空想の人魚が現われた
「人魚」文字通り人と魚の形をした名称。上半身は人の姿、下半身は魚の姿をするという。外国語では女性をマーメイド、男性はマーマンという。
マーメイドは顔が美しく、人々が魅力される美しい歌、そしてマーメイドは人に恋をする物語が有名である。
そして恋が叶わないというのも有名だ。
深い海から泡がゴホゴホと昇る。泡を餌だと勘違い魚は追いかけてパクパクと食していた。
さらに音がなってきた。鯨のように低音でもなく高音だった。
「Aaaaa~~」
歌声が下から聴こえてくる。大人でも眠ってしまいそうな歌声にも聴こえてくる。魚は耳がないが、小魚の大軍は音に魅入って息を合わせて踊ってしまった。心地よい波長を感じたのだろう。
水流に逆らい渦巻きのような回転をして自ら水流を作っていた。さらにリズムに合わせて上下左右に一斉にタイミングよく踊っている。魚は独自のダンスを踊っている。
しかし踊らない魚が1匹いた。ダンスが気にいらなかったわけでもなく、踊れなかったわけでもなさそうだ。歌に魅入られてその魚が音の元へとユラユラと泳いでいく。音は少しずつ大きくなっていく。
「~~~aA♪」
魚の群れから離れたら食べわれるだろうにそんなの気にすらしていないようだ。
魚は音を発する影を見て、急いで魚の群れに戻ろうとする。
暗い海から影は徐々に姿を顕して魚を食いつくように泳いだ。
歌声がその魚を追いかけて逃がさないというように追いかける。小魚は歌に取り憑かれないようにさらに早くにげていく。
音を発する影は逃げる小魚に追いつき、小魚は追い越したと気付かない。
影は垂直に上昇している。上には踊っていた魚達が皆、驚いてそれぞれ散逸してを乱り踊り逃げていった。影は魚を食う気ないようだ。ただ群れに突っ込んでしまった。
徐々に暗い青色から透き通る水色に変わっていく。歌声はもう聴こえない。歌を止めて自分の泳ぎに集中している。
海が少しずつ周囲透き通り、人の女性の形をした姿も顕していった。白銀の髪は最高級の絹のようで塩水に晒されても痛んではいなかった。上半身は白銀の髪より白い肌を肩を顕にしていて、巫女服のような和服で隠されていた。
歌っていた影は鰭を駆使してスピードを緩やかにして止まった。
「お魚の群れに突っ込んじゃった。見えなかったのごめんねお魚さん。」
競走に負けた魚に申し訳なさそうに、魚の小さい顔をツンとつつくと小魚は慌ててまた逃げて、すぐに水中に染まってもう見えない。
「ごめんってば〜」
反省してように美しい声で謝った。小魚はもういない。一人だけ暗い海に残されていた。
呼吸する泡の音と同時に海中に響き渡る。人魚上を見てなにかを見つけて泳ぎを再開し始める。
上に白くユラユラと動き形を変えながら揺れていた。月光が反射して海中からは白く見えている。
「見つけた♪上に白いのがへばりついてるの見えるのはもうすぐ光る粒が見れるんだね」
あそこが海と泡の境界..
もう少しで伝説の通りなら光る粒が沢山見える。星空と言うらしい。
「もうあそこは懲り懲り。誰が戻るもんか。」
物憂げで、後悔しているような表情でため息をつくが泡の小さい音だけが聞こえるだけだ。音にはならない。
もうすぐ沢山光る粒が見える。そう思うとワクワクする。悪い気分は既にどっかいってしまっていた。
周りは暗いけど自分の姿は見えるくらいになった。目を凝らすと世界の果てまで見えるかも。今は泳ぎだけに集中しよう。
「もうすぐ..」
水のない世界に飛んだ。
沢山光る粒と海に囲まれた闇の中で黒い魚のシルエットが見え、月光に反射した銀髪だけが暗闇のなか白く目立たせて、魚が大きな音をたて空中に飛んだ。
「綺麗......」
波の音で言葉かき消されてシルエットは暗闇の中に溶け込んだ。
海の深くに人魚がいるという。伝説では下半身が魚の形で、上半身は人の形をしているという。アンデルセンの人魚姫の作品が有名だ。俺にはbadendのお話だ。そんなこと今はどうでもいい。
まず人魚とやらは一体誰が見たのだろうか。現代の時代は驚異的な速さで海の情報を解明しようとしている。なのに発見されていないのは何故か。そんなの嘘に決まっている。雪男やら、宇宙人とやら、存在すらしない物は合成写真で捏造できる。どれもこれも嘘っぱちだ。
人を空想を信じ込ませるのは酷いとは思わねぇかと苛立ちながら砂をボールのように蹴りつけた。
砂はザッと寂しい音を立てる。砂は舞って海に吸収されていった。
暗い砂浜に1人の男が立っていた。
「はぁ.....くそ...」
海の上に座りこみ、自分の身体を抱きつけ顔を誰にも見られないように隠した。もとより誰もいない。耐えられなかった。
「冷てえ」
名前は大陽陸。大陽と言われるとあの太陽が思い浮かぶ。陸は大地だ。
自然の名前でエネルギーに満ち溢れてるというのに...なのに今の俺は負のエネルギーを放っていた。
俺の気分ブラックホールだった。エネルギーを吸い込み真っ黒。ブラックホールという名前は俺には合ってるじゃないか。いや日本人としての名前なら黒穴だろう...うん俺に合ってるじゃないか。「黒穴」...まあよしとしよう。今から名の変更届を出そう。もう真っ暗だ。明日にしよう
もうすぐ1日が更新する。上には星の砂粒が瞬いている。
足の指で砂を握った。ああ深夜でもいいな。かっこいいし、よし深夜に決めた。
自問自答して自分を慰める。
暫くたってもまだ沈んだ気分は直らない。耳を澄ますと虫の音が聞こえてくる。
虫の音は今の俺と同調しているようで虫も振られたんだろうか。1匹だけ歌っていた。
海がザァーと音を立て俺を暗い海に連れ込もうと波が下がっていた。
それ以上聞くと気分が下がってしまう。今でも思いだす。好きな人に告白されたのだ。
その時は嬉しかった。夢じゃないかと、しかしそれは夢であり現実でもあった。
クラスメイトが無理やり好きな人にそうさせたらしい。好きな人にも根暗なやつとは付き合えないと断られてショックを受けた。
思い出すだけで鬱になりそうだ。いやニセ告白されただけでも嬉しいと考えれば....しかし立ち直れるほどの気分ではない。
恋い慕う人から言われると傷つくものである。
もう立ち直れない。現実から空想に逃れたい。異世界でハーレムして..魔王を倒す。こんな夢みたいに想像するのは今この世界に背けたいからだろうな。
作るのは簡単だけど創るのは時間がかかる。ましてや創ることは不可能かもしれない。一から構築するなんて神様だけ。
今すぐこの世界に逃れたいから意味がないし。俺が行きたいのは空想ではなく妄想だけど..
「帰ろう」
海にいると連れ去らされそうだ。なんで海に来たんだろう、俺の家は海からあまり遠く離れていない。家には帰りたくなかった。
遊び放題だが周りには海だけしかない。カフェ、カラオケ娯楽施設が遠い。
夏イベで海行こうはそんなに嬉しくない。誘われた時の気分といったら下がりまくりだ。全力で遠慮させて頂きます。
はぁため息をつけながら帰るのだった。
「冷たい」
水分を吸収して張り付き気持ち悪い。海の上に座りこむんじゃなかった。
「~~~~~~~~~~~~~♪」
とりあえず明日までに.....声?いや
「歌?」
海の色は闇に見えている。全ての空間が暗闇でまだ残された灯された光いや美しい歌声。絶望からその希望に俺にも灯してくれる感じがする。歌か?もっと聴きたい。
「~~~~~~♪....!」
月光に反射した銀髪、下には魚の形がした肌は今まで日光すら浴びたことない白い肌、モデル以上の貌をしていた。
俺を見て魚っと驚ろいたが好奇心に満ちたキラキラとした目をしていた。
「あっすいません。」
歌を止めてしまった。しまった近づきすぎたか。もう少し聴きたかった。
..後悔も既に遅い。とりあえず挨拶すべきだ。...それよりも下半身に何故か魚の形している。これはまず「コスプレ似合いますね」だろうか..
色々突っ込むところがありすぎて..なんで巫女服着てそれより.......何も出てこない....ええとええと、焦った表情が顕にしている。 やっぱり人魚か!?
コスプレ少女はふふっと笑った。
なにも言えずじまいだった。アアっー!
大きな波は沈黙の間を誤魔化してくれた。
振り返ってみよう
大陽陸は非現実的なものに目の当たりにした。海で一人絶望して現実から背けようとしていた時、取り憑かれてしまうほどの歌声が聴こえたのだ。
絶望して一人海の上で項垂れていた様子を見られていないだろうか。見られたら恥ずかしくて明日からもう生きていけない。
歌声の元に行くとコスプレと思いきや本物の人魚がいた。しかも肩に肌を晒した巫女服を着ながら。人魚の絵画は上は肌を晒してなかったんじゃない?
挨拶は失敗してしまったのであった。逃げられるに違いない。
銀髪をした人魚は絵になっていた。両手を砂の上に手をつき、俺から見て人魚の足はV字に折り、前に屈み俺をキラキラと輝いた目で見ていた。月光が海に反射し、足がてらてらと月光に反射しより綺麗に見えた。誰でも可愛いと認めるだろう。
写真にしたら売れること間違いない。
とりあえず今言葉をかけないともう人魚は現われないかもしれない。だから今度はもう一度挨拶をかけなくては。
「こんにちは人魚さん。歌お上手でした。」
よっしゃクールに振舞えた。やっと成功だ。
「gyu jiihu pou♪」
好奇心な声で何かを言っている。砂浜のステージの上で歌っているのかようにも見えなくもない。
海から冷たい風が吹いて来た。しかも今俺はびしょ濡れで寒い。風は風邪をも連れてくるだろう。
さて言語も通じないようだ。英語でもないし、何処の国の言語でもない特有の言語かもしれない。
「困った」
人魚も通じなくて少し困っているようだった。けど目はランランと輝かせている。好奇心でいっぱいのようだ。
妙な言語で話た後、俺に嬉々として話しかけてくれる。
「Xf ioo bkhj !」「hh lopp yuiyui !」「ningen deery joo」「gyugg mottohh uuu〜」
俺を見て逃げないのだろうか?人間は酷いと本によく書かれてあるが?知らないのだろうか..
人魚はハッとした様子で魚の尾と同じ顔全体赤色頬を染めて話を止め申し訳なさそうに下に俯いてしまった。
人魚の足は赤色といっても金魚特有オレンジの色に近い。人間の足の長さと同じ尾ビレの形は金魚と同じような形だ。だが尾ビレが大きい..尾には紅葉が塗られているようでその先からは透明で海の中でも分かりにくそうだ。背ビレは...付いていない。
気になるのは魚と人の間の結合部分であるが服で隠されている。
波に打たれ、尾ビレは砂浜をスレスレに泳いでいて、尾にも感情があるかのようだ。
って何してるんだ。折角話に乗ってくれたのに..ええと...まずは自己紹介からだ
「あの..俺の、名は大陽陸と言います。」
少し噛んだが気にしない。よくあることだ。なんせ美少女の目の前で紹介するなんて..いや誰だって緊張するじゃん
誰にも分かるよう胸に手を当てた。人魚は顔を上げ真っ直ぐ自分の目を観察していた。何かを探るように。
伝わらなかっようでもう一度言おうとすると、自己紹介しているのに気づき、ハッとした表情で胸に手を合わせて
「gtoj o ウミヅキ ケイアイ ewa♪」
可愛い笑顔で思わず見惚れそうになった。下半身の鰭をピチャピチャと鳴らしていた。可愛い
通じてくれて良かった。安心したため息をついた。恐らくウミヅキケイアイというのが名前だろう。
ウミヅキ.....海月かな、ケイアイはケイは渓、桂?アイは愛で確定。日本語じゃねえか!おっと
「宜しくお願いします。海月渓愛さん。」
握手を求めてしまった。やってしまった。海月渓愛さんは理解できるのだろうか。逃げてしまうかもしれない。
海月渓愛という人魚の尾ビレが水中の砂をかき混ぜて、手を握ってくれた。ヌルッとしているが気にしない。人魚特有成分なんだろう。水の抵抗力を弱めるためにあるかもしれない。
「♪feew ナワタイ ヨウリク♪」(宜しくねナワタイヨウリクさん♪)
しまったいい感じだったのに..緊張しすぎてきちんと言いきれなかった。
「違います。」
海月さんは(?)を浮かべたがこれだけ突っ込んでおきたかった。もう一度自分の名を呼ぶ。
「大陽陸」
「タイヨウリク?」
うんと力強く頷いた。
「海月さん」
人魚は笑顔で返してくれた。嬉しいようである。警戒心なさすぎだろ。そして可愛い
「タイヨウ!ooii btf ?」
空に指を指した。星空のことだろうか。
「あれは星空」
「 ホシゾラ♪」
「そう」
イントネーションは若干異なるが..
「ホシゾラ....」
人魚は納得した表情で光の粒をじっと見ていた。俺はその絵に魅入ってしまっていた。
海風渓愛は指で物を指し
「oumi ?」
眼鏡を指していた。
「眼鏡」
眼鏡を外し海風に渡した。海風はキャッキャッと嬉しそうかなり興味深く観察している。そして俺と同じように眼鏡を掛けた。可愛すぎる。
海風は困惑して首を横に大きく振る。
「ゥ〜」
すぐ取り外し返した。合わなかったようである。俺の眼鏡は平均よりきつい
「oumi ?」(それは?)
次は何かを指した。何も見えん。眼鏡をかけ直し指す方向に目を向ける。
向けていたのは月だった。今日は満月で満潮だ。今日は白い銀色に輝いている。
「あれは.....月......」
海月はへぇーというように、あれ?というように若干困惑したそうである。
ごもっともだ。なんとなく分かる
「そして...」
青い海の水をすくいあげ
「これは..海..って言うんだ。」
こぼれないように海月に透明な塩水を見せる
「ウミ....」
目がキラキラと反射していて表情が分からなかった。
すくいあげた透明な塩水を捨て、波が奥に引いた砂の上に俺は指で海月渓愛の文字を綴った。自分でいうのもなんだが綺麗に書ける
「海、月、渓、愛」
海と月はそれぞれ指を指した。
渓愛は表現の方法が分からない。名前には意味があるのだろうが分からない
海月は花を咲いた表情になる。尾はバシャバシャと鳴らした。相当嬉しかったようである。やはり可愛い
俺の字を真似をして文字の下に書いた。物凄く上手だ。俺より上手いなんて..
「ウミ、ヅキ 、ケイ、アイ!」
自分の書いた文字に1つずつ手を指して声を出した。
「そう、それが海月渓愛という名前」
夢中で何度も文字を書いている。
指はピタリと止め目は悲しそうに
「aeww jeuu weyvevu idue o wpe keij msii hwq eii rn iep peh heatu kejj eqp vye kruub eqprr dee ?」
掠れる声で質問したようだ。突然speakingテストを出してきた。ちなみに英語は赤点だ。
あれは何?という短い文章ではないだろう。長い質問されたときは焦ってしまう。英語の短文は読めるのに長文になると読めないという感じ。言葉も同様である。
何故ここにいるの?は短すぎる。なぜか海風渓愛は悲しげな表情だ。
ああもしかして...放課後の告白を思い出した。
「あのとき波で打たれながら一人で座って、残念そうな表情をしていたの?」
こんな予想は間違っててほしい。
ズボンはびしょ濡れで冷たい
「ねえねえなんでびしょ濡れなの?変な格好ww」
そんなことを言ってほしい。悪口でもいいから...
胸が締め付けられる。あの最悪な告白は...
嫌でも記憶が鮮明に蘇ってきた。今質問を返すと酷い表情を人魚に見られてしまう。とっくに酷い表情かもをしているのかもしれない。
人魚は両手を胸に手を当て
「git bihu loloo bjij fred uta♪ 」
大地に打ち上げられた海月は他の誰よりも美しい微笑みをする。
それから海月渓愛は研ぎ澄まされた表情と同時に天候も止まったように変化する。
声をかけるのさえ躊躇ってしまうほどの表情。質問を返すことすら忘れてしまうほどに俺はその絵に取り憑かれられてしまっていた。
海月渓愛はステージ上にポツンと座っているように見え、手を伸ばしたら触れられそうな距離が何故か遠く感じる。
波の小さい音だけが残り、虫の音、鳥の声が止まっていた。近くに街灯もなく光は月と星だけ。完全な闇ではなかった。海も奥まで見え、砂の色まで見えるくらい舞台ステージのように明るく変化した
唯一の波の音が奥へと行き音も消えていき静寂につつまれた。
人魚を置いていってしまった。人魚は水のない濡れた砂浜の上に乗っている。
静寂で何も聞こえない。突然の静寂が俺の身体の動きを無理やり静止させたようだ。
動けたとしても動いてしまうと風、海、星、月が怒ってきそうな気がする。風でとばされそうで、海に呑まれそうで、星と月は太陽より輝いて目を焼くのだろう邪魔をするな!と
俺はステージ上の人魚を見詰めることしかできなかった。
美しい人魚は空気に慣れてなようで目を閉じ、半分金茶色の目を開いて、やや苦しく呼吸するのと同じく息を吸いて吐いた。
........
「♪Aaaaa〜」
月に照らされた海月が歌う。海月は少し苦しそうにキュッと飲みこんだ。
さっきまでの静寂が嘘のように波の音が大きく鳴る。
「 ~ kusoo wi gentitu no mazeuu hu kopu 〜」
海月は身体をゆっくり前後にほんの少し傾く。
「〜kusoo po juiui miti 〜♪ gentitu po gii ♪ seki no miti ♪ ~」
歌に合わせゆっくり波が引いてきた。
波はゆっくりな自然のトロノームを奏でる。
人魚の曲調を合わせていた。
目は何故か滲んでいた。薄い金茶色が揺れている。
「do miti jbu erau jinseee 〜♪ ....」
しかし表情は明るい。
歌い終わり、重い瞼を持つかのように開き元の金茶色に戻っていた。
「タイヨウ!a .......hyu jinse hop jj moki .... 」
滲んだ目は消え俺でもあり海月自信に質問してるようなにも聞こえる。
「...........wi 海月 hio aeri kamo ... 」
ザザーーーさっきよりも波の音が大きく鳴る。
また苦しい呼吸をし始める。また歌ってくれるようだ。
「〜koii di 〜 guu tikai ni kabee 〜♪
koii po hana....♪」
「no kusoo ♪no yumee bt gentitu〜♪」
「itpoo ma susmu jbu erau jinsee~~♪」
砂上ステージは一人の魚が環境が異なる場所に残されても生きたい雰囲気を醸し出していた。
水上ステージは人魚が人間に癒しを与えてくれるステージのようだった。
歌声に取り憑かれて思考が戻された。長く聴いたようで一瞬だった。最後の歌は冷たい海のように悲しい曲調でも諦めない意思があるように感じた。
...塩の味がしはじめる。海水より薄い味が口の中に入ってくる。
ああそうだった。酷い告白された。そしてお返しというように最悪の返事をした。
胸が握りつぶされそうでとても苦しい。前にいる人魚が滲んでいた。
「ウッ....くそぉ...なんでなんで....振られて....騙されて........か...いざん....」
波の音より俺の声が空気に振動して響く海月に聞こえしまっているのかもしれない。
「失敗ざ、せて...し、たの..に..なんで...涙が......」
もう限界だった。口を抑えて聞こえないように。波の音より小さく
「ごめん.....俺が、おまえに...ウッ.. 最低だ...」
もう取り返しがつかない。
駄目だ、止まってくれない。海月に背を向けてしば泣き続けた。静かな風が俺の背中を撫でてくれた。
月が照らす影が冷たい
風も吹いて、虫の音も耳をすませば聞こえる。歌っていた静寂な環境が嘘みたいだ。
心にスっと何かが消えた。軽くなった感じがする。
「un! もうダイジョーブ♪ タイヨウ...ダイジョーブ..」
海月渓愛は悲しそうな表情明るい声で言ってくれた。
きっと項垂れてるのを発見し俺のために歌ってくれたんだろう。
俺は塩水後を腕で拭いそして
「歌ってくれてありがとう...海月さん!」
言葉が伝わらない代わりに感謝ともう大丈夫という意思を伝える。
「u mou huyuo ed ... ヨカっタ!」
伝わったようで海月は口を釣り上げる
「タイヨウ iyt ojjp juu.... 」
目を閉じ安堵するかのように笑顔になっていた
「アリガトー タイヨー!」
こちらこそありがとう。もう大丈夫だ。
「A.... poiih byc yuvfy ....」
海の先を見て呟いた。
渓愛は背を向いて海に鰭を引きずって進んだ。帰るようだ。
「待って!...」
銀髪を靡かせて振り向き、慌てて自分の名前を書く
「これが大、陽、陸」
海月は大陽陸の文字を写した。俺よりも字がうめえ..
「un タイヨウリク noopi !」
覚えた!と言ったのだろうか。
「また会える?」
もう会えないかもしれない。この世界が、海月渓愛が去ってしまうようで...口にした。
「un マタ、アエル!」
確信をもった目で俺を見ていた。ほっと安堵した。去ってしまうことが怖いから...
俺の真似をした日本語の上達が早い。すぐに教えたら上達するだろう。
そう考えていると渓愛は既にきえていた。もう海へと帰っていた。海にはいつもの波の大きな音だけがする。ここがステージだったと存在しなかったかのように単なる夜に押し寄せる波だった。
一人残されたが不思議と寂しくはなかった。
「帰ろう」
海月渓愛の文字は波に掻き消され書いてくれた自分の名前な暫く消えないでいた。
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