世界同時多発勇者 〜時空転移を駆使して一気にカタをつける〜
なろうではおなじみの、ちょっとひねったタイトル&サブタイトルを付けたくて書いてみました(果てしなく本末転倒)。
魔王城に、ただひとり立っている、魔王。
対して、魔王に向かってただひとり剣を構える、勇者。
「一日、たった一日で我が軍勢を滅ぼすとは…勇者よ!」
「お前にとっては、いや、世界にとっては一日かもしれないが、俺には何年もの時が流れた」
「それが、神がお主にのみ与えた能力というのか…」
魔王の軍勢は世界中に広がり、圧倒していた。しかし、勇者は各地の仲間と共に全てを滅ぼした。
一騎当千の勇者と言えども、一日ではせいぜい一箇所の軍団を仲間と撃滅できるだけだ。
では、どうしたか。一箇所を片付けたら一日前の時間軸に戻り、更に別の場所に転移して戦った。
「最初は、一日以下しかできない巻き戻し能力が何の役に立つのかわからなかったけど…」
「世界の至る所にお主が現れたと聞いた時は、何の冗談かと思った。無限の力ではないか!」
「無限じゃないさ。俺も休息が必要だ。戦う俺以上に、休んでいる俺が存在したはずだ」
勇者の時間軸転移は、巻き戻しではなかった。起きた事象は全て残っていた。
それを知った勇者は、自身にとっては何年もかかる綿密な計画を立て、それは見事成功した。
「さて、覚悟するんだな、魔王。ようやく、お前ひとりだけとなった」
「簡単にはやられんぞ。そもそも、余はお主の数倍の能力をもつ」
「同じことさ。一日『以下』と言ったろ?」
それは、魔王にとってはたった数秒の勇者からの攻撃。
しかし、勇者にとっては数十分の連続攻撃。
百人を超える勇者が現れ、数多の剣と魔法を魔王に叩き込む。
「バカ…な…」
塵となって消える魔王。
「さて、ようやく村に帰れるな」
なつかしい、我が家。村は魔王との戦いに巻き込まれていない。勇者も戦いの間は近づかなかった。
「理由は聞いていたけど、一気に老けたわねえ」
「母さん、それがひさしぶりに会う息子に真っ先に言う言葉かな?」
「同い年になった息子を見たら言いたくもなるわよ」
そして母親にとっては、ひさしぶりでもなかった。
つまりあれですよ、某猫型ロボットの宿題回。




