騙すための告白だった。
凍る風が吹いて震えが止まらない。嘘だ...河相さんが...悪口を決して言わない人だった。
河相さんだけにショックの表情だけは見せたくない。だっておれは....
歯が折れるほど歯ぎしりをたてクラスメイトを恨んだ。炎が心を焦げるほどに熱く燃えた
激しく燃えた炎がすっ消え冷静になる。
そして焦げてしまった恨み心のおかげか最低最悪の告白の返事をしてしまった。
「あっそう俺も河相さんのことが嫌いだよ...」
河相さんにもドッキリ大作戦に参加しているやつらにも聞こえるように大きい声で言ってやった。せめての仕返しだ。ショックを受けた表情で楽しみたいのだろう。ザマーミロだ。
焦げた心の表面がボロっと少し禿げる
「じゃあな河相さん」
焦げ目が剥がれてた心は赤く傷ついていた。
河相さんを見たくない。なにより自分の悲しい表情を見せたくなかった。帰ろう早く。
前にいる既に暗く溶け込んだ河相さんを見ずに早足で離れる。河相さんは何も口にしない。
崩れるように焦げ目はボロボロと落ちていった。
痛い....
花見をしたりテニスをした楽しい思い出は自分の中で生き続けていた。
「陸〜また遊ぼうね!」
全て顕にした心は赤く誰かに刻まれて傷ついていた。
っ!...痛い。心臓が動くたびに傷口が広がってしまう。
焦げ目が少し残りクラスメイトにこの後笑いものにされないよう堂々と歩く。残っていたおかげで逃げられずにいた。
既に校舎裏は暗く俺の表情も分からない。
校門から出るとすぐに走った。もう誰にも見られてない。走った。もう沈んでいた。残されたオレンジ色の光を必死に追いかけて誰よりも早く走った。走った..
だれかに強く踏みつけられた道端のヒメジュオンの花弁が散り散りになっていた。
痛い...
下は明日更新です。
浅いかなー不安ですw




