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マナー異能バトル3 物件編

「今度は俺の番だな、霞良識!」


前回までのあらすじ!

北村マナーを身につけるため、北村マナー講座を受けにビッグサイトへやって来た流木守と妹の流木咲。そこに立ちはだかるのは北村マナーを否定するマナー講師、霞良識。

流木と霞は、食のマナーで互いのマナーパワーを競い合う死闘を繰り広げる。

霞良識がオーダーしたクソデカハンバーガーセットをミキサーで液状にし飲み干した流木守の反撃が始まる!!




「クッ…流木…!」


流木守はおもむろにハンバーガー屋の注文カウンターへと歩いていく。


が、これをスルー!!


「!!!」


「霞良識、てめぇにはここのメニューじゃ生ぬるいぜ」

「馬鹿な…確かルールではこの店で互いに注文した商品を食べ合ってマナーで戦うはずだ…どういうことですか!?」

「こういうことだ!!」


電車を乗り換えながら場所を移動すること2時間。流木守が来た場所!それは


「こ、これは………!!」


それは、養豚場!!!


「馬鹿な!!!!何を考えているんだ流木守!」


「こういうことさ」

パチン。流木守が指を鳴らすと、養豚場から一匹の豚がブヒブヒと鳴きながら歩いてきた。


「ハンバーガー」

「????????」

「これがハンバーガーさ」

「なっ…えっ?…???????」


「まさか…ハンバーガーという名前の豚…!!」


「クックック…それ以上間抜けな声を出すなよ、俺の腹筋硬度がマッハだ…さあ食せ!」


「く、くうぅ〜っ!!!」


霞良識は混乱のあまり、何故か地面に生えていた雑草をむしゃむしゃと食べて吐き出した。


「あ…あ…?俺は…豚を…?豚?え?」


霞良識が何度も豚に会釈をする。それを流木守が爆笑しながら見ている。


(この勝負、完全にお兄ちゃんの勝ちだ…霞良識の心は既に負けを認めている…!!)


霞良識は豚に噛み付こうと口を大きく開けたまま静止している。口を開けては頭の中の疑問符を拭い去ることを繰り返している。


「お…俺には…このハンバーガーを…食うことは…」




ザン。


霞良識の足元に金属の何かが刺さった。それは鍵だった。


「!」

「!?」


「流木ィィィィイイイイ!!!!!」


一瞬ビクッとする流木守。


「誰だ、邪魔するな!」


そこには、青い長髪の、祭りで買える風船に少しだけ水が入ったゴムのヨーヨーを全身に身につけた男が立っていた。


「お前がここに来るのを待ってたんだぜ…お前を確実に殺すためにな!!流木!!!!」


「その声…中学で一回だけ同じクラスだった玉木か?」

「多摩柳だ!!まぁ、今の俺の通り名は『クリーパー』だけどな」

「『クリーパー』だと!??」

正気に戻った霞良識が割って入ってきた。


「まさかこの鍵は…」霞良識が足元に刺さっている鍵を拾う。


「そう!その鍵は俺の家の鍵だ!!」


「お前ら待てよ、なんの話をして…」


スッ…

霞良識がナイフを取り出し流木守の顔に向けた。


「知らないなら黙ってたほうがいいぞ…これからは俺たち『マナー界』のお遊びじゃなくなる…今から始まるのは、『マナー界』と『物件界』の殺し合いだ」

「何だと…?『物件界』…!?こいつがか」


そう。自らをクリーパーと名乗った青ヨーヨーの男は、物件界からの刺客。ルールを司るマナー界に正式に果たし状を渡し、霞良識はそれを受け取ったのだった。


「くくく…まずは霞良識、お前から殺してやる…そして流木!お前ら北村マナーの伝承者候補も皆殺しにしてやる!」

「流木、お前は物件界の殺し合いのマナーを知らないだろうから、特別に解説してやる。

物件界の殺し合いのルールは至ってシンプル!

自らの住んでいる物件のキーを互いに交換し、相手の物件を訪れる。そしてお互いに物件を訪問したあと、感想を述べ合う。すると、敗者が決定し、敗者は勿論死ぬ」


「なるほどな…それで良識、お前はキーを渡されたわけだから、クリーパーの先攻ってわけだ」

「そうだ、まずはクリーパーの自宅に伺います」

「ぶっ殺してやるぜ、霞良識」


電車で移動すること3時間。埼玉県のクリーパーの自宅に到着。


「さて、まずは玄関…」

「くくくくくくくく!!!!!!」クリーパーが特殊な笑い方をした。

(霞良識!何かよくわからんけど、この物件やばいぞ!気をつけろ!)


クリーパーの物件を一周し、霞良識は膝から崩れ落ちた。


「ようやく気付いたか…これを見な」


パサリ。それはクリーパーの自宅の間取り。


「まさか…この物件…!!」




「出入り口が、『無い』!!!!」


「くくくくくくくくくく!!!!!!!その通りだ!俺はこの物件に住んでから一度も!一度も中に入れたことがない!勿論入れないから出ることもできない!この完全な密室が俺の住まいだ!!!」


「こいつ…完全に狂ってやがる…!!霞良識!勝負を降りろ!こんな奴に勝てるわけがない!!」




「流木、忘れたのか?俺たちの勝負はまだ続いてるんだぜ」

霞良識のその表情は、自信に満ちていた。


「!?」

「か、霞良識…!!どういうことだ…?」


「俺は流木との勝負を終えるまで死なない。クリーパー、お前は俺に負けると宣言する」

「馬鹿な…俺より強い物件に住んでいるとでも言うのか?そんなわけがない、馬鹿な!馬鹿な!!有り得ない!!!」

クリーパーは死の恐怖に怯え出した。


(霞良識、一体どんな物件に住んでいるというの…!?)



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