↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
32/54

第32話 大空に舞う

 日没とともに、西の山にはガルーアが数百、数千と集まってきていた。

 日中にエサを獲って満腹になった彼らが、各地から巣へと戻ってきたのだ。


 上空一面が、ガルーア達の無数の黒い影で覆われていた。辺りには卵が腐ったような強烈な異臭が漂い、息もできない。――ガルーア特有の体臭のせいだ。


*

 カノアはガルーアの首とくちばしにくるくるとロープを巻き付け、巨大な怪鳥を完璧に乗りこなしていた。


 ロープを巻き付ける際、ガルーアの口の中に”使役の薬丸”と”嗅覚麻痺の薬”もついでに放り込んでおいた。

 使役の薬を使えば、どんな獣でも主の言うことを聞くようになる。――実のところ、魔獣ガルーアにこの薬が効くのかは不安だったのだが、無事に薬は効いているようだ。

 嗅覚麻痺の薬は、これから散布するガルーア除けの匂いが、カノアの乗るガルーアに効かないようにするためだ。


 ガルーアに乗ったまま、上空を大きく旋回して辺りを観察する。


 山の斜面はガルーアの巣で埋め尽くされていた。ガルーアの巣というのは、枯れた灰色の木々を集めて作られている。ガルーアが撒き散らした糞のせいなのか、山肌は裾広がりの扇状に灰黄色に枯れ、見るも無残に荒れ果てていた。


 荒廃しているのは、どうやらガルーアの巣がある東側に面した山の斜面だけのようだ。それ以外の斜面と、周囲を取り囲む森には、巨大な木々が青々と茂っている。


*

 カノアは、薬を撒く位置を慎重に見定めていた。

 なるべく風上で、かつガルーアの巣が集中する場所がいい。何度か上空を旋回し、風の向きを確かめる。

 ちょうど風は、山の頂上からガルーアの巣のある山裾に向かって吹き下ろしていた。絶好のタイミングだ。


 乗っているガルーアを駆使し、徐々に高度を下げる。

 薬粉が飛散しないよう、なるべく低い位置から散布したい。ただし、高度を下げすぎると巣にいるガルーアに近づくことになるので、危険度は高まる。


 慎重に高度を決め、ガルーアを滑空状態に移した。

 背中に背負った大きな包みから、大量の粉を一掴ひとつかみ取り出す。いま乗っているガルーアにはなるべく掛からないよう、後ろ向きにその粉をバラ撒く。

 近くを飛んでいた別のガルーアが、その匂いに気付いた途端、慌てて向きをを変えて飛び去って行った。――特別に調合したその秘薬は、どうやら効果抜群のようだ。


 カノアは覚悟を決め、背中の包みをほどいた。そして大量に調合しておいた薬を、上空からガルーアの巣に向かって振り撒く。


*

 空から薬が降り注がれると、辺りに漂う異臭が徐々に薄れて来た。

 代わりに、物凄く酸っぱい柑橘系の香りが辺りに漂う。

 どうやらガルーアはその匂いが大の苦手らしい。巣にいたガルーア達が騒ぎ出し、飛び上がって逃げ出し始めた。


 大量のガルーアが一斉に飛び立ったことで、西の山の上空はパニックになってしまった。

 カノアの乗ったガルーアがその混乱に巻き込まれ、態勢を崩した。


「ニャっ?!!」

 突然傾いた視界に、思わずロープから手を離してしまった。

「ニャーーー!!!」


 ノエル達の目の前でカノアは、真っ逆さまに地上へ向かって落ち始めた――



==========================

◆冒険図鑑 No.32: 猛獣使い(テイマー)

 獣人族は動物の言葉がわかる。そのため、動物と心を通わせる猛獣使い(テイマー)の能力に長けている。特に獣人猫族は、運動神経が良く、社交的な性格をしているため、その能力が高い。


 手綱なしで野生馬を乗りこなすことはおろか、狼や虎と言った猛獣まで使役して騎獣のように扱ってしまうという。

 かつての戦乱時代には、猛獣に乗りこなして戦う、獣人族の戦士もいたらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。