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呪われた男

360度、白い世界。


肉体を持たなければ、視野は眼球によって限定されたりしない。


浮遊する越前の意識は、この白い世界の全てを見ている。


そしてまた、あの十字を見つける。黒い、大きな十字。


「来ちゃ駄目って言ってるじゃん」

その聞き覚えのある声が白い世界に響いた瞬間、越前の骨は、血は、肉と皮は再生し、越前は再び肉体という檻に閉じ込められる。


「中島南」

越前の前に中島南が立っている。中学時代のクラスメイト。

中島南は中学生の頃と変わらない姿でそこにいた。

中島南の大きな黒目がキラリと一度輝いた。


「どうしてお前がこんな所にいるんだ?ここはとこなんだ」

「いいから。さっさと帰って。ここから出ていって」


ズドン、と越前の肉体に突然重力が覆い被さり、越前はまた墜落した。





地上。

「越前!起きて!もう傷は無い!」

姫姫姫が壁に寄りかかった越前の肩を掴み激しく揺さぶる。

越前が目を覚まし、目眩を振り払おうと頭を激しく横に振った。

「あ、く、う…俺はどうしたんだ?」

「アイツに殺されたんだよ」


長身の眼鏡の男は姫姫姫をじっと見ている。

「ウ ワワ ワワ ウウウ」


眼鏡の男の肉体の様々な部位が、まるで沸騰しているように、こぽこぽと膨れ上がる。

そして肉が裂けて、中から紫色のナメクジのような犬が染み出してきた。


「ウ ふぅ…疲れたなァ」

眼鏡の男は急に人間らしい表情と仕草で振る舞う。


「ただの…人間…!?」

姫姫姫が驚くが、眼鏡の男は特にリアクションせず、肩をぐるぐると回し始めた。眼鏡を取って、拭く。


アレスが言う。

「貴様、姫姫姫様をどうする気だ」

「こっちが聞きてえよ!姫姫姫?とか言うのかァ?その娘っ子は。お前、何やったんだ?」


姫姫姫が戸惑いながら答える。

「何って、何をだ、お前に恨まれるようなことは何もしてないよ」

即座に眼鏡の男がそれを否定する。

「いいや、したね!俺の『ピノキオの鼻』が動き出したってことは、そういうことだ」

「『ピノキオの鼻』?なんのこと?」

「俺の寄生虫の名前さァ、俺は呪われちゃってるんだよ、このイヌナメクジにさ」

眼鏡の男が肘を前に向けると、そこからも紫の犬が染み出している。

「寄生虫って、当然知ってるよな?」眼鏡の男が尋ねる。

「知っている」


「俺の寄生虫は、『嘘をつくこと』に反応するんだ、お前はその汽車の中で、何かを言ったな、そして俺の『ピノキオの鼻』がそれを嗅ぎつけた。この汽車を止めたのも多分俺だろ?覚えてないんだよイヌナメクジが暴れまわってる時は」

「…汽車を止めたのはお前だ」

「俺の身体を寄生虫が乗っ取ったなら、俺にはどうすることもできない、ただ誰かをぶっ殺すのを待つだけだ」


「…」姫姫姫は黙った。

「嘘に対するアレルギー反応。何を言ったのか俺は知らねェけど、『罪は嘘をついたお前にある』んだぜ、メスガキ」


越前が立ち上がり、姫姫姫の前によろよろと出てくる。

「罪ならお前にもあるじゃねえか、俺を殺して、姫姫姫を襲ったその責任が…アレルギーが治まったならさっさとここから消えろよ」


眼鏡の男は笑い出す。

「ンはぁ!死に損ないがしゃしゃり出やがって…おいメスガキ、お前に罪がある限り、俺は何度でもお前らを殺しに来るぜ、じゃァな主人公気取り…

サ ナ ラ 〜」


眼鏡の男の足が一瞬三倍近く膨れ上がって、男は10メートル飛躍して消え去った。


「寄生虫って、人を殺すだけじゃなくて人間と共生するタイプも居るのか」

「私や越前一人が殺されるのなんて、マイヤーデッドの被害に比べたら全然大したことない…『ピノキオの鼻』については忘れましょう、私たちの敵はマイヤーデッドのみ」

「でもアイツ、また来るかもしれないぞ」

「来るでしょうね…面倒だけど、アレスと巨夜がなんとかしてくれるわ」

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