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飛竜

「…テスラ、夢を見た」寝間着のまま、越前はテスラに言った。

「どうしたの?どんな夢?」


「俺は今日の朝、テスラに剣や防具やテスラの髪を一束貰って、ヘルメザへ旅立った。

俺はドラゴンについて考えながら、テスラにご馳走になった肉について考えていたんだ。あれは何の肉なんだろうって。

そういえばポケモンの世界って何の肉食ってるんだろうって。そう考えながら雨に打たれながら歩いていたら、一匹の飛竜が飛んできた。


俺はテスラから龍はコミュニケーションが取れると聞いていたから話しかけようとしたんだ。

全身が捻れた赤い鱗に覆われて、柊の葉みたいにギザギザした翼を羽ばたかせて、飛竜はこっちに近付いてきた。

そうしたらいきなり飛竜が襲い掛かってきた。俺は飛竜に何度も話しかけた。

飛竜は何も答えずに俺の足を掴んで上昇した。

俺は上半身を起こして飛竜の足に短剣を突き刺した。


飛竜は叫んで俺を地面に叩き付けて殺した。


死んだ俺は、気が付いたらテスリスの町に戻っていて、また気を失った。そしたら今度はテスラの家に寝ていて、テスラからソブエというコミュニケーション能力が低い赤い飛竜の話を聞いた。


ソブエはコミュニケーションが苦手だからテスリスからもヘルメザからも追い出されて、それで見知らぬ土地を彷徨っているんだと聞いた。


テスラが、今度ソブエに会ったらテスラの名前を出せばいい、そしたら大人しくなると言った。


家の外にはアグロがいて、アグロは俺を気の毒に思ってヘルメザへ連れて行ってくれることになった」

「なるほどね、そんな夢ね」

「おかしいか?」

「それは全部本当の事だよ…」

「え?」

「あなたは昨日突然テスリスの大広間に寝転がってたし、その後うちで寝てた。アグロとも話したし、今日朝日が登ったら出発するとも言ってたよ」

「俺が死んだのもソブエがいるのも現実なのか?」

「そうだよ、ソブエは昔うちの牛乳を盗もうとしたって話したでしょ」

「した気もする」

「それで私がソブエを懲らしめたって話も」

「それは聞いてないぞ、懲らしめたのか」

「ソブエを泣かせたこともあるよ」

この女、ドラゴン使いなのか?


「じゃあ、今から俺はまたヘルメザに出発する、のか」

「そうだよ、もうそろそろだ」

「じゃあ、行ってくる」

「強い男になって帰ってきて欲しいな…」

「ん?あぁ、強くなるよ、今度は簡単に死なない」

「そうなんだけど、そうじゃなくてさ…」

「?」

「いってらっしゃい」

テスラが急に恥ずかしがり始めたので越前は若干不思議に思ったが、夜明けにアグロと共にヘルメザへと旅立った。


「馬、相変わらず乗り心地がいいな」

「当たり前だろう」


しばらくヘルメザへの道を行くと、赤い飛竜、ソブエが現れた。

「ソブエ」

赤い飛竜は鋭い眼光をこちらに向けて放っている。

「次に同じことをしたら、テスラが怒るぞ」

「…!」

飛竜はハッとして首を左右に揺らし、何か別のものを見つけたようなフリをしながら飛び去った。

飛竜の口笛を初めて聞いた。


「テスラはソブエに一体何をしたんだ…」

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