表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/84

第57話 村の問題と魔王の選択

今回は少し短いかもです

「ふんふ〜ん♪」


 アカネ達が村へと到着したその日の夜。

 久しぶりにゆっくりとお風呂に浸かれたアカネは、気分よく鼻歌を口ずさみながら廊下を歩いていた。


「お風呂ありが――っと…………」


 まだリビングで起きているであろう村長に、お礼を言おうとした時、ひそひそとした話し声が聞こえて反射的に身を隠す。


「一体どうすれば……」


 村長の声を聞くに、どうやら何かまずいことが起きているようだった。


「森に住み着いた凶悪な魔物……とてもではないが、村の者でなんとかできる相手ではない」


(……凶悪な魔物? 森って……すぐ近くにあるあそこよね)


 成人男性の村人は近くの森に行き、魔物等を狩って食料の足しにしているのだ、と村長が教えてくれた。


 今回も同じように狩りをしていたら、強い魔物が新たに住み着いているのを発見した。それで誰かが報告に来て、今に至る。

 ざっとそんなところだろうとアカネは予想した。


「旅の方達ならば、もしかしたら……冒険者のようでしたし」


「……いや、彼女達でも難しいだろう。それに、わざわざ危険を侵して助けてくれるとは限らない」


「……それでは聖教国に依頼を?」


「それしかないだろう。資金は……ギリギリだな」


「皆には、少し苦労をかけることになりそうですね」


「……仕方ないだろう。きっと皆も理解してくれる」


 そう言って、諦めたように首を振る。


 若い者は皆、村から出て行ってしまった。ここに残っているのは村長のような老人、親を支えたいという若者、そして一人旅もできない小さな子供だけ。


 そうすることでしか安全策はないのだ。


「…………ん?」


 ふと、村長は顔を上げて廊下を見る。


「どうかしたのですか?」


「……いや、そこに誰かいた気がしたんだが」


 意識を向けた廊下。そこには誰もいなかった。


「誰もいませんが……」


「うん、気のせいだったようだ」




        ◆◇◆




 廊下を歩き、村長から借りた一室に、アカネはソッと入る。


「あ、おかえりなさーい」


 ベッドで寝そべっていたシルフィードが、声だけで出迎える。その横には、すでに夢の中へと行っているリーフィアの姿があった。


「おかえりなさい、アカネ様。ゆっくりお風呂に浸かれましたか?」


 部屋の端で刀の手入れをしていたコノハが、作業を中断して主人を出迎える。


「え、ええ……」


「……? 何かあったの?」


「……実はね…………」


 アカネは先程聞いた出来事を全て話した。


「…………ということなのよ」


「なるほどねぇ……それで? アカネはどうしたいの?」


 シルフィードはそんなことを聞くが、すでにアカネが何を言おうとしているのか予想はしているようだ。


「私は……やっぱり【魔王】らしくないのかもしれないわね」


 諦めたようにため息をつく。


「ここで恩を一つ作るのもいい。いい人という印象を埋め込めば、少しの融通なら聞いてくれるかもしれない。信頼させていざという時には盾にするのも…………はあ、止め止め。無理して理屈を並べても意味がないわよね。

 私は――この村の人たちを無視したくない。そう思ったわ」


「…………もう、素直に助けたいって言えばいいのに」


「アカネ様はツンデレなのですか?」


「…………酷い言われようね」


 イヅナといい、コノハといい、なぜ自分の部下はこんなにも辛口なのか。それが気になって仕方がないアカネ。


「それでも優しいところが、アカネ様らしいです」


「むしろ、このまま任務を優先しようとしていたら、正気なのかと疑うわ」


「選択をミスしていたら、正気まで疑われるとはね…………それで、私についてきてくれるかしら?」


「アカネ、そんなの聞かなくてもわかってよ」


「ええ、シルフィードの言うとおりです」


 二人は微笑む。


「「もちろん、賛成よ(です)」」

いつもありがとうございます


最近、PSO2というゲームが再熱しているのですが――時間がない!

もう、寝る時間を削るしか……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ