恋と夢
直矢とは毎朝喧嘩。そしてダッシュで登校。
遥希は気を使ってか、もう話しかけて来なくなった。
しかし、このままじゃダメな気もしていた。
「悩んでいるのか」
「うん・・」
部活が終わったあと、練習を続ける恵太と話す。
今日、高菜は学校を休んでいるらしく、マネージャは僕一人だった。
高菜と帰ることもできないので、声をかけられた僕は立ち止まっていた。
「直矢と遥希には悪いことをしてると思ってる」
「特に遥希とは仲よかったからな」
「そうだな・・」
それに僕は知っている。二人が僕のことを好きでいることも。
「でも女子が怖い・・」
「そうか。ではこうしたらどうだ、休日は話す」
休日?
竹刀を壁に立てかけて恵太は提案する。
「学校では無理だが、家なら女子になにか言われることもないだろう」
「たしかに! じゃあ、今度の休み、直矢か遥希を誘ってみる!」
「あぁ」
直接会って、話して許してもらおう。
学校で関わってはいけないこととか。もろもろ。
「でも家に行くなら気をつけろよ」
「え?」
「女子の目がないということは、つまり誰の目もないということだ。クリスマスイブのときみたいにならないように」
「・・あー」
あの日の記憶はほぼ消してしまっている。というか消えているのかな。
ショックすぎて、怖すぎて、覚えていられなかった。
「俺はお前が心配だよ」
「・・高菜より?」
僕の言葉に恵太が目を丸くした。
僕も慌てて口を押さえる。
なんてこと聞いてんだよ。
「俺と高菜はそんなんじゃない」
「で、でも心配だろ・・」
「あいつは娘的な感じで心配だ」
妹通り越して娘か。
「朱音は、一人の女として心配している」
「・・」
心臓がバクバクなりだして、カァァと顔が熱くなっていく。
思わず自分の手を当てて冷ますが、すごく熱い。
「どうした」
「わ、わかんない、帰る!」
カバンを持って、僕は早足でその場を去った。
え、え、え。
え?
もしかして、恵太にドキドキしてる?
まさか、え?
* * *
海にいた。
波がひけばくるぶしあたりまで、波がこれば脛まで濡れるほどの浅いところを僕は歩いていた。
誰もいなくて、砂浜は永遠に続いている。
空は赤紫で日の出前か夕焼けか、判断できない。
僕の服は薄手の白いワンピース。
両手を広げて歩き続けた。
そして止まる。
止まって、海を見つめた。
「もう戻れないんだ」
そうつぶやいて、足元が赤く染まる。
僕から赤い液体が出ている。
「もう男には戻れない」
海の水がその液体を薄めていくが、また赤が落とされる。
それがひどく、つらく感じた。
* * *
目を覚ました僕は、布団をめくった。
なんともない、オッケーだ。
次に寝巻き代わりのジャージを脱ぐ。
若干湿ってる・・? いや、セーフ。
パンツも確認したがなにもなっていなかった。
しかし、僕は妹のところへ向かう。
「へ? え!? お姉ちゃんなんでパンツしか履いてないの!?」
「生理になりそう」
完全に直感だった。しかし、生理の周期は一ヶ月と聞いている。
女子になってから一ヶ月経ったので、そろそろのような気がする。
いや、今まで完全に生理なんて存在頭になかったけど、なんで思い出したんだ?
「なんっ、え、お姉ちゃん生理用品持ってないの」
「なくなった、貸して」
「いいけど」
そういうと妹はナプキンを10個ほど持たせてくれた。
ネットで調べて、ナプキンの付け方を学んだ僕は装着し、学校へ向かった。
にしても、変な夢を見た気がする。
なにも覚えてないけど。
気持ち悪い夢を見た気がする。




