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マナー異能バトル2

マナー。それはいのち。

今日もマナー違反者が次々と命を落としていく現代のマナー社会ニッポン。マナーを守らないことは死を意味していた。


北村マナー講座受講希望者、流木守ながるぎまもると、北村マナーを認めないマナー講師、霞良識かすみりょうしきは、北村マナー講座と自らの命をかけて、マナー対決に臨む。


「俺の名前は霞良識だ」

「ガハッ!」良識が名乗ると同時に守が吐血した。


「先に名乗らないのはマナー違反だからな、俺のマナースキル『はじめまして(スロウリー・ブラッド)』は、必ず相手より先に名乗ることができる。今のは挨拶代わりの挨拶だ…」


「私の名前は流木守です。流れる木に守備の守で流木守です。以後、よろしくお願いいたします。」

「グッ!」良識の膝から血が吹き出した。


「お返しの挨拶『クソ丁寧な挨拶フルプライス』だぜ…黙ってやられはしない」

「なかなかやるじゃないか」

「頑張って、守くん!」

「あぁ、頑張るぜ。死なないことが俺のマナーだ」


「早速だが、今回の死闘のステージは…あそこだ」

良識が指差したのは、ハンバーガーショップ・シマカゼ。

「先程も申し上げたが、今回のマナー対決、そのテーマは『食事』だ」

「受けて立つぜ」


カランカラン

「いらっしゃいませ〜、キャアアアアアア!!!」シマカゼの店員は吐血しているスーツの男と膝から下が血だらけのXJAPANみたいな男を見て絶叫した。


「チッ、うるさい店員だ、静かに客を迎え入れる初歩の初歩のマナーも守れないとはな…」良識が店員の頭を片手で鷲掴みにし、レジに叩き付けた。

絶叫した店員は流血しながら失禁し、気絶。


「ではさっそくハンバーガーを注文するわけだが、ハンバーガーは相手の指定したハンバーガーを食うことにする」

「良いだろう、まずは注文して、どうぞ」

「敵に先制を許すか…ククク、俺が女性だったら『お先にどうぞ(レディーファースト)』を発動できたのにな…惜しいなァ流木!」

「くっ…はやく注文しろ!マナー違反と認識するぞ」


良識は店員が倒れているレジとは別のレジでハンバーガーを注文し始めた。

「え〜っとぉ〜〜〜、あのキングキングバーガーのXXXLサイズとぉ〜〜〜、キングポテト超盛り、あとぉ〜、ドリンクもメロンソーダをXXXLで、あとぉ〜、あとぉ〜、あのオモチャ付きのやつも欲しいかなぁ〜〜〜」

「かしこまりました」


注文し終えた良識は守に耳打ちした。

「今ならまだ間に合う、降参しろ」

「断る」


「キングキングバーガーXXXLサイズのお客様〜」

「ゴクリ」守はツバを飲み込み、ハンバーガーセットを受け取った。全てが規格外、ハンバーガーもドリンクも全てトレーからはみ出ている。合計4つのトレーを受け取った守は自分の席に座った。


「お手並み拝見といこうか」


守はまず、おもちゃに手を付けた!


「!」

「ハンバーガーショップでおもちゃを注文するってことは、まずそのおもちゃで遊ぶのがマナー!」

「ッチ…!正解だ…!」


クソでかいトラクターのおもちゃで遊ぶ流木守。

「ぶぅ〜〜〜ん、ぶぅ〜〜〜〜〜ん」

「………」

「ぶぅ〜〜〜〜〜ん」

「時間稼ぎはマナー違反だぞ」

「分かってるさ、まだおもちゃで遊び足りないんでね、しばらくお待ちください」


守は、再び対峙する。守るの顔4個分ある、木星の如き巨大なハンバーガー。


「ククク…」

(まずい…この大きさ、どう考えても一口目をどう食えばいいのか分からない…)


「さぁ、どうする流木!」


(!!!)

守は何かを思いつき、鞄の中を漁った。


「!?!?!!?」

流木守が用意した、それは、


巨大なミキサー!!


「何をするつもりだ!?まさか…!!」

「そのまさかさ!」


守は巨大ミキサーの中にハンバーガー、ポテト、ドリンクを全てぶち込み、一気にかき混ぜた!


「や、やめろ!!!」

「うおおおおおおおお!!!!」

「お兄ちゃん!!!やめて!!!!」


30分後。

ハンバーガー、ポテト、ドリンクは原型を留めないほど滑らかなペーストとなり、吐き気を催す異臭を漂わせた。


「こんな…こんな食い方があるか…!!」

「一口目をどう食べればいいか分からないなら、一口で飲み干せばいいんだ!」

守はミキサーされたそのおぞましい流体を一口で胃に流し込んだ。守の胃は少し裂けたが、マナー違反で負う傷よりは程度が小さい。


飲み干すのに3分かかった。

「………」その光景を見た良識は失禁した。


「食べ物は、どんな食い方をしても残さなければ大抵の場合マナー違反とはならないんだぜ」

守は若干吐血し、咲も何故か少し吐血した。


「…次は、貴様の番だ、霞良識!!!」

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