平山一希の人生目録
練習が終わった。
疲れた。ただその一言に限る。
今日はやけに俺の打球がキツかった気がする。
周りを見渡すと俺のユニホームは人一倍汚れていた。
洗うのはめんどくさいが、今日はなんだかいつもよりアピールできた気がする。
「集合!」
監督の号令がかかった。
「今から背番号を配るからな!1桁の番号のやつらは1桁だからって気を抜くなよ!2桁のやつらはいつでも試合に出れるように準備しとけよ!」
野球の大会ではベンチに入れるのは20人、そしてその中で試合に出られるのは9人である。
俺のポジションはサードなので5番が欲しいところである。
「1番!石川!」
霧斗が1番だった、まぁうちのチームはそれほどピッチャーが多くないので霧斗が1番ってのはわかってはいた。そんなことを考えていると、
「5番!村中!」
サラッと5番まで呼ばれていた。
まぁ本当は5番もわかってはいた。
なぜなら太陽はチームで1番打てるバッター、つまり4番バッターなのだ。
4番バッターをわざわざスタメンから外してまで俺を使うことはないのであろう。
そうやって言い訳をしている自分がほんの少しだけ嫌になった。
結局、俺は15番だった。2人目のサードって訳だ。
「メンバー発表は以上!解散!」
「「ありがとうございました!!」」
整備を終え、部室で一息をつく。
「なぁ一希、また8番だよ~。背番号外さなくてもよかったじゃん」
陸がいつものように絡んできた。
いつもならウェルカムなのだが今日はやめてほしかった。
しかし、そう言うわけにも行かず、俺はハハハと愛想笑いをすることしかできなかった。